妊娠中、夫のサポートが必要なとき-その6 予防接種は必要?

イクメンのための予防接種の基礎知識 1

予防接種にはさまざまなワクチンがあって混乱しがち。パパも一緒に考えて適切な選択を。

なぜ予防接種をしなくてはいけないの?

 Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチンなど、ワクチンに関するさまざまな記事が、新聞や雑誌、インターネット上で毎日のように流れ、母親たちにとっては最大の関心事の一つになっています。
 自分の子どもの予防接種をどうしたらいいのか、不安を感じる母親も多いことでしょう。

 頼りになるイクメンになるために、「イクメンに必要な予防接種の基礎知識」をまとめてみました。これを参考にして、忙しくて情報を調べたりする時間のないママのため、かわいい子どものため、予防接種のスケジュールを作ってみましょう。推奨されるワクチンは以前よりも増えており、先輩ママやパパの経験談は役に立ちません。新たな気持ちで、勉強!?してみてください。

 予防接種の目的は、命を奪ったり、後遺症を残したりするような、さまざまな感染症から、子どもを守ることです。例えば、はしか(麻しん)は感染力が強く、危険な病気です。そのため、江戸時代の頃では、「命さだめ」とも言われ、はしかにかかったら、その病気を克服して生き残った子どもだけが成長するものと考えられていました。現代の日本でさえ、麻しんに対する特別な治療法は特になく、500~1000人に1人が亡くなっています。
 ⇒国立感染症研究所>麻疹についてhttp://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_03/k03_03.htmlhttp://idsc.nih.go.jp/disease/measles/report2002/measles_top.html

 もしかしたら、先輩ママから「うちの子もはしかにかかったけど、たいしたことなかったから、ワクチンなんて打たなくてもいいよ」などと言われることもあるかもしれません。しかしそれは、「結果的に生き残った子ども」の母親だから言えることです。子どもによっては後遺症を残したり、亡くなったりする場合もあることを知らないだけなのです。そういう子どもを治療した経験のある小児科医の友人たちは、当然ながら自分の子どもには、すべてのワクチンを打っていました。

 人はウイルスや細菌に感染すると、その病気に対する免疫が作られます。病気から回復すれば、次回からは免疫があるため、その病気にかからないですむか、かかったとしても軽い症状ですむようになります。また、赤ちゃんは産まれるときに一部の病気に対する抵抗力(免疫)を母親から分けてもらいます。しかし、すべての病気に対しての免疫があるわけではなく、赤ちゃんが自分で免疫を作って病気と戦わなければならないものもあります。予防接種とは、ワクチンを接種することによって、危険な病気にかかることなくその病気に対する免疫をつける方法です。

 たとえば、とても効果的なワクチンの一つが麻しんワクチンで、世界中で接種への取り組みが推進さています。全世界では、2000年に比較して2007年には74%も死亡者数が減少しています(75万人→20万人)。アメリカ合衆国などでは既に麻しんは過去の病気になり、自国内での感染による患者はほとんどいません。(しかし、今年は海外旅行でヨーロッパなどに行った人が100人以上感染したようです。)遅ればせながら、日本でも麻疹を完全に排除する取り組みが本格化しました。日本からも、はしかがなくなる日がくるといいですね。
 ⇒厚生労働省「麻しん排除計画案」

予防接種には定期接種と任意接種がある

 予防接種には、「定期接種」と「任意接種」があります。定期接種とは、予防接種法という法律に基づき、市町村が時期を決めて予防接種を行うもので、定められた期間内であれば公費で受けることができます。「任意接種」とは希望する人が費用を負担して接種するものです。注意してもらいたいのは、任意接種だからといって、その病気が危険ではないということではありません。医師からすれば、当然接種すべきワクチンが任意接種になっていることも多いのです。

 現在行われている定期接種は、ジフテリア・百日せき・破傷風の三種混合(DPT)、ジフテリア・破傷風の2種混合(DT)、生ポリオ(ポリオ)、麻しん・風しん(MR)、日本脳炎、BCG(結核)です。

 任意接種の主なものには、肺炎球菌、Hib(インフルエンザ菌b型)、インフルエンザ、おたふくかぜ、水痘(水ぼうそう)、B型肝炎、不活化ポリオ(ポリオ)などがあります。任意接種の場合は、医療機関によって異なりますが、1回に数千円の費用がかかります。自治体で補助を出している場合もありますから、調べてみましょう。

予防接種のスケジュールを立てるには?

 具体的にワクチンの接種スケジュールを立てる上での基本の考え方は、以下のようなものです。

Point 1 接種する時期が来たら、すぐ受ける
 グズグズしている間に、その病気にかかると危険だからです。
Point 2 重症になりやすい病気のワクチンを優先
 危険な病気から接種します。

 日本小児科学会では、「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」を公表しています。

 ワクチンや病気について知るには、以下のページが役立ちます。
 「KNOW VPD! VPDを知って、子どもを守ろう。」(VPD:ワクチンで予防できる病気)

 イクメンとしてできることは、赤ちゃんのおむつを替えたり、お風呂に入れたりすることだけではありません。子どもの未来を守る情報を集めることも大事なことです。ママの心配事を少しでも軽くして、一緒に子育てしていきましょう。



(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
太田 寛先生


産婦人科専門医、北里大学医学部公衆衛生学 助教
1989年京都大学工学部電気工学科卒業後、日本航空株式会社羽田整備工場に勤務。2000年東京医科歯科大学卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院産婦人科、日本赤十字社医療センター産婦人科勤務を経て、現在は北里大学医学部に勤務。平成21年度厚労科研費補助金「新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中や授乳中の人へ」パンフレット作成委員。日本医師会認定産業医、日本産科婦人科学会専門医。

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