さまざまな足のトラブルと予防法-快適な歩行を支えるフットケア術

健康維持に重要な歩行も足のトラブルがあっては危険を伴う

足病が発生する原因を知って対策を。足病と足部の筋力、骨格系の構造には密接な関係が

足の筋肉・骨・皮膚に影響し、症状が幅広い足病は予防が重要

 足病(そくびょう)という言葉をご存じでしょうか? 足病には、(1)足裏のたこ、魚の目などの足裏や足指にできる皮膚の硬化、(2)外反拇趾、内反小指などの骨格の変形、(3)巻爪・陥入爪・爪の厚化などの変形や変色、(4)爪白癬(爪水虫)、白癬(水虫)などの感染、(5)浮指などの足指の変形、(6)腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症により引き起こされる間欠性跛行(かんけつせいはこう)、(7)足裏の筋肉(腱)の炎症である足底腱膜炎があります。

 このように足病は、足の筋肉(腱)、骨、皮膚と症状が幅広いことがわかります。これらの多くは重症になれば皮膚科や整形外科などで医療的処置が必要になりますが、(1)~(5)は予防ができます。足病といっても命にかかわるものは少ないため、重症になって本当に困るまで放っておかれることが多いかもしれません。
 しかし足の痛みがあると歩くのもつらく不自由ですし、治療しようと思えば長い期間かかりますので、日頃のケアで足を快適な状態に保ち、足病を予防することが重要です。そのためにまず大切なのは足病が発生する原因を知ることです。原因がわかれば対策が見えてきます。(次回から、それぞれの足のトラブルについて、原因と予防、すでにトラブルが生じている場合の対策を、具体的に取り上げていきます)

足病があると歩くことにも危険が伴う。フットケアで快適な歩行を

 手軽にできて健康維持に有効な方法として、歩くことが勧められ、1日に1万歩歩くことが理想的とされています。車中心の生活をしている人ほど歩く機会もなくなっていますので、意識して歩く習慣をつけることが必要です。先行調査では、小学5年生の子どもの1日の歩数は、20年前は2万3000歩だったものが現在は1万3000歩と激減していると報告されています。大人だけでなく、子どもも歩行をとり入れて健康活動を推進しなければならない状況です。

 確かに歩くのはよいことです。しかし、上記の写真のようにさまざまな足病を持つ人に急に無理に歩かせることには危険が伴います。たとえば転倒による骨折、靴などが合わないことによる足の痛み、膝痛、腰痛などが挙げられます。特に転倒は多くの高齢者が経験し、骨折したり、骨折しないまでも転倒による外出抑制(転倒後症候群:転倒を恐怖に感じ外出を控える状態をいう)を引き起こすことが多くあります。
 最近は、中高年のウオーキングや山登りなどが流行っていますので、足元のケア、つまりフットケアにも目を配って、快適で長く続けられる趣味にしてほしいと思います。

転倒しやすい高齢者は足指力、膝間力の計測を

 足病の発生と足の筋力や筋骨格系の構造は密接な関係にあります。そのメカニズムについては次回以降でお話しますが、足の筋力がどのくらいかといわれてもピンとこない人もいるでしょう。最近は、保健センターなどで写真のような足指力計測器が導入されることも多くなっていますので、利用したことがある人も多いかもしれませんね。

 足指力計測器では、膝下の筋力を測ります。計測するときは、写真のように足の指をじゃんけんのグーの形にします。試してみましょう。皆さん自分のすねを触って、足指でじゃんけんのグーを作ってみてください。すねの筋肉が硬くなると思います。次にふくらはぎの下の方を触りながら同じくグーを作ってみてください。やはり筋肉が硬くなります。
 つまり、足指でグーを作る動きはすねやふくらはぎの筋肉を使っているということなのです。これは、足指で地面をつかむ力だと思ってよいでしょう。

 膝間力計測器では、腰回りの筋力を測ります。これは股関節内転筋力といって、階段の上り下りなど日常動作に密接に関係する筋力といえます。子どもではジャングルジムに登ったり、山をかけのぼる筋肉と関係し、体を支える筋力を反映します。また、女性の尿失禁に関連する股関節の筋肉(骨盤底筋)の評価にも利用可能だと思います。

 足指力と膝間力は年齢などによる目標値が決まっていて、どちらも簡単な運動や日常のケアで高めることが可能です(詳細は次回以降)。特に転びやすいと感じている転倒(骨折)リスクの高い高齢者には、ぜひ調べてほしい計測項目です。

足型と足部の筋骨格系の深い関係

 「私は扁平足だから足が疲れやすい」「親が扁平足だから私も扁平足になった」……。よく聞かれる言葉です。プールやお風呂から上がった際、床についた足型を見て再認識することがあると思います。

 足にはアーチが3つあります(イラスト)。拇趾から踵にかけての縦アーチ(A)、拇趾から小趾にかけての横アーチ(B)、小趾から踵にかけての縦アーチ(C)の3つのアーチで、このうち1つでも崩れてしまうと、歩行に支障をきたしたり足病の原因となります。
 一般に扁平足と言われているのは、(A)の土ふまずのある一番大きな縦アーチの消失にあたります。これはわかりやすいと思います。

 他の2つのアーチの大まかな判断を示します。(B)の前足部アーチが低下あるいは消失している状態は、素足の状態で上から見て写真のbの部分のように、足の甲が薄く骨が浮き出ていて、ちょっとくぼんでいる印象があります。特徴的な症状として、足裏の第3指の付け根が硬くなっていたり、たこができていることが多くあります。「足圧分布図」で見ると、図1のように第3指の付け根部分が赤くなっており、これはそこに強く荷重していることを示しています。この荷重が第3指の付け根にたこや魚の目(鶏眼)ができる原因です。
 (C)の外アーチの消失は、外側のくるぶしの下の部分はくびれているのが通常ですが、これが消失している状態です(図2)。
 図3は、高齢者の中で比較的足部の筋骨格系が保たれているよい例です。3つのアーチが構成され、足指も地面にしっかりついているのがわかります。

 今回は足病の存在、歩行と足病や転倒の関係、足部の筋力と骨格系やアーチの関係について示しました。次回から、たこや魚の目、外反拇趾、爪の変形など、それぞれの改善の方法や考え方などを紹介しますので、お楽しみに。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
山下 和彦先生


東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科准教授 
2003年東京電機大学大学院工学研究科情報通信工学専攻博士課程修了(工学博士)。03年(財)豊田理化学研究所奨励研究員、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員(11年3月まで)を経て、05年東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科講師に就任、07年から現職。専門分野は医用生体工学、高齢者福祉工学。特に身体機能計測を用いた高齢者の転倒予防指導やメディカルフットケアおよび子どもの身体発達支援、リハビリテーション支援の技術開発など。日本生体医工学会、日本生活支援工学会、日本医療機器学会などに所属。

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