便秘しない腸内環境をつくる方法-気をつけたい9つのこと

オリーブオイルと水溶性食物繊維で便秘解消

食生活の変化に加えストレスや運動不足も腸内環境悪化の原因、十分な水分補給とマグネシウム効果も活用

ライフスタイルの改善から始めよう

 日本人の“腸内環境”が悪くなっているようです。それは、おなかの張りや痛み、便秘などの症状でクリニックを訪れる人が増えていることに如実にあらわれています。

 腸内環境の悪化がもたらす症状はおなかの張りや痛み、便秘にとどまりません。便やガスに含まれている毒素が多くなり、腸の血管から吸収されて全身に回ると、肌荒れ、頭痛、肩こり、疲労感などをもたらします。さらに悪いことは、全身の免疫力を支える腸内の善玉菌が減って悪玉菌が増えるため、免疫力が低下してしまいます。そのあらわれといえそうなのが、1980年代以降の大腸がんの急増です。死亡率でみると、人口10万人に対して大腸がんで亡くなった人は、1980年は12.7でしたが2008年は34.2、30年足らずで約2.7倍にもなっています。

 環境悪化の背景には、食生活の欧米化をはじめとするライフスタイルの大きな変化があると考えられています。ですから、これらの日常的な症状は薬の投与だけでなく、ライフスタイルの見直しから手をつけなければ改善できるものではありません。環境を整え、“腸スッキリ”な生活に戻るための実践法をご紹介しましょう。

腸内環境を悪化させるライフスタイルとは

 腸スッキリ法をご紹介する前に、ライフスタイルにかかわるどのようなことが腸内環境を悪くするのか、その主な原因をあげておきましょう。

●偏った食生活
 朝は忙しいとか、ダイエットのため、などの理由で朝食をとらない人がいます。朝食を抜くと、朝に起こるはずの最も活発な胃腸の運動(大ぜん動)が起こらないため、腸の運動が低下してしまいます。

●食物繊維の不足
 食物繊維は便通をスムースにしますが、日本人の摂取量は減り続けています。穀類、いも類、野菜などの摂取量が少なく、若い世代ほど減少が目立ちます。また、朝食をとっていてもその量が少ないと、食物繊維の摂取量が不足します。

●ストレス過剰
 腸には脳に次ぐ多くの神経細胞があり、脳と同じように自律神経の回路によって情報を伝達しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、両方のバランスがうまくとれていると腸内環境は良好に保てます。ところが、大きなストレスにより緊張感が強まると交感神経が優位になり、腸の運動を抑えてしまうのです。

●不規則な生活
 夜更かしなどで生活リズムが乱れることも交感神経を優位にし、腸の運動を抑制します。旅先などで一時的に便秘になることがありますが、これもいつもと異なる生活リズムの影響です。

●運動不足
 体を動かすことが少ないと、腸や排便に関係している筋肉の働きも低下します。

便を軟らかくする水や食べ物をしっかりとって排便力をアップ!

 さて、腸内環境を悪くする主な原因が分かれば、それらを改善していけば腸内環境もよくなるはずです。また、腸内の善玉菌を増やす食品としてヨーグルトや乳酸菌飲料などがよく知られていますが、最近はオリゴ糖(果物や大豆などに含まれる)や植物性乳酸菌(漬物、みそなどに含まれる)も注目されています。ここでは、さらに排便力をアップする方法をみていきましょう。

●水溶性食物繊維を十分にとる
 食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。どちらも排便をスムースにするのに欠かせませんが、不溶性食物繊維の多いいも類や玄米などを多くとると、ガスがおなかにたまったりして、かえって排便しづらくなることもあります。便秘の改善には、腸内に水分をためておいてくれる水溶性食物繊維を多めにとることをおすすめします。
 水溶性食物繊維はわかめや寒天などの海藻類、こんにゃく、果物、野菜、豆類などに多く含まれます。果物ではキウイフルーツ、いちご、いちじく、アボカド、りんごなどに、野菜はにんじん、ごぼう、オクラ、たまねぎ、トマト、じゃがいもなどに多く、大豆は納豆にすると量が増えます。粉寒天をお米に混ぜて炊いたり、細寒天をスープに入れるなど、寒天を活用すると手軽に水溶性食物繊維を増やすことができます。

●水分を十分にとる
 飲むのはまず、朝の起きぬけに冷たいのをコップ1杯。これが空の胃を刺激し、大腸の運動を促します。その後はこまめに飲むようにします。便を軟らかくするためにも、水分は大切です。

●オリーブオイルを活用
 短い時間に多めにとると、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸が腸内に多量にとどまって硬い便を軟らかくします。オリーブオイルの活用例をあげておきます。
 野菜ジュースに加える(大さじ1杯)/納豆に入れてかきまぜる(ティースプーン3杯)/みそ汁に入れる(大さじ1杯)/水溶性食物繊維の多い野菜スープを作るとき、野菜をいためるのに多めに使う/野菜サラダに塩や酢とともにかける/野菜いために使う/湯豆腐を食べるときにしょうゆと一緒に

●マグネシウムの多い食品を
 便を軟らかくする働きがあり、昔から薬剤としても使われています。にがり、岩塩、硬質のミネラルウオーターに多く含まれています。マグネシウムの多い食材をあげておきます。
 こんぶ、ひじき、かき、かつお/玄米/納豆、落花生、ごま/さつまいも、ほうれん草

(『腸がスッキリきれいになる本』松生 恒夫著、法研より)

【監修】
松生(まついけ) 恒夫先生


松生クリニック院長
1980年東京慈恵会医科大学卒業後、同大第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2004年より現職。医学博士。日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会認定専門医、日本東洋医学会専門医、日本大腸肛門病学会専門医。専門領域は、大腸内視鏡検査(現在までに2万件以上施行)、生活習慣病としての大腸疾患、地中海式食生活(地中海式ダイエット)、漢方療法、ストレス対策としてのポップ・ミュージック。著書に『ビートルズでおなかスッキリ』(法研)、『新オリーブオイル健康法』(講談社)など多数。

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