冬場に増える低温やけど-痛みを感じなくても重症の場合がある

熱さや痛みを感じないため重症化しやすい

身近な暖房器具への油断が生む冬の事故。自己流の手当ては避け、必ず病院を受診するようにしましょう

冷え性の女性や高齢者、小さな子どもはご用心

 暖房器具が欠かせない季節、気をつけたいのが「低温やけど」です。使い捨てカイロやこたつ、電気あんか、湯たんぽ、ホットカーペットなど、ふだん危険を感じることなく使っているものが原因になります。

 「温かくて快適」と感じる温度でも、長時間、体の同じ部分にふれていれば、皮膚は熱による損傷を受けます。たとえば、44℃という低い温度でも、直接皮膚に6時間接触していれば、低温やけどを起こすと考えられています。46℃なら1時間半です。皮膚に押しつけるようにして使っている場合、その時間はもっと短くなります。

 低温やけどを起こす部位は、脚がほとんどです。脚は感覚が鈍く、また血行がとどこおりやすいために、やけどを起こしやすいのです。とくにかかとやくるぶし、すねなどは、皮膚のすぐ下に骨があるため、熱源に押しつけられる形でふれていると、毛細血管が圧迫されて血流がとどこおり、その部分に熱がこもって低温やけどを起こしやすくなります。

 冷え性で電気あんかや湯たんぽなどを使う機会が多い女性や高齢者、糖尿病で知覚障害があるなど、皮膚感覚が鈍くなっている人は、とくに注意が必要です。乳幼児や体の不自由な方などは、熱いと思っても対処できないこともありますので、周囲の人が注意を払ってあげてください。

 疲れていたり、お酒を飲んでいたりして眠り込んでしまったときなども、熱に気づきにくくなります。ホットカーペットやこたつで、そのまま眠ってしまうようなことがないように気をつけましょう。

重症化しやすい低温やけど

 低温やけどは、低い温度でゆっくり進行するために熱さや痛みを感じにくく、気がついたときには、皮膚の深部まで達する重症のやけどになっているケースが多く見られます。重症になると皮膚細胞の一部が死んでしまう壊死(えし)の状態になり、痛みを感じないため軽症だと勘違いしがちです。しかしこのような場合は、感染予防のための治療や、場合によっては皮膚移植の手術などが必要になることがあります。一見すると軽いやけどのようでも、実際は重症のことが多いため、早めに病院を受診することをおすすめします。

 低温やけどの場合、通常のやけどと違って、水で冷やしても応急手当の効果があまり期待できません。また、自分で水ぶくれをつぶしたり、皮膚に何かを塗ったりすると、傷から感染するおそれがあります。自己流の手当ては避けて、医師の指示をあおぎましょう。

 治療中は、症状を悪化させないように次のようなことに注意しましょう。
●激しい運動は避ける
●全身を温める入浴は避ける。よくなってきたらシャワーから
●香辛料や酒は控える

暖房器具はつけっぱなしにしないこと

 低温やけどの予防策の原則は「暖房器具を使うときは、つけっばなしにしない」です。次のようなことに気をつけましょう。

熱源に直接ふれない
・使い捨てカイロは必ず衣類の上に貼る
・湯たんぽは厚手の布製の袋に入れる(タオルで包むとずれて直接皮膚にふれることも)

長時間同じ場所に固定しない
・使い捨てカイロは1カ所に長時間あてない。使用時間を守る

睡眠中は使わない
・こたつやホットカーペットで眠らない。使い捨てカイロを貼ったまま眠らない
・電気あんかや電気毛布は早めにセットし、就寝時には電源を切るか、タイマーを1~2時間に設定する

熱源を押しつけない
・湯たんぽや電気あんかに足を押しつけるように乗せたり、使い捨てカイロを貼った部分にサポーターやガードルを重ねない(圧迫により血流が悪くなりやけどの進行が早まる)

靴下用カイロは、靴を脱いだら外す
・靴下用カイロは酸素の少ない靴のなかで使うようにつくられている。靴を脱いだ状態や、からだのほかの場所に使うと、酸化反応が過剰に起こり高温になるので危険

(「クリニックQ&A」法研より)

【監修】
向井秀樹先生


東邦大学医療センター大橋病院皮膚科教授
1951年生まれ。1976年北里大学医学部を卒業後、1981年同大皮膚科助手、1984年講師および医局長を兼任。1991年横浜労災病院部長および北里大学非常勤講師等を経て、2007年より現職。医学博士。日本皮膚科学会専門医および代議員、日本アレルギー学会専門医および指導医、皮膚病診療編集委員、各種研究会の世話人を兼任。主な著書に『アトピーの「かゆみ」をとる塩療法』(講談社)、『先生教えてアトピー性皮膚炎Q&A』(東洋出版社)、『知れば安心皮膚の悩み』(みずうみ書房)など。

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