かかりつけの診療所をみつけるコツ-なんでも相談できる看護師

普段から小さなことも相談し、看護師とコミュニケーションを

知っているようで知らない看護師の役割。よいかかりつけ医(診療所)にはよい看護師がいる可能性が高い

看護師に求められる役割とは

 最近では看護師の専門家志向が話題になりますが、臨床現場、とくに患者さんにとっては、看護師の専門性はあまり重要ではありません。患者さんにとっては気がきいて、気を配ってくれる看護師がいてくれることのほうがずっと大切です。
 例えば、診察待ちの時間に気分が悪くなったとき、伝えなくても気がついて、そっと声をかけて休める場所を用意してくれるとか、何気ない会話の中で食生活のアドバイスをしてくれるとか、医師とうまくいかないときに間に入ってくれるとか、そういった役割が、医療現場では大切なことなのです。

 患者さん一人ひとりのニーズを聞き可能な範囲で応える、どうしたらニーズを満たせるか一緒に知恵をしぼって考える、それが看護の本質です。看護師の役割を記してある「保健師助産師看護師法」の中では、看護の役割は“診療の補助”と“療養上の世話”になっています。法律上明確な業務内容が記されていないのですが、逆に、このことが看護の自由度を支えてくれていると考えています。

 しかし、このような法律を最大限に活用できる看護師は、実はあまりいません。専門家志向もいいですが、現場で知恵をしぼり、患者のために創意工夫をしていくような看護師が増えればいいなと思っています。
 そこで今回は、看護師の活用法について述べてみたいと思います。

味方につけたいのは、地域のかかりつけ医(診療所)の看護師

 まずはじめに、どんな看護師を味方につけるといいのでしょうか。私が考えるのは診療所(医院やクリニックなど)の看護師です。大学病院や総合病院の看護師は役割分担が細分化されているなど業務の関係上、どうしても普段の生活に即して患者さんとコミュニケーションをとることが難しく、機械的になりがちです。大学病院や総合病院を受診するときは、看護師との関係をある程度割り切って考えておくこと、その代わり、地域のかかりつけ医(診療所)の看護師を味方につけておくことをおすすめします。

 先日、がんを患い総合病院にかかっていた患者さんの話を聞きました。その方は地域のかかりつけ医(診療所)をもっておらず、退院後は、便の形状やおなかの張り具合、食欲の有無といった日々の体調の一つひとつに不安をもっていました。そうした細かいことが不安になるとは、もちろん入院中には思いもつかないことなのです。もしくは実際に身に起こって初めて確かめたくなるようなこともあります。

 しかし、そんな細かいことを聞くために総合病院に行っても煙たがられるだけ。また、顔なじみの看護師がいなければ、気軽に聞くこともできません。
 がんの闘病時はもちろん、そうでない病気のときも、日常生活で気になる体調といった細かいことについて、普段からかかりつけ医(診療所)の看護師とコミュニケーションをとっておけば、何かあったときに気軽に聞けますし、ある程度のことは診療所でも対応できます。また、大きな処置が必要かどうか、大きなまたは専門的な病院へ行ったほうがいいかどうかの判断もしてくれるので、無駄な時間がかかりません。
 何しろ病気のときは、「行きやすい」、「尋ねやすい」という条件がとても重要になってくるのです。

 しかし、診療所の看護師のほうにはまだまだその認識がありません。つまり、患者さんへの適切な医療情報の提供やトリアージ(患者の状態を見分け、優先順位の高い人から対応する)、医師との調整、ほかの医療機関との連絡調整を自らの仕事として行う看護師は多くありません。

日常のことにも関心をもち、相談にのってくれる看護師を探そう

 どうしたら、そういった仕事をしてくれる看護師に会えるでしょうか。まずは前回まで書いてきたような視点でかかりつけ医(診療所)を探すこと。そして、そこにいる看護師とコミュニケーションをとっていくのです。もちろん、「早く診察して」とか「薬を多めにほしい」とか患者さんの理不尽な要求やルール違反のお願いは論外。常識の範囲内での行動が必要です。その上で採血などの処置の折に、病気に伴って困っていること、日常生活で改善したいことなどを話してみてください。

 そのときに関心をもってくれ、親身になって話を聞いてくれそうな看護師であれば、大丈夫。地域に愛着をもち、日常のかかわりを重視しているような看護師は、診療所に向いており、地元の患者さんやその家族にまで関心をもち、健康相談にも親身になってくれるはずです。「変わりないですか?」「介護の疲れは大丈夫?」「禁煙続けられていますか?」そんな言葉が出てくる看護師なら、身近な相談相手として適しています。

 普段診療所に行かない方も、健診(検診)やワクチン接種などを口実に診療所に行ってみましょう。あまり雰囲気がよくなければ、翌年は別の診療所にすればいいのです。いずれにしても、よいかかりつけ医(診療所)を見つけられたら、そこにはよい看護師がいる可能性が高いはず。まずは感性を研ぎ澄ませて、自分のかかりつけ医(診療所)を探しましょう。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
嵯峨崎 泰子先生


日本医療コーディネーター協会理事長
看護専門学校、日本女子大学卒業。各科臨床看護師を経て医療専門商社勤務。その間、米国の医療センターで研修を受ける。1995年自身のがん治療をきっかけに、医療コーディネーターとして活動を始める。2003年に中間法人日本医療コーディネーター協会を設立。現在、副理事を務めるコーディネーションクリニックを中心に活動を展開している。主な著書に『生命と医療にかける橋』(生活ジャーナル)、『あなたのがん治療本当に大丈夫?(共著)』(三省堂)などがある。

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