かかりつけ医のすすめ-信用できるお医者さんを探す3つの秘訣

患者にも医師を見極める力と人間関係を築いていく作業が必要

健康管理、病気の予防から治療、看取りまで……。頼れる「かかりつけ医」を見極めるポイントを紹介

かかりつけ医とのかかわりを通して自分の体を客観的に見ることができる

 皆さんは病院にかかる前に、いろいろと情報を集めていると思います。評判のいいといわれる病院にかかったとしても、病院は大きい組織のため、いい医師にめぐり合えるとも、望む医療を受けられるともかぎりません。
 しかし本来、病院とは大きな検査や治療が必要なときにかかるところ。病院での医療に人間的なつながりや行き届いたケアを求めても限界があります。

 それに比べて、地域の開業医を「かかりつけ医」にもつことで、生活や人生まで見える人と人とのつながりができ、診察だけでなくふだんの健康管理、総合的なケアまで受けることができる可能性があります。かかりつけ医をもつことの価値、それは家族を含めた健康管理、病気の予防、病気の早期発見と治療、医療連携、入院中在宅いずれも看取りまで、多岐にわたります。
 そして何より患者にとっての大きなメリットは、かかりつけ医との日常的なかかわりを通して、患者が自分の体を冷静に客観的にみることができるようになることにあるのです。

 現在、「家庭医」としての幅広い専門性をもつ医師の養成が検討されており、これが実現すると、「家庭医」の看板を掲げる医院に行けば、求めるかかりつけ医に出会えるようになることが期待されます(Zoom ヘルスケア『検討される専門家としての「家庭医」養成』//health.goo.ne.jp/column/zoom/3/0055.html)。
 「家庭医」の制度が実現するまでには、もう少し時間がかかりそうです。ここでは、現在それぞれの専門科を標榜して開業する地域の医師の中から、どうやって頼れるかかりつけ医を探したらよいのかご紹介したいと思います。利用する側にも、かかりつけ医となりうる医師かどうかを見極める力が求められています。

頼れるかかりつけ医を見極めるポイント

●その1:適切な診断と治療をする姿勢があるか
 今、開業医でも医師は非常に多忙です。ゆっくり患者の話を聞いている時間が十分にないのが現状です。ゆっくり話を聞いてくれない、親身になってくれないといったことで、医師に対して不満をもつ方は多くいます。
 では話をゆっくり親身になって聞いてくれれば頼れる医師なのでしょうか? 医師の本来の役割は適切な診断と治療を行うことです。それを行うために、聞くべきことは聞いて、自分の下した判断をきちんと説明しようとする姿勢があるかないかが、一番大切なポイントです。

 一方で医師に適切な判断をしてもらうには、患者側にも診察に協力する姿勢が求められます。何を話して、何を尋ねたらいいのかわからなければ、医師の診察を受ける前に看護師と話をして、話すべきこと(自覚症状、病歴、治療に対する希望など)や尋ねたいこと(診断の理由、病気の内容、医師がすすめる治療法の根拠、見通しなど)を整理するようにしましょう。

●その2:周りのスタッフとの協力関係はあるか
 頼れるかかりつけ医の見極めのポイントは医師の態度だけではありません。開業医は一人で診察をしていることが多いため、医師が信頼できる協力的なスタッフに囲まれているか否かもとても大切な要素。
 具体的には受付事務や看護師の対応です。医師一人にすべてをまかせて、患者に無関心なスタッフばかりだったら、医師がどんなにいい医師でもかかりつけ医には向きません。もっとも、いい医師の周りにはいいスタッフが集まっているものですが。

 多くの患者に一から十まで医師が説明をすることは困難です。医師に信頼されているスタッフが医師の説明を補足したり、医師に再確認してくれる関係があるかどうか、周りのスタッフの動きもよく観察しましょう。患者も、医師にしか話さないというのではなく、頼れる医師を見つけたらその周りのスタッフとも積極的にコミュニケーションをとっておくといいでしょう。

●その3:専門領域にこだわりすぎず、幅広いネットワークをもっているかどうか
 開業医も専門領域をもっていることが多くなりました。しかし、健康管理、病気の予防、緊急時の対応、専門治療が必要か否かの判断は、医師に取り組む姿勢があれば可能なはず。これらのことはかかりつけ医に求めたい要素です。

 自分の専門外だからと聞く耳をもたない医師はかかりつけ医には不向きです。自分が自信をもてる範囲のことは積極的に取り組み、詳しい検査が必要になった時に適切な医療機関を選び紹介してくれる医師は信頼できます。安易に紹介しすぎる医師、まったく紹介する意思がない医師の対応は患者にとっては負担が増えるだけです。

 一方で、患者が別の医療機関で診察を受けたいと思ったときは、遠慮せずに医師に伝えましょう。そのことで関係が崩れる場合は、もともとかかりつけ医には向かない医師だったということです。

 いずれにしても医師と患者の関係の基本は人間関係です。頼れるかかりつけ医はもともと存在するのではありません。「かかりつけ医をもつ」ということは、まず感覚的にコミュニケーションがとりやすい医師を見つけ、その医師と一から人間関係を築いていく作業だということ忘れないでください。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
嵯峨崎 泰子先生


日本医療コーディネーター協会理事長
看護専門学校、日本女子大学卒業。各科臨床看護師を経て医療専門商社勤務。その間、米国の医療センターで研修を受ける。1995年自身のがん治療をきっかけに、医療コーディネーターとして活動を始める。2003年に中間法人日本医療コーディネーター協会を設立。現在、副理事を務めるコーディネーションクリニックを中心に活動を展開している。主な著書に『生命と医療にかける橋』(生活ジャーナル)、『あなたのがん治療本当に大丈夫?(共著)』(三省堂)などがある。

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