夏の食中毒を予防するには-あやしい症状がでた時の対処法

食品から別の食品へ原因菌が広がる二次汚染を防ごう

夏に多いのは細菌性食中毒。生ものの取り扱いに注意し、自分自身も清潔に保つためしっかり手洗いを

発生件数が最も多いのはカンピロバクター

 食中毒の季節です。7~9月は、1年のうちでも細菌性の食中毒発生件数がピークとなります。食品についた病原性の細菌が増殖しても、食品の色、味、においなどには変化がないので、知らずに食べると腹痛、嘔吐(おうと)、下痢、発熱、血便などの中毒症状を起こします。原因となる細菌には次のようなものがよく知られています。

夏に食中毒をもたらす主な細菌
カンピロバクター……最近のわが国で発生件数が最も多い食中毒菌。生または加熱が不十分な鶏肉料理が原因になりやすい。少量の菌でも食中毒をおこすため、「新鮮な鶏刺し」も危ない。肉料理は牛、豚なども含め、中心部まで十分に(75度以上で1分間以上)火を通す。

サルモネラ……特に卵からの感染が危険。自家製のマヨネーズやババロア、オムレツ、スクランブルエッグなど生や半熟の卵料理に注意。卵の殻も汚染されている可能性があるので保存状態に注意。

腸炎ビブリオ……温かい海水中で増殖し、魚介類を汚染する。魚介類を生のまま常温のもとに置くのは危険。好塩菌なので海の魚介類はまず真水で洗い流すことが大切。熱に弱いのでしっかり加熱調理を。魚介類の調理に使った調理器具は洗剤と流水で洗い、そのあと熱湯消毒も。

黄色ブドウ球菌……人の体の傷口、おでき、にきび、鼻の中など身近にいて、手指から感染する。調理前には石けんで十分に手を洗い、おにぎりなどはラップに包んでにぎる。

腸管出血性大腸菌O157……生や加熱不十分の肉やレバー、ひき肉が原因になりやすい。感染力が強いので、生肉や肉汁のついた調理器具は消毒する。また、感染者のふん便や嘔吐(おうと)物などを介した人から人への二次感染の危険もあるので、汚物の処理や室内の消毒などに細心の注意が必要。

手洗い励行で自分自身も清潔に

 食中毒菌は、人の手を介して、ある場所から別の場所へと運ばれて汚染が広がります。ですから、食中毒にかからないためには、食品の衛生管理に加えて自分自身も清潔に保つことが重要になります。WHO(世界保健機関)食品安全部では、「手を洗わなければならないとき」と「正しい手の洗い方」を次のように呼びかけています。

手を洗わなければならないとき
 食品を取り扱う前、調理中も頻繁に/食事前/トイレに行った後/生肉に触った後/赤ちゃんのおむつを換えた後/鼻をかんだ後/喫煙した後/ゴミを処理した後/化学薬品を使用した後(洗浄目的のものも含む)/ペットと遊んだ後

正しい手の洗い方
(1)温かい流水で手をぬらす
(2)石けんで少なくとも20秒間、手をこすり合わせる(指先、指の間、親指、つめも洗う)
(3)温かい流水で洗い流す
(4)清潔な乾いたタオル、できれば紙タオルで手を完全に乾かす
 *お湯で洗うのが理想的だが、石けんで洗う場合は冷水でもよい

生の食品と加熱済み食品は別々に

 生の肉類とその肉汁・魚介類には食中毒菌がついている可能性があります。それらを保存するときや調理の準備のときに、ほかの食品にも移ってしまう二次汚染の危険があるので、次のような取り扱いの注意が必要です。

●生の肉類・魚介類を買うときは買い物の最後にし、すぐに別々の袋に入れて汁がほかの食品にもれないようにする。また、生の肉類や魚介類は保冷バッグに入れて持ち帰ることをすすめたい。
●冷蔵庫では、生の食品と加熱済みの食品はそれぞれ別のふたつき容器に入れ、加熱済み食品は生の食品より上の段に保存する。
●まな板や包丁、菜ばしなどの調理器具は、生用と加熱済み用に分ける。使用後はすぐに洗剤で洗い、熱湯か塩素系漂白剤で消毒しておく。

食中毒の見極め方

 食中毒の典型的な症状の一つは下痢ですが、だからといって、この時期に下痢をしたらすぐに「食中毒!」とあわてる必要はありません。食中毒の可能性があるかどうか、以下のことに注意して様子をみましょう。
 (1)便の状態・回数をチェック、(2)体温をチェック、(3)水分を十分とって脱水症状に注意、(4)安易に下痢止め薬を飲まない

 しかし、以下のような症状が出たら、すぐに受診しましょう。その際、便や嘔吐物を持参すると診断の役に立ちます。
 (1)血便が出た、(2)発熱と激しい腹痛がある、(3)水様性の下痢や嘔吐がたびたびある、(4)吐き気がひどく、水分もとれない、(5)下痢の回数が減らず、数日間続いている

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
仲真 晶子先生


東京都健康安全研究センター・微生物部食品微生物研究科長

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