現代人は眼が疲れてる-眼筋の疲れをほぐす6ステップストレッチ

疲れ目を放置すると自律神経のバランスをくずし全身症状も

予防にはこまめな休憩、パソコン環境の改善、目の体操で目の疲れをやわらげましょう

IT時代で疲れ目が急増、慢性化すると全身症状も

 10月10日は「目の愛護デー」です。パソコンと携帯電話のない生活はもう考えられないという人は多いと思いますが、これらの普及に伴い、目の疲れを訴える人が急増しています。仕事で長時間パソコンを使い、通勤途中にケイタイでメールを打ち、自宅ではテレビを見たりテレビゲームをしたり……。常に画面を見続けていると目は休む暇もなく酷使され続け、大きな負担がかかります。
 パソコン作業では、近くの画面に焦点を合わせ続けるため、目のピントを調節する筋肉が常に収縮している状態になります。そのため筋肉が緊張を強いられ、目が疲れてくるのです。画面の小さい携帯電話ではなおさらです。

 目に疲れがたまると、目がショボショボする、目が乾く、涙目になる、焦点がぼやける、白目が充血するなど、さまざまな症状が現われます。目の疲れから首や肩がこったり、目の奥が痛んだり、頭痛が起こることもあります。さらに、これらの症状を放置すると、自律神経のバランスをくずすことにもつながり、微熱や全身の倦怠感、イライラ、不眠など、眼精疲労と呼ばれる全身症状が現われることも。目の疲れは、こまめに解消してあげないと大変なことになってしまうのです。

ディスプレイを凝視することで起こるドライアイ

 ドライアイは目が乾燥する病気で、パソコン、コンタクトレンズ、エアコンの普及とともに増加しています。症状は目の疲れ、ゴロゴロするといった違和感や痛み、しみる感じ、かゆみ、目の充血などで、これらがいくつか重なる場合はドライアイが疑われます。
 健康な目ならまばたきのたびに涙が出て、目の表面をうるおし乾燥を防いでいますが、さまざまな理由で涙の分泌量が減ったり、蒸発してしまうことで目の表面が乾き、ドライアイが起こると考えられています。

 原因の第一はパソコンです。画面を集中して見ていると、まばたきの回数が通常よりも減るため涙の量が少なくなり、眼球全体に行き渡りません。おまけに目を閉じる機会も少なくなって涙の蒸発量は増え、さらに乾燥しやすくなります。エアコンを使用すると室内の空気が乾燥して、目の表面が乾きやすくなり、コンタクトレンズはドライアイの症状を進行させます。

 ドライアイは目の疲れも増強させるため、早めの対処が必要です。パソコン作業中は意識的にまばたきをする、部屋の湿度に注意し、目にエアコンの風が直接当たらないようにする、定期的に目薬などを点眼するなど、気をつけるようにしましょう。

 それでも目が乾燥して目が疲れやすい場合は眼科、できればドライアイ外来を受診しましょう。ドライアイと診断されたら、防腐剤の入っていない人工涙液(涙に近い成分の目薬)が処方されます。目薬で改善されない場合は、目の周囲の湿度を保つドライアイ用のめがねを使用することもあります。

ときどき目を休ませる

 疲れ目やドライアイを予防するには、毎日の生活のなかで目にかかる負担を軽くすること。なんといっても目を休めるのが一番の予防法です。1時間に5分でも10分でも目を休めるようにすると、目への負担が大きく違ってきます。パソコン作業中は意識的に目を動かしたり、まばたきをするようにします。さらに、次のことを心がけましょう。

パソコンの作業環境を整える
●照明が暗くて画面が見づらい場合はデスクに部分照明を取りつける。周囲との明暗差が強いと目が疲れるので注意。画面に日光や照明が反射しないように、ブラインドなどで調整する。
●目とパソコンの画面が50cm以上離れるように、また視線が下向きになるようにモニターを配置する。視線が上向きだと目が見開いた状態になって目が乾燥しやすい。
●姿勢は、いすの背もたれに背をつけて背すじを伸ばす。このとき、足裏が床にぴったりつくようにいすの高さを調節する。姿勢が悪いと画面に目が近づきすぎて目が疲れやすく、首や肩にも負担がかかってよけいに目が疲れる。

メガネやコンタクトレンズは自分の目にぴったり合うものを
 目に合っていないものをつけていると目が疲れるが、それに気づいていない人が意外に多い。レンズの度数が合わないと、目のピント調節機能を酷使することになる。メガネのフレームにゆるみがあっても、レンズと目の位置がずれて焦点が合わなくなる。老眼が始まりかけている人は、本や新聞が読めていても、老眼鏡を使うほうが目に負担をかけないことが多い。

目の体操で眼筋の疲れをほぐす
 目の周りの筋肉をほぐし血行をよくする体操やマッサージをすると、目の疲れを軽くすることができる。次にあげるものは5分程度ですんで簡単なので、1時間根をつめて作業したら、休憩もかねてぜひチャレンジを。
(1)目を閉じ、両手で30秒ほど両目を覆う。
(2)目から手を離し、30回まばたきする。
(3)目を閉じ、人差し指、中指、薬指をそろえて両方のこめかみに当て、上下、前後、回転など、軽く押すように動かし、1分間程度マッサージする。
(4)両手であごを支え、遠くに目線を向け、眼球を上下左右に5回動かす。次に右回り、左回りと眼球を5回ずつ回転させる。
(5)両手を腰に当てて首を前後左右に軽く曲げる(5回ほど繰り返す)。次にゆっくり首を回す(右回り、左回りを交互に3回)。
(6)腕を前方に出してひじを軽く曲げ、肩を前後にぐるぐる回して肩の筋肉をほぐす。初めは小さく5回ほど、次に腕を大きく振って3回ほど回す。

 体操ができないときは、ときどき遠くを眺めるだけでも、近くを見つづけて緊張した筋肉がほぐれます。窓から外の景色、できれば樹々の緑を眺めると目が休まります。

 ほかに、温かい蒸しタオルや市販のアイピローを電子レンジで温めて目の上にのせたり、逆に冷たくしてのせるなど、目にほどよい刺激を与えると、血行がよくなって眼筋の疲れがやわらぎます。同様に、入浴のとき目をつむって温水や冷水のシャワーを目に浴びるのも、血行促進になります。ただし目の痛みを伴う場合は、温めると逆効果なので冷やすように。首すじや肩に水圧を強くしてシャワーをかけると、肩こりにも効果が期待できます。東洋医学で疲れ目に効くとされるツボを刺激するのもよいでしょう。

 疲れ目やドライアイは目の酷使ばかりが原因とは限らないため注意が必要です。緑内障や白内障などの目の病気や糖尿病、心臓病などの生活習慣病は眼精疲労を引き起こし、シェーグレン症候群という全身性の病気はドライアイの原因となります。何をしても目の疲れやドライアイの症状がとれない場合は、眼科できちんと検査をしてもらいましょう。

【監修】
小原真樹夫先生


こはら眼科院長
1978年北里大学医学部卒業。1986年武蔵野赤十字病院眼科副部長、1996同病院眼科部長を経て、2004年こはら眼科開設、現在に至る。医学博士。専門は白内障手術で、年間600件を超える手術を行っている。日本眼科学会、日本眼内レンズ屈折手術学会、日本眼科手術学会などに所属。著書に『専門医がやさしく教える疲れ目・ドライアイ―眼精疲労・視力低下を防ぐ日常の心得とケア』(PHP研究所)、『目が若返る白内障のかんたん治療』(成美堂出版)。

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