介護疲れを癒すには-介護者の心と体を癒す7つのヒント

介護者の心と体には大きな負担がかかっている

介護を長く続けるためには、介護者の心と体の健康が何よりも大切です

介護は人それぞれでも、介護者に大きな負担がかかっているのは同じ

 「介護」という一言ではとても表せないほど、介護には人それぞれの、さまざまなかたちがあります。しかし多くの場合に共通して言えるのは、介護者の心と体には大きな負担がかかっているということです。「いつまで続くのか先が見えない」、「自分だけがどうしてこんなにつらい思をするのか」、「毎日同じことのくり返しで息がつまる」……、そう思う一方、そんな自分を責めて自己嫌悪に陥る。介護者ならば誰もが体験していることではないでしょうか。

 心身ともに追いつめられた介護者が、介護している相手を無視したり暴言を吐いてしまう、極端な例では虐待したり、介護うつになってしまうといったことも起こっています。
 高齢者虐待に関する厚生労働省の平成21年度調査によると、家族や親族などの養護者による高齢者虐待は増えており、虐待を受けている高齢者の約7割が要介護認定を受けていました。虐待の加害者は息子が41%と最も多く、次いで夫17.7%、娘15.2%となっています。

介護する世代は、自分自身の健康を心がけなくてはいけない世代

 親の介護に直面している人の多くは40~50歳代。蓄積した疲労がなかなかとれなくなったり、生活習慣病が顕著に現れてくる時期です。また個人差はありますが、更年期を迎える時期でもあり、最近は、女性だけでなく男性にも心身の不調が現れることがわかってきました。
 つまりケアする世代が、自分自身の健康を心がけることが必要な世代なのです。介護者自身も、定期的に健康診断を受け、日常生活では「休息」「食事」「運動」を心がけることが大切です。

 このように、ケアする人の心や体が健康でなければ、介護を継続することはできません。介護を支える人を支えるために、心と体を癒すためのヒントをご紹介します。

介護者の心と体を癒すヒント

その1:一人で抱え込まないようにしましょう
 介護を一人だけで抱え込んでいませんか? 家族でもまったく介護にかかわらないという人もいますが、周囲の協力がなければ、介護者は自分の生活のほとんどを介護に費やすことになってしまい、当然ストレスや不満もたまります。そうならないために、家族の役割分担をしておくことが大切です。
 介護には、直接介護することのほかにも、情報の提供や連絡、経済的支援、介護者の話し相手、送迎などさまざまな役割があります。家族全員が役割をもつことで、主たる介護者の負担も軽減します。

その2:家族は介護のプロではありません、完璧を目指さずにいきましょう
 家族の介護は、本人の元気だったころを知っているだけに、落胆や悲観が激しいものです。つらい、切ない、こんな気持ちは当然です。介護のプロは他人だからこそ、感情的にならずに冷静に穏やかに接することができます。
 自分を責めて自己嫌悪に陥っていませんか。無理をしていると疲れがたまります。つらい、いやだと思ってよいのです、それは家族だからこそです。完璧を目指さずに、できることを少しずつ行えれば、十分です。

その3:生活を介護一色にしないで、自分の楽しみをつくりましょう
 忙しい毎日、生活が介護一色になっていませんか? それでは誰もが息がつまってしまいます。自分の楽しみに当てる時間を、多少無理してもつくりましょう。
 わずらわしい人間関係のない趣味や活動を続けることもよいですが、そこまでいかなくても、生活の中に小さな楽しみを見つけることでもよいのです。庭に咲いている植物、風や木の葉のささやき、毎日いれるお茶の香りや器の温もりなど、わずかな時間に発見できるたくさんの喜びが転がっています。自分が好きなこと、リラックスできることを大切にしましょう。あなたの元気が一番の介護の秘訣です。

その4:音楽は介護する人もされる人も、心をほっとさせてくれます
 音楽には心を癒す力があります。眠れない、いらいらする、気分がふさぐ、穏やかになりたい、こんなときには音楽の力を借りましょう。お気に入りの曲がない場合は、クラシック音楽はいかがでしょうか。数多くの美しい名曲があり、心を癒してくれます。また、波の音、鳥の声などのヒーリングミュージックは、気持ちを穏やかにしてくれます。ときには声に出して歌うことも、自律神経によい効果があります。
 私の家族はリハビリ中に音楽をかけていますが、本人のリハビリ効果が上がるほかに、ケアする訪問看護師さんの元気にもつながっているようです。

その5:好きな詩を読んだり、書くことは心を楽にします
 あなたを勇気づけてくれる言葉や、詩や応援歌はありませんか? 物語や詩にも力があります。子どものころ聴いた童謡や物語、大切なときに励まされた言葉、心にとまった言葉を声に出して読み上げてみましょう。また、誰にも言えないことや心のつぶやきを、そっとノートに書いてみましょう。書くことで心が落ち着き、次の行動が見えてきます。

その6:ケアする人も明るいおしゃれを楽しみましょう
 ケアする人はそれでなくても疲れています。髪をふり乱し、化粧もしないで服装もいい加減では、気持ちも暗くなってしまいます。ときには明るい色の服を着て、お化粧をしましょう。そして、こんなときだからこそ、明るい笑顔が仕上げです。笑顔という人に与えられた宝物は、その人自身も、周囲の人も幸せにします。

その7:介護者の会に参加しましょう
 家族だからこそ本音や愚痴は言いにくいものです。介護者の会では、同じ境遇の人と介護の大変さを分ち合うことができます。介護のやり方を学んだり、役立つサービスを得たり、情報交換もできます。横のつながりも味方につけましょう。

<ケアする人を支援する団体、組織>
●NPO介護者サポートネットワークアラジン
●ケアする人のケア たんぽぽの家プロジェクト
●男性介護者と支援者の全国ネットワーク
●認知症の人と家族の会  など

 介護も暮らしも十人十色、介護環境もそれぞれ異なりますが、介護を支える人を支える視点は大切です。ケアする人自身も自分なりの介護のかたちを探しながら、心と体が楽になるヒントを見つけてみてください。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
川上 由里子先生


介護コンサルタント
ケアマネジャー、看護師、福祉住環境コーディネーター2級、産業カウンセラー。1984年より13年、大学病院、高齢者住宅(聖路加レジデンス)などで看護師として勤め、現在は三井不動産(株)ケアデザインプラザなどで、シニアライフ提案のコンサルティングや講演を行う。著書に『介護生活これで安心』(小学館)。08年5月より、ニッポン放送「ラジオケア・ノート」(奇数月第4週の月~金)にレギュラー出演中。08年春より自身も父親の遠距離介護を体験中。

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