妊娠中、夫のサポートが必要なとき-その5 外で子どもと遊ぶ時

子どもと一緒にお出かけしよう

パパだからできることがある。子どもが小さいうちに、一緒に遊ぶことが大事

子どもと遊べる期間は短いのです

 今回は、子どもと一緒のお出かけについてです。子どもが小さいときのお出かけは、色々と持って行くものも多くて大変なので、力のある男性のほうが有利な面もあります。小さいときはあっという間に過ぎてしまうので、一緒に遊びに行く時間を大切にするといいですよ。

 私が子育てしていた頃のことを少しお話しましょう。子どもがまだ小さかった頃、近くの公園や海によく遊びに行ったものでした。外で遊ぶほうが刺激も多いし、楽しいことも多かった。最初は30分くらい、抱っこしたままいろいろなものを触ったりするだけでした。そしてハイハイができるようになった頃、カバーオール(ツナギのような上下一体の洋服)を着せて、地面でもどこでもハイハイさせていました。服の膝の部分は擦り切れて、靴は親指の部分がすり減って、すぐに穴が開いていたなあ。土や草を触って、すべり台を腹ばいで滑って、楽しそうに遊んでいました。
 水遊びが大好きで、水たまりや噴水なんかがあると、飛び込んで行ってずぶ濡れになっていたので、ちょっと遠くにお出かけするときには、必ず2セットくらいの着替えを用意していました。何回濡れてもいいように。それでも足りなくて、Tシャツを買ったりしたこともありました。

 高いところに手が届いたり、ちょっと危ないところでも遊ばせてあげられるのは、パパだからこそ。「たかい・たかい」で遊ぶときは、子どもを3メートルくらい宙に投げ上げたりしていました。振り返ってみると、父親が子どもと遊べるのは10年くらいしかない。自分の反省を込めて言えば、子どもが小さいうちに一緒に遊ぶのが大事でしょう。
 小学生になって、いろいろなことに興味をもつのは、その時に何の制限もしないで遊ばせていたからかなと思っています。好きなことだけしかやらないようになったのも、そのせいかもしれませんが……。

子どもを連れてお出かけするときの心得

 イクメンとして、子どもと自分だけで外にお出かけをしてみましょう。ママとのお出かけとは違う世界に、子どもはウキウキすることでしょう。またママにとっても、大切な息抜きになることでしょう。
 子どもにとっては、外の世界は新鮮な発見がいっぱいです。風が肌にあたる感覚、草や土のにおい、水の冷たさ、陽の光、虫や動物など、すべてが子ども、とりわけ赤ちゃんにとってのいい刺激になります。小さいうちから汗をかいておくのも、体温調節には大事なことです。熱中症にならない程度に、汗をかいて遊ばせましょう。
 遠くに行かなくても、近くの公園でも十分です。危険な行動をしなければ、あとはやりたいようにやらせていれば、子どもは自分でいろいろな発見をしていきます。

 子どもは思いも寄らないことをすることもあります。どんな状況になってもいいように、用意をしておきましょう。着替えやおむつを持っていないと、せっかく楽しそうに遊んでいても、途中で遊びをやめさせなくてはいけなくなったり、その場で新品を買わなくてはいけない状況になって、痛い出費になることがあります。
 赤ちゃんの外出は、生後1カ月を過ぎてからにしましょう。また、外出する時間は10分くらいから、だんだん増やしていくようにしましょう。

【お出かけ時の持ち物】
(1)オムツセット(オムツ3~4枚、おしりふき、ティッシュペーパー、布オムツの場合はオムツカバー予備、汚れ物を入れるビニール袋)
(2)着替えの服(全部を2回交換してもいいくらい)、タオル、帽子
(3)水分補給用のお茶か水(飲み口などがついたマグカップなどに入れて):十分な水分は熱中症の予防のためにも大事です。
(4)母乳育児でない場合は、粉ミルク、哺乳ビン、お湯
(5)離乳食の場合は、離乳食、スプーン、よだれかけ、おしぼり
(6)移動中に静かにさせる物(おもちゃ、絵本、落書する紙、クレヨンなど)
(7)その他(手を洗う水:ペットボトルで1リットルくらい、ビニール袋、タオル、新聞紙など)
(8)虫除けグッズ(暑くない時期なら長袖・長ズボン。虫除けスプレー、かゆみ止めなど)

予防接種を受けておきましょう

 子どもでも大人でも、接触する人数が増えれば、病気が移る機会も増えます。はしかや風疹、おたふくなどは予防接種を受けておきましょう。手足口病やりんご病など、予防接種のない病気もありますが、これらについては手洗いやうがいで対応するしかありません。はしかなど一部のものを除けば、病気が移っても大きな問題はありません。予防できるものはしっかりと予防しておきましょう。
 *「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろう。」の会のホームページ参照

 子育てをするためには、その場にいなくてはできないことがたくさんあります。生まれて1年くらいの間は子どもの様子は日々変わっていきます。今しかない時間を家族で共有しながら、子どもの変化を楽しんでパパも子育てしましょう。

放射線の影響が気になる方へ

 最後に、小さな子どもと外で遊ぶ、とくに草や土、水、虫や動物などにふれる遊びでは、放射線が気になるという方もいると思います。たしかに福島原発事故の影響を受け注意を促されている地域では十分注意する必要がありますが、それ以外の地域ではあまり気にしなくてもいいと私は考えています。一般人の放射線被曝限度は100倍程度の安全を見込んで決められています。被曝限度の2倍の放射線を被曝したとしても、ほとんど健康への影響はないと考えています。
 一方で、外で遊ばないことにより、運動不足による筋力低下、肥満、ストレス、日光に当たらないことによるビタミンの不足など、さまざまな健康への影響も考えられます。少量の放射線が安全とは言えませんが、病気や障害を起こす原因は、放射線以外にも、カビ、細菌、ウイルス、タバコ、電磁波、など数多くあります。被曝量を減らすことは当然ですが、外で遊ばないことによるリスクとのバランスを考えて行動することが必要です。

東京都健康安全研究センターで、現在の放射線量を公表しています。
 http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/index.html
同じく、震災前のデータです。
 http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/201103/1-4.html#Anchor2
 気象庁気象研究所の測定した過去の放射性物質降下量です。
 http://www.mri-jma.go.jp/Dep/ge/2007Artifi_Radio_report/Chapter5.htm

 2011年7月現在の大気中の放射線量は、東京都新宿区ではおよそ毎時約60ナノグレイ(0.06マイクログレイ)です。震災前は高いときで60ナノグレイ、平均して40ナノグレイ程度です。つまり、現状は平常時のおよそ1.5倍です。
 一方、今から50年ほど前、1960年代には、世界中での原爆、水爆実験により大気中には(震災前に比べると)大量の放射性物質が飛んでいました。気象研究所のデータから、年間降下量で2000年代の1000倍以上の放射性物質が降っていたことがわかります。それから40年以上がたっていますが、がんの発生率が急激に高くなったりしたというデータはありません。この程度の量では、がんなど健康に及ぼす放射線の影響はまだはっきりとはわからないということです。
 今後発表されるデータも注意してチェックしつつ、バランスを考えてかしこく判断しましょう。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
太田 寛先生


産婦人科専門医
北里大学医学部公衆衛生学 助教
1989年京都大学工学部電気工学科卒業後、日本航空株式会社羽田整備工場に勤務。2000年東京医科歯科大学卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院産婦人科、日本赤十字社医療センター産婦人科勤務を経て、現在は北里大学医学部に勤務。平成21年度厚労科研費補助金「新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中や授乳中の人へ」パンフレット作成委員。日本医師会認定産業医、日本産科婦人科学会専門医。

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