冬の食中毒、ノロウイルスは11月から増える-7つの対策方法

ノロウイルスにはさわらない、吸い込まない、持ち込まない

ノロウイルスによる食中毒は毎年冬にピークを迎える。手洗いと食品の加熱、感染源の消毒で身を守ろう

11月に増えはじめるノロウイルスの食中毒

 ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎は1年を通して発症しますが特に冬に多く、11月頃から増えはじめ、1~2月にピークを迎えます。昨シーズン大流行したことは、どなたも記憶に新しいのではないでしょうか?

 国立感染症研究所の発表によると、昨冬全国で猛威をふるったノロウイルスは、これまで日本をはじめ欧米では検出されたことのない新型ウイルスでした。ウイルスや細菌は、形を変えていくことで、免疫システムから逃れ、感染力を高めていきますが、このことも昨シーズン大流行を起こした原因の一つとみられています。

 ノロウイルスに感染すると、12~72時間で嘔吐(おうと)と下痢、腹痛があらわれます。突然の嘔吐や下痢に驚かされますが、健康な人では重症化したり長引くことはまれですので、あわてずにお湯で薄めたスポーツドリンクなどで水分補給をしつつ、安静に努めましょう。ただし抵抗力の低い乳幼児や高齢者は、脱水症状を起こしやすいので注意が必要です。脱水症状が強い場合は、病院を受診するようにしましょう。

ノロウイルスはこうしてうつる

 ノロウイルスは口から入って小腸で感染し、急性の感染性胃腸炎を起こします。ウイルスが口に入る経路には、次のようなものがあります。

●食品から人へ
 ウイルスで汚染された食品や水を飲食することによる「経口感染」
●人から人へ
 感染者の便や嘔吐物をさわった手による「接触感染」
 感染者の便や嘔吐物の細かい粒子(塵)を吸い込むことによる「空気感染」

 感染者の便や嘔吐物から二次的に感染する感染性胃腸炎が多く、食品からの経口感染によって起こる食中毒も多くみられています。
 ノロウイルスは、腸内で爆発的に増えるため、感染者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれています。そのため、その処理を的確に行わないと、多くの人に二次感染を起こします。

感染しないための対策を知っておこう

 予防には手洗いと食品の加熱が効果的です。すでに周囲に感染者がいる場合は、感染源や環境の消毒も必要になります。

●手洗いは最低でも10秒以上かけ、2回洗う
 帰宅時、排便の後、食事前、調理や配膳の前などは必ず手洗いを。石けん(ハンドソープ剤が望ましい)をよく泡立て、手のひらや甲だけでなく、指先、指の間、手首までよくこすって洗う。特に親指とすべての指の先は、食べ物に触れるとき最も使う部分だが洗い残しやすいので注意。すすぎは温水の流水で十分に洗い流す。洗った手は、清潔なタオルや紙タオルでふき取る。この手洗いの操作を2回行う。家族間でもタオルの共用はしないように。

●食品は85℃以上で1分間以上加熱
 ウイルスがついた手で調理することによって食品が汚染されることが多い。また、ノロウイルスは海水を介してかきなどの二枚貝に入り込むことがある。食品の中心部までよく火が通るように、85℃以上で1分間または70℃以上で5分間以上しっかり加熱する。ノロウイルスを殺すには加熱が確実。

●消毒液でウイルスを完ぺきに除去
 家庭や職場にウイルスが持ち込まれた場合は、消毒が必要。アルコールや逆性石けん、中性洗剤、酵素系漂白剤ではウイルスを完全に殺すことができないので、市販の塩素系漂白剤(塩素濃度約5%)を水で薄めて消毒液をつくって消毒する。

●感染源(便や嘔吐物)の処理方法
 床や衣類についた感染源を処理するときは、使い捨ての手袋、マスク、エプロンで防護する。感染源は新聞紙等で覆い、それに1000ppm(0.1%)の塩素系漂白剤液を注ぎ、10分間置いた後、ふき取り、新聞紙ごとビニール袋に入れ、廃棄物がつかるよう1000ppm液を入れる。袋は2枚重ね、破けて中身がもれることがないようにする。
 汚物をふき取ったあとの床などは1000ppm液でひたすようにふき取り、その後水ぶきする。処理中に塩素ガスが出ることと、ノロウイルスは乾燥すると空気中にただようので、屋外に出ていくように窓を開けて換気する。

●汚れた衣類やタオルの洗濯法
 バケツなどに分別して下洗いし、熱湯消毒するか、200ppm(0.02%)液で消毒後、洗剤で洗う。その後、高温の乾燥機(排気口は屋外に出して行う)、熱いアイロンなどを使えばさらに効果的。下洗いした液には塩素系漂白剤液を50分の1量を加え(1000ppm液とする)消毒してから捨て、使用したバケツも1000ppm液で消毒する。

●調理台・調理用具の消毒
 調理台・調理器具は洗剤で洗ったあと、200ppm液でひたし、その後また水洗いする。調理器具、食器、ふきん等は熱湯消毒する。

●部屋の消毒
 手がよくふれるドアノブ、蛇口、手すり、電気のスイッチなどは200ppm液で消毒し、10分後に水ぶきする。

 感染源を処理した後は、手袋をしていたとしても必ず石けんを使って手洗いとうがいをするようにしましょう。

【監修】
西尾 治先生


前国立感染症研究所感染症情報センター室長(現客員研究員)

コラムに関連する病名が検索できます。

冬の食中毒、ノロウイルスは11月から増える-7つの対策方法 関連コラム

アクセスランキング一覧

100件中 1件~20件を表示

  1. 1 妊娠中のセックス、みんなどうしてる? セックスしていい時期、悪い時期って?
    妊娠中のセックス、みんなどうしてる? セックスしていい時期、悪い時期って?
    約10ヶ月にも及ぶ妊娠期間中。この間、セックスはしてもいいの? …
  2. 2 みぞおちの辺りが痛い 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    みぞおちの辺りが痛い 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    お腹の上の部分、みぞおちあたりの痛み。胃痛? それとも、ほかの病気? …
  3. 3
    女性にも急増! 自覚症状なく進む「膵臓」の病気 7つの危険な症状
    地味ながら、消化液を作りインスリンを分泌する重要な消化器 …
  4. 4 妊娠中でもSEXを楽しんで! 妊娠中のセックスをエンジョイするあの手、この手
    妊娠中でもSEXを楽しんで! 妊娠中のセックスをエンジョイするあの手、この手
    妊娠していても、体調がよければセックスは可能。産後のセックスレスを予防…
  5. 5 スマホ依存症にはどんな悪影響が?ドーパミンが依存に導く怖い現実
    スマホ依存症にはどんな悪影響が? ドーパミンが依存に導く怖い現実
    最近では、持っていない人を探す方が難しいスマートフォン普及率。便利なツ…
  6. 6
    妊娠中のエクスタシーはOK? セックスで気をつけたい5ポイント
    体調がよければ、妊娠中にセックスをしても大丈夫。でもいつもと違う状況な…
  7. 7 女の子の産み分けにチャレンジ! 女の子産み分けの鉄則4
    女の子の産み分けにチャレンジ! 女の子産み分けの鉄則4
    「かわいい洋服を着せたいから」「一人目が男の子だから」など、女の子を授…
  8. 8
    更年期障害チェック方法「あなたの更年期レベルをチェック」
    さまざまな症状が出る更年期。その症状は100人100様ともいわ…
  9. 9 女性の胸の大きさはどうやって決まるの? 遺伝or体質?
    女性の胸の大きさはどうやって決まるの? 遺伝or体質?
    女性らしさの象徴といえば、バスト。胸の大きさに悩む人は、遺伝や体質と諦…
  10. 10 老けたくない人はDHEAホルモンを増やすと良い!? 若さを保つ秘訣
    老けたくない人はDHEAホルモンを増やすと良い!? 若さを保つ秘訣とは
    今注目の若返りホルモン「DHEA」を食生活でキープしよう 体…
  11. 11
    足の小指が痛い人は要注意 「内反小趾」を治してサンダル美人に
    素足にサンダルを履くことの多い季節、足のトラブルには気をつけた…
  12. 12
    【医師が教える】猛暑も元気に乗り越えられる、夏バテの防ぎ方
    胃腸の冷えと栄養失調を防げば猛暑の夏も健康で過ごせる!! 夏バテの原因…
  13. 13 子宮筋腫の症状は?
    注意して!子宮筋腫の症状チェック。筋腫が大きくなると 肺や心臓まで圧迫する場合も
    子宮筋腫の自覚症状には個人差があり、かなり大きくなるまで無症状というこ…
  14. 14
    ヘルプマーク、ハートプラスマークなど、見えない障害を持つ人のためのマーク
    外見からはわからない障害を抱えている人がつけるマークを知っていますか?…
  15. 15 「昼顔」紗和「あなそれ」美都から見える、不倫に陥りやすい女性の特徴
    「昼顔」紗和「あなそれ」美都から見える、不倫に陥りやすい女性の特徴
    波瑠さん演じる「ヒロインの美都がクズすぎる!」と、批判の声が上がり大き…
  16. 16 産後もいいセックスライフを送りたい! 産後のセックスはどう変わる?
    産後もいいセックスライフを送りたい! 産後のセックスはどう変わる?
    以前の体に戻り始める産後。「前よりゆるくなる?」などの不安を解消して、…
  17. 17 男の子の産み分けにチャレンジ! 男の子産み分けの鉄則4
    男の子の産み分けにチャレンジ! 男の子産み分けの鉄則4
    せっかく妊娠するなら、できれば希望の性別の子を授かりたいと思うのは自然…
  18. 18
    大黒摩季が克服した『子宮腺筋症』ってどんな病気?【芸能人の健康まとめ】
    子宮疾患の治療のため活動休止中だったシンガー・ソングライターの大黒摩季…
  19. 19 仕事中でもできる簡単ストレッチ-足の冷えとむくみを解消!
    仕事中でもできる簡単ストレッチ-足の冷えとむくみを解消!
    脚全体の筋肉を使って循環を促し、冷えやむくみを改善 足、ひざ…
  20. 20 妊娠検査薬が陰性でも妊娠の可能性がある5つの理由|生理が遅れた原因
    妊娠検査薬が陰性でも妊娠の可能性がある5つの理由|生理が遅れた原因
    市販の妊娠検査薬はとても正確。なかには、精度が99%と言われるものまで…

一覧