介護生活をサポートするさまざまなサービス-上手に利用する方法

介護保険以外にもサービスがたくさん。上手に活用しましょう

自治体、地域のボランティアやNPO、民間企業などが、高齢者や家族をサポートするサービスを提供

介護保険以外に公的・民間を問わずさまざまなサービスが

 介護保険制度による介護サービスは、介護生活を応援する力強い味方。いざ介護が始まったときには、まず最初に検討し導入したいですね。ただ、介護保険で利用できるサービスは、対象者や内容、回数などに条件や制限があります。そこで、今回は介護保険の枠にとらわれないさまざまなサービスをご紹介します。

 高齢者や在宅介護をする家族をサポートするサービスは、介護保険サービスのほかにもたくさんあります。最近では、地方自治体、地域のNPOやボランティア団体、民間企業などによるサービスが増えてきました。介護保険サービスが利用できない場合にそれらのサービスを利用したり、介護保険サービスに組み合わせるなど上手に活用しましょう。より安心な介護生活が実現します。

困ったときの猫の手大作戦 民間サービス活用のおすすめ

 近年、さまざまな民間企業が介護サービスを開発、提供し始めています。費用はかかりますが、対象者に制限がないため介護する人、される人のニーズにきめこまやかに応えてくれます。

●見守りサービス
 ガスやポットの使用状況、1日の歩数などを指定した携帯電話やパソコンに送信、使用状況が確認でき、離れて暮らす親の暮らしをうかがうことができます。

・東京ガス(株) みまも~る
・象印マホービン(株) みまもりほっとライン
・(株)NTTドコモ らくらくホン 歩数計を使った送信サービス (FOMAなど)
・セコム(株) セコム無線画像伝送システム など

●緊急通報サービス
 自宅内で急な発作や転倒が起こったとき、通報装置(ペンダント型、腕時計型など)のボタンを軽く押すと救急信号を発信し、緊急連絡先へ通報されます。ホームセキュリティのオプションとしてなど、サービス内容は各社異なります。

・セコム(株) セコム・ホームセキュリティ 「マイドクター」
・安全センター(株) http://www.anzen-1.co.jp/ など

●食事の宅配サービス
 最近は高齢者向けの食事の宅配サービスが充実してきました。摂取エネルギーや栄養バランスの配慮はもちろん、飲み込む力や咀嚼(そしゃく)力が弱くなる高齢期には、これまでとは少し異なった食事のニーズが発生します。糖尿病や高血圧などの治療食に対応するなど、ニーズによってさまざまなタイプがあり、安否確認を兼ねるものもあります。試食コースを取り寄せて検討してみましょう。

・(株)シニアライフクリエイト 宅配クック1・2・3
・(株)メディカルメイト 宅配メディカルレストラン など

●家事支援サービス
 一人暮らしの高齢者、介護する人の体調が一時的にすぐれない、入院中、介護も育児も行っている……。それぞれの事情に合わせてホームヘルパーが自宅を訪問し、介護保険の枠にとらわれないサービスを行います。24時間体制でホームヘルプサービスを活用することも可能です。

・(株)ダスキン ダスキンホームインステッド
・(株)ニチイ学館 家事代行サービス
・(株)ポピンズコーポレーション シルバーサービス「VIPケア」(関東、関西、名古屋エリアの一部) など

NPOやボランティア団体が運営する、ホットなサービス

 地域のNPOやボランティア団体などが提供する高齢者のサポートサービス。多くが有償ボランティアによって、支え合いの精神で行われています。

●家事支援サービス
 ボランティアヘルパーを利用できます。例えばNPO法人NALC(ニッポン・アクティブライフ・クラブ)は会員制で、時間預託制度により地域で支え合う仕組みを、全国規模で実施しています。時間預託制度は、家事支援など介護サービスを提供した場合、その時間を預託しておき、家族や自分自身にもしも介護が必要となったときにサービスを受けられる仕組みです。

NALC

 そのほかにも生活協同組合が運営するワーカーズコレクティブや、さまざまな団体が行うサービスがあります。これら地域で活動するボランティア団体の情報は、市区町村や地域包括支援センターで把握しているとは限りません。地元の社会福祉協議会などで情報をまとめている場合もありますので、お問い合わせください。

自治体が運営する生活支援サービス

 地域の実情に即し、福祉、介護のニーズに応えています。全国の自治体でそれぞれメニューを揃えていますが、対象者は一人暮らしや重介護者などに限られています。お住まいの地域によりサービスメニューや利用条件、料金などは異なりますので、市区町村の窓口、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどに相談してみましょう。ここでは一例をご紹介します。

●配食サービス
 買い物や調理が困難な高齢者に対して、栄養バランスのとれた食事を届けます。

●緊急通報システム
 家庭内での緊急事態に対する不安の軽減を図るとともに、緊急事態に迅速に対応するため、緊急通報システムを設置します。(民間サービスよりも低価格で利用可能)

●家事支援サービス(保険適応外のホームヘルプサービス)
 介護保険で非該当の認定を受けた方が、在宅で自立した生活を送るための買い物、掃除、調理などの支援を行います。

●訪問理美容サービス
 寝たきりで外出が困難な高齢者に対して、美容師や理容師が自宅を訪問し、頭髪のカット、調髪などのサービスを行います。

●寝具乾燥サービス
●紙おむつ支給制度
●移送サービス など

その他のサービス

●シルバー人材センターの活用
 全国シルバー人材センター事業協会(厚生労働省管轄の公益法人)では、65歳以上の高齢者が得意分野を活かしてサービスを行っています。家事や福祉サービスなどのほかにも大工仕事や庭木の剪定、ペンキ塗りなど生活に必要なサポートが低価格で受けられます。例えば大きな不用品のゴミ出しサポートを依頼し大変助かったという方がいました。
 介護に限定しない暮らしのサポートも必要ですね。上手に活用してみてください。

(社)全国シルバー人材センター事業協会
シルバー仕事ネット

※今回ご紹介したサービスは地域ごとに異なります。(介護保険は全国一律)
※地方自治体や民間のサービスには提供エリアが限定されているものもあります。各自治体、企業にお問い合わせください。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
川上 由里子先生


介護コンサルタント
ケアマネジャー、看護師、福祉住環境コーディネーター2級、産業カウンセラー。1984年より13年、大学病院、高齢者住宅(聖路加レジデンス)などで看護師として勤め、現在は三井不動産(株)ケアデザインプラザにて、シニアライフ提案のコンサルティングや講演を行う。著書に『介護生活これで安心』(小学館)。08年5月より、ニッポン放送「ラジオケア・ノート」(奇数月第4週の月~金)にレギュラー出演中。08年春より自身も父親の遠距離介護を体験中。

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