寝付けない・何度も眼が覚める-眠りが浅いのは体の冷えのせい?

加齢や冷え、ストレスが睡眠の質を低下させている!

深く十分な眠りを得るため、寝る前に血めぐりを良くして体温を上げる習慣を

睡眠には体のメンテナンスという大切な役割がある

 寒い時期は、体が冷えてなかなか寝つけない、朝の目覚めが悪いという人が多くなりますが、毎晩ぐっすり眠れていますか?
 睡眠不足や眠りが浅い状態が続くと、体調を崩したりかぜをひきやすくなるといった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。スリープクリニック調布院長の遠藤拓郎先生は、「睡眠に関する問題を放置していると、体調不良を起こすだけでなく、自律神経失調症やうつ病のきっかけになることもあります。睡眠は、単に体を休めて疲れをとるだけでなく、心身のメンテナンスを行うという大切な役割をもっているからです」といいます。

 この心身のメンテナンスに重要なのが「成長ホルモン」です。成長ホルモンは文字通り体の成長を促すとともに、古くなった細胞や壊れた細胞を修復したり新しく再生する働きをする、大人にとっても大変重要なホルモンです。成長ホルモンの分泌は思春期をピークに年とともに減少しますが、大人でも睡眠中は分泌されます。
 睡眠には、眠りが浅く夢を見る「レム睡眠」と、ほとんど夢を見ずに深く眠っている「ノンレム睡眠」の二つのタイプがあり、成長ホルモンはノンレム睡眠のときに多く分泌されています。つまり深い眠りのときに心身のメンテナンスが行われ、健康が維持されているわけです。この深い眠りを十分にとることが、睡眠の質を高めることになります。

 しかし、年をとると深い睡眠が減って、途中で目覚めたりすることが多くなるように、睡眠の質は低下していきます。また、遠藤先生が睡眠に関する専門家として協力する「血めぐり研究会」の調査では、冷えやストレスを感じている人の7割が睡眠に不満足と回答しており、冷えやストレスが睡眠の質を低下させていることが推測されます(「血めぐり」とは、血液の循環プラス新陳代謝のこと)。

 あなたの睡眠の質は大丈夫でしょうか? 次の3つのうち一つでも当てはまる人は、睡眠の質が低下している可能性があります。
・寝つきに30分以上かかる
・夜中に3回以上起きる
・いつもの起床時間より30分以上前に目が覚める

深い眠りを得るためのポイント

 それでは、深く十分な眠り=質の高い睡眠を得るために、日常生活でできることはどんなことでしょうか? 遠藤先生は「質のよい睡眠のためのキーワードは『体温』です。人は体温が高い状態から急激に下がると眠くなります。就寝前に体温をしっかり上げると、体の表面、特に手足からの放熱が促されて体温がすとんと下がり、スムーズに眠りにつくことができるのです」といいます。

 この就寝前の体温調整が、冷え性の人やストレスの多い人ではあまりうまくいかないようです。冷え性の人は手足などの末梢血管が収縮するために、またストレスを感じると交感神経が優位になって血管が収縮するために、どちらも血めぐりが悪くなり、体温を上げることができにくくなります。質の良い睡眠を得るためには、血めぐりを良くすることが大変重要なのです。

 寝る前に血めぐりを良くして体温を上げるために、簡単にできて効果的な方法を挙げておきましょう。

<寝る前に体温を上げる方法>
●寝る3時間前に熱いものや辛いものを食べる
 夕食は鍋物、スープなど熱いものや唐辛子などの辛いものを適量とる
●寝る2時間前に軽い運動をする
 ウオーキングなどの軽い運動やストレッチなどを行う
●寝る1時間前に入浴する
 38~40度くらいのぬるめのお風呂に10分~20分ほどゆっくり入る

目と首を直接温めると体が早く温まる

 上記の方法のほかに、蒸しタオルや湯たんぽ、温熱シートなどで体をダイレクトに温めることも、体温を上げるとても良い方法です。中でも効果があるのが目と首を温めること。遠藤先生は、手足などを温めるよりも目や首を温めるほうが早く体が温まる可能性があるとし、そのメカニズムについて「目と首は体温センサーのある視床下部や延髄・脊髄に近く、目と首を温めることで体温中枢が温まり、血管が拡張して血めぐりを高め、体のほかの部位の温度も上げると考えられます」と解説。蒸しタオルや温熱シートなどを使って目や首のつけ根を直接温めることで、睡眠の質を高めることができると考えられます。

 今回紹介したように、日常のちょっとした習慣で睡眠の質を改善することができます。深い睡眠がとれていないと感じている人は、「寝る3時間前の温かい食事」、「2時間前の軽い運動」、「1時間前の入浴」、そして「30分前の目や首の温め」を習慣にしてみてはいかがでしょうか。

(編集・制作 (株)法研)

【取材協力】
遠藤 拓郎先生


スリープクリニック調布院長
1987年東京慈恵会医科大学卒業。スタンフォード大学・チューリッヒ大学・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学、北海道大学医学部講師を経て、2005年スリープクリニック調布開院。続いてスリープクリニック銀座、スリープクリニック青山を開院し、現在は調布院長。祖父は小説「楡家の人びと」のモデルとなった青山脳病院で不眠症の治療を始め、父は日本で初めて時差ぼけの研究を行った。祖父の代から三代で、八十年以上睡眠研究を続ける睡眠医療の専門家。主な著書に『4時間半熟睡法』『朝5時半起きの習慣で、人生はうまくいく!』(ともにフォレスト出版)など。

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