子どもの排便、気にしてる? 便秘の原因と予防の6つのポイント

悪い排便習慣は将来の健康に大きなマイナス

不適切な生活習慣で便秘になりやすい子ども、気づいていない親が多い。下剤に頼らず食事や運動習慣を見直す

小学生の4割が毎日は排便していない

 健康を守るうえで適切な食習慣が大切であることは当然として、同時に適切な排便習慣も非常に重要です。ところが、最近明らかにされたある調査では、小学生の10人に4人が、排便するのは1日1回未満であることがわかりました。子どものうちから悪い排便習慣に陥っていると、将来の健康に悪影響があるのではないかと懸念されています。

 口から摂取した食物は胃から大腸を通過する間で栄養分を消化・吸収され、残った老廃物は早ければ24時間後には排便されるのが腸の正常な働き。腸が正常に働いてこそ消化・吸収もきちんと行われ、さらには腸が大きな役割を担っている免疫の機能も維持されます。

 しかし、長時間排便せずに腸に便がたまり過ぎると腸内環境を悪くします。腸内環境は腸内にすむ400種類100兆個もの細菌のバランスに左右されますが、排便が進まないといわゆる悪玉菌が増えるために腸内環境が悪化してしまうのです。日本人の腸内環境は1970年頃から悪くなり始め、それとともに大腸がん、糖尿病、アレルギー性疾患などが増えてきたという指摘があります。このようなことを考え合わせると、子どもの排便状況の悪化は、その子の将来の健康を害しかねないと言っても過言ではないでしょう。

子どもは腸の弾力が弱いため便秘になりやすい

 排便をもたらすのは腸の2つの運動です。収縮と弛緩を繰り返して老廃物を混ぜ合わせながら先へ送り出す「分節運動」と、老廃物をさらに肛門(こうもん)に向けて送り出す「蠕動(ぜんどう)運動」です。このうちの蠕動運動は、朝食抜きや食物繊維不足、ストレスなどの影響を受けると活動が弱くなってしまいます。特に小さな子どもの場合、腸の機能はまだ発達過程にあって腸の弾力が弱いため、上記のような不適切な生活習慣があると排便が進まなくなるのは当たり前のことだとも言えるのです。

 また小学校に入ると、学校のトイレに行きたくなくて便意を我慢してしまう子どもがでてきます。そうすると便が硬くなり、排便のとき痛い思いをしてますます排便を嫌がるようになる、という悪循環に陥ってしまいます。

親は子どもの排便習慣に気を配ろう

 そこで必要になってくるのは、親が子どもの排便習慣に気を配ること。前述の小学生の調査では、低学年ほど排便が1日1回未満の割合が高いことも明らかになっています。にもかかわらず、全体では子どもの母親の約8割が自分の子どもの排便は順調と思っているという調査結果も出ており、多くの子どもが排便が滞っているのに親が気づかずに放置されていることが想像されます。子どもに適切な排便習慣を身につけさせるために、以下のようなことに配慮してあげるとよいでしょう。

●体をチェック
 子どもは、おなかが張っているくらいのことは口に出さずに我慢しがち。入浴時などに子どもの体をさすってやり、おなかが張っていないか、硬いところや皮膚の色がおかしなところはないか見てあげましょう。また、便が硬くなっていないかなど、便の状態もチェックするようにしてください。

●朝食を必ずとる
 朝起きて空っぽの胃に水分や食べ物が入ると、腸の運動が活発になって排便が促されます。朝食抜きで登校する小学生も珍しくないようですが、少し早目に起きて朝食をとり、そしてトイレに行くということを習慣づけてください。

●食物繊維をたっぷり
 食物繊維は腸内環境を整え排便を促すのに不可欠の栄養素です。水に溶ける水溶性食物繊維(いちご、キウイフルーツ、こんにゃく、きのこ類、オクラ、モロヘイヤ、海藻類などに豊富)と、水に溶けない不溶性食物繊維(野菜、豆類、いも類、きのこ類、玄米などに豊富)があり、それぞれを1対2くらいのバランスでとるのが望ましいとされています。不溶性ばかりだと、水分を吸収して逆に排便しづらくなるので注意。

●運動をする
 特に下半身をよく動かす運動は腸を外から刺激して腸の動きを活発にします。ゲーム遊びなどで家に閉じこもりがちになっていないか、気をつけてあげましょう。

●下剤に頼らない
 便秘がちでも下剤に頼ってしまうと、子どもの排便力を低下させる恐れがあります。

●季節の変化に注意
 夏は発汗で水分不足になりやすい。冬は空気の乾燥で水分不足、室内に閉じこもりがちで運動不足に。どれも便秘を招きやすい要因です。

 子どもの健康や生活習慣に関心を持たない親はいないでしょう。しかし前述の調査では、その関心の多くは、食生活のかたよりや運動不足、寝不足などといったことに向けられているようです。そこにぜひ、排便習慣にも目を向けることを加え、子どもの将来の健康の基礎づくりに努めていただきたいものです。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
松生(まついけ) 恒夫先生


松生クリニック院長
1980年東京慈恵会医科大学卒業後、同大第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2004年より現職。医学博士。日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会認定専門医、日本東洋医学会専門医、日本大腸肛門病学会専門医。専門領域は、大腸内視鏡検査(現在までに3万件以上施行)、生活習慣病としての大腸疾患、地中海式食生活(地中海式ダイエット)、漢方療法、ストレス対策としてのポップ・ミュージック。著書に『腸がスッキリきれいになる本』(法研)、『味噌、しょうゆ、キムチ 植物性乳酸菌で腸内改革』(主婦の友社)など多数。

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