肩こりが悪循環を招く4つの理由-ひどくなる前に解消するコツ

悪い姿勢、運動不足、ストレスが筋肉を緊張させる

肩こりを招く生活習慣を改善し、筋肉を温める。早めの対処で慢性化・重症化を防ごう

肩こりは筋肉の緊張から始まる

 肩こりに悩む女性、あなたの周りにも多いのではないでしょうか。厚生労働省の調査(「平成16年 国民生活基礎調査」)によると、女性が訴える健康上の自覚症状で一番多いのが肩こり、男性に比べ2倍以上にもなります。男性も第2位が肩こりですから、日本人は男女を問わず肩こりさんが多いということになりますが、とくに女性に多いのはなぜなのでしょうか。
 そのわけは、女性は首や肩の筋肉の量が少ないこと、また冷え性が多いことから、血行が悪く肩がこりやすいと考えられています。

 肩こりと一口に言っても原因はさまざま。高血圧症や狭心症、顎関節症(がくかんせつしょう)、眼精疲労、更年期障害、うつ病や不眠などから肩こりになることもありますが、これらは肩こり以外の症状も伴いますので、まず原因となる病気を治療することです。
 骨や関節の変形などが原因の場合、症状は同じにみえても原因によって対処法は異なりますから、原因をはっきりさせることが大切です。症状がどんどんひどくなったり、首や肩の動きが制限されるようなときは、整形外科を受診して、原因に応じた治療と日常生活上の指導を受けましょう。

 ここでは、内臓や骨、関節などに大きな異常がないのに起こる、最も一般的な肩こりについて述べます。どうやって肩こりが起こるのかというと、それは首や肩の筋肉の緊張から始まります。長時間同じ姿勢でいたりすると、首や肩の筋肉が緊張して硬くなり、血行が悪くなります。そうすると筋肉に酸素の供給が十分に行われなくなり、乳酸などの疲労物質がたまり、それが筋肉を刺激してこりや痛みをひき起こします。
 さらに、こりや痛みが筋肉や血管を収縮させる、痛みのある患部をかばって動かさなくなるといった具合で、血行が悪くなり、ますます肩こりがひどくなるという悪循環におちいってしまうのです。
 この悪循環を断ち切るためにはどうしたらよいのでしょうか?

こんな生活が肩こりを招く

 肩こりの原因のほとんどは、姿勢の悪さや運動不足、ストレスなどふだんの生活習慣です。悪循環を断ち切る第一歩として、肩こりを招く生活習慣を見直しましょう。

●姿勢が悪い
 あごを突き出し背中を丸めた姿勢は、首や肩の筋肉に負担をかけている。背すじを伸ばしてあごをひき、おなかを引っこめよう。自分の姿勢は自分ではわかりにくいので、人に頼んで気がつかないうちに写真を撮ってもらうと、客観的に自分の姿勢がわかる。そうしたうえで次の「正しい姿勢のコツ」を覚え、意識して正すようにしたい。

立っているとき⇒壁に頭、肩、腰、踵(かかと)をつけて立ち、そのまま1歩前に出ると、正しい立ち方になりやすい。肩の力を抜いて。
座っているとき⇒いすの背にもたれると、おなかの緊張がゆるんで背中も丸くなりやすい。腰の後ろにタオルなどを置くと、腰が自然に伸びて背骨がまっすぐになりやすい。

●長時間同じ姿勢で作業している
 デスクワークのように長時間同じ姿勢でいると筋肉に負担がかかる。同じ姿勢を1時間続けたら必ず休憩をとり、背伸びをしたり、腕や首を回す、肩をすくめるなどの簡単な体操をするとよい。ツボ押しグッズなどを使うのもおすすめ。

●あまり運動しない
 運動不足は血行不良のもと。筋肉を動かすと血行が促進される。また、体を動かさないと筋力が衰え、ちょっとしたことでも筋肉に負担がかかるので、定期的に運動して筋力をつけることが大切。ラジオ体操やウオーキング、水泳など、自分にとって楽しく続けられるものを。積極的に筋肉をきたえるにはダンベル体操がおすすめ。

●ストレスが多い
 ストレスを受けると交感神経が優位になり、血管が収縮して血行が悪くなる。趣味や運動など、ストレスを発散できる自分なりの方法をもつ。

 また次にあげるような、普段なにげなく行っている動作や行動が肩こりの原因となっていることがあります。思い当たることのある人は、意識して直すようにしましょう。

・ショルダーバッグをいつも同じ側の肩にかけたり、荷物を同じ側の手に持つ
・いすに座るときは浅く腰かけ、背もたれにもたれかかる
・床に座るときはあぐらをかく、または横座りする
・度の合わないメガネやコンタクトレンズを使っている
・ものを食べるとき片側の歯でかむ癖がある
・高さの合わない枕を使っている
・電車の中でよく背中を丸めて居眠りしている

自分でできる肩こり解消法

 肩がこったなと思ったら、首や肩を温めましょう。筋肉の緊張がやわらいで血行がよくなり、肩こり解消に効果があります。自分で手軽にできるのが、ぬらしたタオルを熱いお湯でしぼったりレンジにかけて、首の後ろや肩に当てる方法。市販のホットパックやカイロを利用するのもよいでしょう。肩こり体操などは首や肩を十分温めてから行うと効果的です。

 これから寒くなると、体が縮こまって肩に力が入るだけでなく、体温を保つために血管が収縮して血行が悪くなります。首や肩を冷やさないように、スカーフなどを利用して、寝るときも肩が冷えないように気をつけましょう。
 全身を温めるにはなんといってもお風呂が一番。温かいお湯にゆったりつかると、じわーっと体がほぐれていくのがわかります。とくに、ぬるめのお湯にゆっくりつかる半身浴は、代謝が良くなって疲労物質が除去され、肩こりも疲れもとってくれます。

 肩こりは慢性化、重症化すると解消するのに時間がかかります。軽いうちに、早めに上手に解消しましょう。

【監修】
伊藤達雄先生


東京女子医科大学附属八千代医療センター病院長
千葉大学医学部卒業後、米国南イリノイ大学整形外科留学。富山医科薬科大学整形外科助教授、高岡市民病院医療局長などを経て、1991年より東京女子医科大学整形外科主任教授、2006年より八千代医療センター病院長を兼任。2007年より東京女子医科大学整形外科客員教授。医学博士。専門は脊椎脊髄外科、リウマチ整形外科。第40回東日本臨床整形外科学会学会長、日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会役員などを歴任。著書に『名医の図解 腰痛を治す生活読本』(主婦と生活社)など多数。

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