熱めのお風呂でストレス防御と免疫力UP-細胞を修復するHPSて何?

傷ついた細胞を元気にしたり免疫力を高めるHSPの増やし方

ほどよい熱ストレスでふだんからHSPを増やしておけば、強いストレスにも対抗できる

さまざまなストレスによってHSPが増加、傷ついた細胞を修復する

 私たちの体は、病気やけがなどから、自分で自分の体を守ろうとする生体防御システムをもっています。たとえば、かぜをひいたとき発熱するのは、免疫力を高め、かぜのウイルスの攻撃に対して体を守ろうとしているからです。また、小さな切り傷くらいなら、大量に出血しないように、自然に血液が固まって止血するようになっています。

 病気やけが以外にも、夏の暑さや冬の寒さ、紫外線、疲労、精神的なストレスなど、私たちはさまざまなストレスにさらされています。これらのストレスに対しても、防御システムは働いています。ストレスを受けると、細胞内のたんぱく質が傷ついて構造がくずれ、病気の原因になったりしますが、一方では細胞自らが、傷ついたたんぱく質を修復する物質を作り出しているのです。

 その物質は、熱というショック(ストレス)によって増えるたんぱく質であることから、HSP(Heat Shock Protein=熱ショックたんぱく質)と名づけられています。HSPは、さまざまなストレスによって細胞のたんぱく質が傷ついたとき、それを修復したり、免疫力を高めたりする重要な役目を果たしています。
 実際は、HSPにはさまざまな種類があり、熱以外でもさまざまなストレスによって増加しますが(別名、ストレスたんぱくとも呼ばれる)、ここでは、熱ストレスによって最も増え方が大きいタイプのHSP(HSP70ファミリー)について解説します。

週2回の「マイルド加温」でHSPを増やそう

 HSPのすごいのは、一度熱ストレスにさらされた後でより高い熱ストレスにさらされたとき、これによる傷害を軽減できること。さらに、熱ストレス以外のほかのストレスに対しても抵抗性(ストレス耐性)を示すことです。しかし、ストレスが強すぎたり、長く続いたりすると、不足したりなくなったりして、細胞の傷の修復ができなくなってしまいます。病気やけががなかなか回復しなかったり悪化したりするのはそのためです。

 そこで、いざというときに備えてふだんからHSPを増やしておくことをおすすめします。最も簡単かつ安全なのは「体を温めてほどよい熱ストレスを加える」ことです。
 体を温めるというと、「がんの温熱療法」がよく知られています。43度以上の熱でがん細胞を死滅させる方法ですが、手軽にHSPを増やす方法として、40~42度のマイルドな熱を利用して体を温める「マイルド加温」があります。「小さなストレスを加えて、大きなストレスに備える方法」といったらよいでしょう。

 体内のHSPは、マイルド加温をしてから2日後をピークに1~3日後増加し(ピークは人によって異なるので、自分で確かめよう)、7日後には元のレベルに戻ります。HSPを高レベルに保つためには、HSPが増えた後、元に戻りきらないうちに、再度マイルド加温をすることです(土曜日にマイルド加温し月曜日元気よく出社し、次に火曜日に加温し週半ばを元気に過ごすのも一手です)。マイルド加温によって、次のような効果が認められます。

●HSPが高まる→生体防御、ストレス防御に役立つ
●免疫力が高まる→がんや感染症の予防に役立つ
●体温が上がる→代謝が活発になり、脂肪燃焼効果がある
●疲労物質が減る→運動能力がアップする
●汗が出る→老廃物を排出する
●痛み緩和物質(エンドルフィン)の誘導→痛みを緩和する

HSPを増やすお風呂の入り方

 家庭で手軽にできる「マイルド加温」といったら入浴です。適切な方法で入浴をすると、HSPを高レベルに保つことができるので、ぜひ試してください。

 まず、湯温計と体温計を用意します。温度表示のついているお風呂でも、正確に湯温を測るため、湯温計が必要です。また、体温計は舌の下で測ります。水分補給のために、ペットボトル1本分(500ml)の水分(常温か微温)も忘れずに。

 まず、入浴前にコップ1杯ほどの水分を摂取しておくと汗がよく出ます。かけ湯をして浴槽に入ったら、肩まで浸かります。お湯が冷めないように、頭が出ているところ以外は、できるだけ浴槽のふたをするとよいでしょう。HPSを増やすのにもっとも重要なのは、体の芯まで温めること。体温を1~2度上げ、38度以上を目指しましょう。(冬は浴室も冷えているので、洗い場に湯を撒くなどして温めておくとよい)
 湯に浸かりながらときどき舌下温を測り、どのくらいで体温38度になるのかつかんでおくとよいでしょう。湯に浸かっている合計時間の目安は、40度なら20分間、41度なら15分間、42度なら10分間です。

 熱くなったら浴槽から出てもかまいません。はじめから無理をせず、徐々に体を慣らしていくことが大切です。とくに血圧が高い人、高齢者、体力のない人などは、決して無理をしないでください。半身浴にして、40~42度で20~30分を目安に、体に負担がかからないようにすることが大切です。

 入浴後もHSPは増加するので、お湯から出たら素早く体をふき、体を冷やさないようにタオルケットや毛布などを巻き、10~15分間保温します。汗をかくので、最後に水分補給と着替えをしましょう(入浴剤の利用は保温力を増します)。

 週2回の「マイルド加温」でHSPを増やし、病気の予防や不調の改善、ストレス対策、運動会・引っ越しの筋肉痛予防、試合・本番の備え、ダイエットなど、美容と健康に役立ててください。詳細は『HSPが病気を必ず治す』伊藤要子著(ビジネス社)を参照ください。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
伊藤 要子先生


愛知医科大学医学部泌尿器科学講座准教授
名城大学薬学部卒業後、名古屋市立大学医学部で医学博士を取得。愛知医科大学医学部では生理学講座、放射線医学講座、核医学センターを経て、現職に至る。体を温めると増加するHeat Shock Protein (HSP:熱ショックたんぱく質)の基礎および臨床研究に携わっているHSP が大好きな研究者。HSPには生体防御作用、免疫増強作用、分子シャペロン作用があり、我々をストレス、傷害、感染などから人知れず守ってくれる。多くの人が自分の細胞にあるHSPの存在を知り、自分の健康に役立ててほしい。

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