1日に飲んで良いアルコールの量-飲みすぎ・食べすぎを防ぐコツ

アルコールに強い体質の人ほど、飲みすぎが問題になる

自分の適量を知って楽しく、健康に。飲みすぎ、食べすぎを防ぐには、飲む前に軽く食べておくといい

アルコールの処理能力には個人差がある

 12月から1月にかけて、パーティーや忘年会、新年会など、お酒を飲む機会が続きます。飛ぶように出ていく財布の中身も気になりますが、飲みすぎによる二日酔い、肝臓へのダメージ、エネルギーのとりすぎによる太りすぎにも注意が必要です。
 意外にこうしたことが問題になるのは、アルコールに強い人のほうです。肝臓でのアルコール処理能力が高いため、ついグイグイと飲みすぎてしまうからです。

 アルコールは肝臓に入ると、アセトアルデヒドという体に有害な物質に分解されます。アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸に分解され、最終的には水と炭酸ガスになって体外に排泄されます。
 ところが、このALDHの働きには個人差があり、日本人のおよそ4割は働きが弱いといわれます。そのためアセトアルデヒドが分解されにくく、アルコールを飲むと顔が赤くなったり、頭痛や吐き気、頻脈などの不快な症状が起こったりします。

 このような不快症状が起これば、それ以上お酒を飲むことはできません。体が受けつけないからです。一方、ALDHがよく働くタイプの人、つまりアルコールに強い人は、お酒を飲んでも不快な症状が起こらないため、どんどん飲んでしまいがち。その間、ALDHはアセトアルデヒドを分解するために一生懸命働いています。こうして肝臓は酷使され、疲れきってしまうのです。

アルコールの「適量」は純アルコールで1日平均20g

 飲みすぎによるいろいろな問題を防ぐには、「適量」を守ることが大切です。といっても、どれくらいが適量なのか、「いける」口の人ほど多めに見積もりがちです。飲んだ翌朝、頭痛や吐き気がする場合はいうに及ばず、体がなんとなくだるい感じがするときも飲みすぎといってよいでしょう。

 厚生労働省では、「節度ある適度な飲酒」量として、純アルコールで1日平均20gとしています。普通に飲める健康な成人男性の場合、肝臓で処理できるアルコールの量は1時間に7g程度とされるので、20gというのは3時間程度で分解できるアルコールの量に相当します。女性の適量は、一般的に男性の6割程度とされています。

 純アルコール20gをお酒の種類ごとに換算すると、ビールは中ジョッキ1杯(500ml)、日本酒1合(180ml)、焼酎25度でコップ1/2杯(100ml)、ワインはグラス2杯(240ml)、ウイスキー40度でシングル2杯(60ml)といったところです。
 純アルコール量(g)は、飲んだ量(ml)にアルコール度数(%)とアルコールの比重(0.8)を掛ければ求められます。たとえば、アルコール度数5度のチューハイを中ジョッキ1杯(500ml)飲んだとすると、以下の計算により、純アルコール量は20gとなります。

 500×0.05×0.8=20

 実際に飲んだ純アルコール量がわかると、アルコールが体から抜ける時間も計算することができます。上の計算で求めた純アルコール量を1時間に処理できる7gで割ればよいのです。もし、飲んだ純アルコール量が70gだとすれば、処理するのに10時間もかかることになります。

 お酒を飲みすぎると、アルコールの処理に時間がかかり、肝臓は働きすぎて疲れてしまいます。肝臓には、アルコールの分解のほかに、栄養素の代謝、消化酵素・ホルモンの製造など、健康を維持するための重要な働きがあります。アルコールの分解だけにかかわっていると、こうした重要な働きもおろそかになります。

 長期にわたりお酒を飲みすぎると、中性脂肪が増え、肝臓に脂肪として蓄積され、脂肪肝のリスクを高めます。また、肝臓への負担が肝繊維症、アルコール性肝炎、さらには肝硬変、肝がんなどを引き起こすこともあります。また膵臓への影響も見逃せません。急性膵炎などは、肝臓の強い人がお酒を飲みすぎることによって起こす場合もあるのです。

 ふだん、純アルコールにしてどのくらい飲んでいるか、その処理にどれだけ時間がかかっているか、ぜひ計算してみてください。気づかずに、肝臓そして膵臓を酷使しているかもしれません。

飲みすぎ、食べすぎを防ぐコツ

 お酒には、肝臓や膵臓を酷使するだけでなく、アルコールの食欲増進効果で食べすぎて肥満になったり、生活習慣病の原因にもなるという弊害もあります。アルコール自体が高エネルギーのうえ、つまみも高エネルギーかつ塩分高めのものが多いからです。

 飲みすぎ、食べすぎを防ぐには、飲む前に何かを軽く食べておくとよいでしょう。空腹だと、お酒もつまみも、次々と注文して口に入れてしまいますが、飲む前に軽く食べておくと自制が利きやすく、その後飲んだり食べたりの加減がしやすくなります。大豆や食物繊維、たんぱく質などの栄養補助食品なら低エネルギーで手軽、飲み会の前におすすめです。

 つまみは、つい油っこいものを注文しがちですが、胃腸などで消化するのに負担がかかって悪酔いしやすくなります。野菜スティックなら、ビタミン、ミネラルをとれ、食物繊維も豊富なので食べすぎを防げます。また、イカ、タコ、エビ、貝類も、お酒のつまみに適しています。胆汁酸の分泌を盛んにするアミノ酸の一種「タウリン」が豊富で、肝臓の働きを助けてくれるのです。

 お酒の飲み方自体も、少しずつ変えていくとよいでしょう。焼酎やウイスキーは、ストレートやロックではなく、水割りにすると、アルコール量を少なく抑えられます。また、お酒と同時に水も注文し、お酒を一口飲んだら水を飲むというようにすると、胃へのアルコールの刺激を弱くしたり、飲みすぎを防いだりすることができます。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
蒲池 桂子先生


女子栄養大学栄養クリニック准教授・主任
1985年女子栄養大学栄養学部栄養科学専攻卒業。東京慈恵会医科大学内科学講座を経て、2003年4月より女子栄養大学栄養クリニック主任、2006年より現職。一般人対象のヘルシーダイエットコース、個別栄養相談、企業向け栄養コンサルティングを展開している。管理栄養士、栄養学博士。

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