医者えらびで大事なこと-納得のいく説明と治療をうけるためには

納得のいくインフォームド・コンセントを受けるために

患者さん自身が冷静かつ客観的になり、医師だけでなく医療スタッフにもサポートしてもらうこと

インフォームド・コンセントは納得する医療を受けるための大切なスキル

 最近、住民を対象にした「主治医の見つけ方」「医師との付き合い方」といった講演会に呼ばれることが多くなりました。そこで感じるのは病気になったら名医に診てもらいたい、名医といわれる人を紹介してほしいと思って講演を聞きに来る方が少なからずいるということです。

 しかし、医療を受けるときに患者さんが守らなければならないルールもあります。それは、自分ができることをするということ。つまり健康的な生活を送る、病気と向き合って生活するという生き方をも含めた「自分づくり」です。名医に診てもらえば、「治る」とか「安心」と安易に思い込むのはやめて、生活環境の中で、健康について相談できる医師を見つけ、その医師の助言を自分で実行することです。

 さて、3回にわたってかかりつけ医との付き合い方について考えてきました。1回目はかかりつけ医の役割について(『頼れる「かかりつけ医」をもつために』)、2回目は人生の最期に付き合ってくれる医師との付き合い方(『相性のいい医師を見つけるには』)。そして今回3回目は、インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)について考えてみたいと思います。

 インフォームド・コンセントとは、医師が治療について十分に説明をし、患者がそれを理解し、納得・同意をしたうえで治療を受けるという考え方です。実はインフォームド・コンセントをどのように受けるかは、納得する医療を受けるためにも、とても大切なスキルでもあります。

納得できなかったら、自分から働きかけていくことも必要

 たとえば、先日あった話です。「むくみがあって近くの医者にかかった。心臓の調子が悪いせいでむくんでいるのかもしれないので利尿薬を出すと言われた。数日後、受診するとむくみもよくなったから心臓も治ったと言われた。そんなことはないはずだ。なぜ心臓の検査をしないのか」とこの患者さんはおっしゃるのです。

 この患者さんはどうしてほしかったのでしょうか。おそらく、心臓が心配だから検査をしてほしかったのでしょう。しかし医師が検査をしてくれなかったため、そのことに不満をもったのです。一方で医師の考えは、心臓の検査は必要であれば検査をする、必要がないからしないというものです。
 その理由をどのくらい伝えるかは程度によりますが、ここで問題なのは、医師が説明を十分したかどうかというよりは、患者さんがその説明を聞いて何を理解したか、補足説明が必要かどうかを誰も関知していないということです。

 この場合、医師は、患者さんが理解していないと感じたら看護師に補足説明をさせるということも必要でしょう。またはそれを待つのではなく、患者さんのほうからまずは看護師に補足説明をしてもらうように依頼をすることもおすすめです。不満を抱えたまま帰って行くのではなく、そういった働きかけを患者さんからすることも大切なことです。

身近にいる医師や看護師とコミュニケーションをとっていくことが大切

 インフォームド・コンセントの目的は、納得のいく医療の提供にあります。「医師と対等であるべき」という考え方は、医師と同じ知識量をもつということではありません。また、「医師は十分な説明をするのは当然」という考え方のもと、わかるまで説明を聞いていいというわけでもありません。

 インフォームド・コンセントのときに、自分が何をしてほしいのか、何を不安に思っているのか、それが伝わっていない場合、あるいは自分で整理ができない場合、1回のインフォームド・コンセントですべて解決しようとせず、いったん診察室を出るのも手です。診察室を出て頭を整理し、日を改めて医師に説明してもらう時間をとってもらえばいいのです。もちろん、そのときに看護師等に補足説明をしてもらうのもよし、自分の考えを整理するのを手伝ってもらうのもいいでしょう。

 いずれにしてもインフォームド・コンセントは、医師の説明力だけに頼るのではなく、患者さん自身も冷静かつ客観的であることが必要で、周りの医療スタッフにもサポートしてもらうことで、本当の意味で納得のいくインフォームド・コンセントが受けられるのです。

 最後になりますが、インフォームド・コンセントを受けても、治療の細かいことはわからないのは当たり前。最終的には目の前の医師を信頼できるかということです。それにはやはりかかりつけ医をもち、そのかかりつけ医と良好な関係を保つことが大切です。

 何かあったときに頼りになるのは、身近にいる医師や看護師です。どこにいるかわからない名医より、身近にいる医療者とコミュニケーションをとって、信頼関係を築いていくことを大切にすることです。大きな病院で検査や治療をしなくてはいけなくなっても、信頼できるかかりつけ医の紹介であれば、慣れない環境でも安心して治療に臨めるはずです。身近に気の合うかかりつけ医をもつことを改めておすすめしたいと思います。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
嵯峨崎 泰子先生


日本医療コーディネーター協会理事長
看護専門学校、日本女子大学卒業。各科臨床看護師を経て医療専門商社勤務。その間、米国の医療センターで研修を受ける。1995年自身のがん治療をきっかけに、医療コーディネーターとして活動を始める。2003年に中間法人日本医療コーディネーター協会を設立。現在、副理事を務めるコーディネーションクリニックを中心に活動を展開している。主な著書に『生命と医療にかける橋』(生活ジャーナル)、『あなたのがん治療本当に大丈夫?(共著)』(三省堂)などがある。

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