妊娠中、夫のサポートが必要なとき-その4 育休の申請について

イクメンのための育児休業のすすめ

育児休業制度の内容や実際の申請方法などを知って、上手に活用しよう

父母ともに育児休業をとると期間が延長できる

 これまで3回にわたって、妊娠がわかったときに「夫に知っておいてもらいたい7カ条」について書いてきました。今回は、イクメンになるために、育児休業制度をうまく利用する方法についてお伝えします。
 イクメンとして、パートナーにも、赤ちゃんにも、職場のみんなにも、喜んでもらえるように、上手に育児休業をとるようにしましょう。半年前くらいから、準備を始めるといいですね。

 育児休業とは、子どもが産まれてから1歳になるまでの間、申し出た期間を休業できる制度です。父母ともに育児休業を取得する場合は、1歳2カ月になるまで延長することができます(育休の期間は1年以内)。後述するような一定の条件に該当する場合は、1歳6カ月まで延長できます。また、妻が育児休業中でも、専業主婦であっても、父親が育児休業をすることは可能です。さらに、子の出生後8週間以内の期間内に、育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくとも、再度の取得が可能です。

 出産後の母親は、体と心の変化が大きいうえに、子どもの世話で眠れない日々が続きます。この時期の、父親のサポートがとても重要です。妊娠前や妊娠中には何の問題もなかった人でも非常に不安定になるものです。この時期にがんばりすぎてしまうと、体力の回復が遅れてしまったり、精神的に不安定になったりすることもあります。
 昔のように、近所に親戚がいて何かと手助けしてくれることは少なくなり、実家の両親の手助けにも限度があります。できれば、出産して自宅での生活が落ちつくまでの2週間~1カ月間くらいお休みして、ママと子どもと一緒に過ごす時間を作ると、その後の子育てもうまくいきますよ。

上手に育児休業をとって、ともに楽しみながら子育てを

 育児休業の取得は、法律に基づく労働者の権利であり、基本的に会社はその取得を拒否・制限することはできません。契約社員などでも、申出時点において、以下の2つの条件を満たせば取得できます。
 1.同じところで1年以上働いている。
 2.子どもが1歳になった後も引き続き働く予定である。

 休業中の賃金は、労使間の取り決めによりますが、休業期間中に賃金が支払われない場合でも、雇用保険から最高で月額賃金の50%相当額が支給される「育児休業給付金」があります。上限額は204,750円 と決められているので、給料の支給総額が毎月41万円以上の人は、この上限額で頭打ちです。
 また、育児休業期間中は、社会保険料(健康保険、厚生年金保険)が本人負担、事業主負担とも免除されます。

 育児休業を上手に活用するために、申請方法や申出の期限などを知っておきましょう。

●育児休業の申請は、休業開始日の1カ月前までに
(1)事業主への申出
 ○育児休業の申出は、休業開始予定日と終了予定日を明らかにして、書面で行うようにします。また事業主から必要な証明書類の提出を求められれば提出します。
 ○申出期限は、休業開始日の1カ月前までとされています。
 *ただし、出産予定日前に子が出生したことなどの事由が生じた場合は1週間前までに申し出ます。

(2)休業の申出の撤回
 休業開始予定日の前日まで、育児休業の申出は撤回できます。
 *ただし、いったん撤回すると再度の申出はできません。

(3)休業開始予定日の繰上げ
 出産予定日前に子が出生したなどの事由が生じた場合は、1回に限り開始予定日の繰上げができます。

(4)休業終了予定日の繰下げ
 休業終了予定日の1カ月前の日までに申し出た場合、1回に限り終了予定日の繰下げができます。

(5)1歳から1歳6カ月までの育児休業
 子が1歳に達する日においていずれかの親が育児休業中であり、かつ次の事情のある場合に取得できます。申出期限は休業開始予定日の2週間前までです。
・保育所入所を希望しているが入所できない場合
・子の養育を行っているもう一人の親(配偶者)であって、1歳以降に子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病等により、子を養育することが困難になった場合

●いつからの休みを申請するか?
 経過が順調な母子が実際に自宅に帰ってくるのは出産後1週間ほどたってからです。そこからが、パパの出番です。ただし、出産予定日はあくまで「予定」です。実際には予定日より遅れることは結構あります。出産予定日から休むことにしていると、本当に手伝ってほしい時期には休みが終了してしまうことになりかねません。

 育児休業の開始日を早めるのは簡単ですが、延期するのは難しいので、予定日より2週間程度遅く申請しておいて、早く産まれたら即行で日程を変更する作戦がベストでしょう。もし予定より早く出産したら、休業開始日の繰上げ請求を出産のその日に行えば、ちょうど退院日の頃から育児休業に入れます。もちろん、仕事の整理や、人事担当者への相談は半年前くらいから始めておきましょう。
 たとえば、6月16日が予定日なら、その約2週間後の6月30日からの取得を1カ月前までに申請しておきます。予定が早まって6月8日に分娩となったら、その日に繰上げを請求すれば、制度上は1週間後の6月15日から育児休業に入ることができます。もちろん、急な変更による会社の都合も考えないといけないのは当然ですけどね。


 現在、約3割の男性が「育児休業を取得したい」と希望している一方で、実際の取得率は1.72%にとどまっています。また、日本の男性が家事・育児をする時間は他の先進国と比べて最低水準となっており、そのことが子どもを持つことや妻の就業に対して悪影響を及ぼしています。
 厚生労働省では、男性の育児休業取得率を2017年度には10%に、2020年度には13%に上げることなどを目標に掲げ、ワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んでいます。

 子育ては、その場にいなくてはできないことがたくさんあります。とくに産まれて3カ月くらいの子どもは日々変わっていきます。子どもの変化を楽しみながらパートナーと一緒に子育てしましょう。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
太田 寛先生


産婦人科専門医、北里大学医学部公衆衛生学 助教
1989年京都大学工学部電気工学科卒業後、日本航空株式会社羽田整備工場に勤務。2000年東京医科歯科大学卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院産婦人科、日本赤十字社医療センター産婦人科勤務を経て、現在は北里大学医学部に勤務。平成21年度厚労科研費補助金「新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中や授乳中の人へ」パンフレット作成委員。日本医師会認定産業医、日本産科婦人科学会専門医。

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