未来の介護はロボットが担う?生活支援やリハビリを助けるロボット

2015年介護保険適用で家庭にもロボットがやってくる?

介護する人、介護される人を助けるロボットなど、国際福祉機器展に出展されたロボット介護機器を中心に紹介

少子高齢社会の介護の現場で期待される「ロボット」とは何か

 少子高齢化が急速に進む中、介護の「手」となってくれるロボットの開発と普及が進んでいます。すでに、2015年からの介護ロボット(ロボット介護機器)への介護保険適用の拡大が検討されており、条件を満たせば、家庭での介護においても、ロボット介護機器の購入やレンタルにかかる費用の1割の自己負担で利用できることになります。

 ロボット介護機器といっても、人や動物のかたちを模したものだけではありません。ベッドや車いすと一体化したものや、体に装着して使うものまでさまざまな形態があります。
 また、その用途からおおまかに、介護する人の支援をするロボット、介護される人が自分で行うことを助けるロボット、コミュニケーションやセキュリティのためのロボットなどに分けることができます。

移動や排泄を助け、介護する人を支えるロボット

 ベッドから車いすに移動する、お風呂に入れる、トイレへ連れて行き、排泄の介助をする・・・。こうした介護のほとんどは、介護する人の技術だけでなく、かなり大きな力を必要とします。そのため、介護者自身が腰や肩を痛めてしまったり、支えきれずに介護される人(要介護者)にとっても危険な状況になることがあります。このことが、介護施設では過重労働や人手不足の一因になっており、また家庭での介護を難しくしている要因でもあるのです。
 介護ロボットの一つは、こうした「介護する人の支援をする」という役割を持っています。

 2012年の「第39回国際福祉機器展H.C.R.2012」(東京ビッグサイト)では、多くのロボット介護機器が出展されました。その中でも、アームを要介護者の体の下にさし込み、体重をセンサーで検知した上で、抱き上げて移動を行う「介護支援ロボット RIBA-II」(東海ゴム・理研共同開発)、体を支えるアームとイス型のアシスト台車を組み合わせ、要介護者を持ち上げて移動を行う「移乗ケアアシスト」(TOYOTA)などの展示が目を引きました。

 同じくTOYOTAで展示されていた「生活支援ロボット」は、自動車工場などで活躍するアーム型ロボットを介護に生かしたものといえ、体の支えになるだけでなく、床に落ちているものを拾うなどの動作ができます。
 また、寝たきりの人の排泄介助として、局部を覆うおむつ型のカップから自動的に排泄処理を行う機器の展示もありました。ロボット介護機器の中でも、寝たきりの人の排泄を支援する機器はすでに市販され、12年度から介護保険の対象に組み入れられています。

自分で歩く、動くを可能にし、リハビリを助けるロボット

 一方、手足の機能を支え、歩く、食べる、つかむなどを「介護される人が自分で行うことを助ける」ロボットも、進化しています。

 片脚または両脚に装着して、自力歩行を可能にする「歩行アシスト」のロボットは、「ロボットスーツHAL」(大和ハウス工業)、「リズム歩行アシスト」(HONDA)、「歩行支援ロボット」(TOYOTA)などが出展されました。これらは、どのようにして歩行を助けるのでしょうか。
 「ロボットスーツHAL」では、動かそうとした筋肉に生じた生体電気信号をセンサーで感知し、装着者の筋肉の動きと一体的に関節が動くしくみになっています。また、「リズム歩行アシスト」では、歩くときの股関節の角度をセンサーで感知し、必要な力を計算しながら、指示を受けたモーターが最適なアシストを行います。これには、HONDAのロボットASIMOの技術が使われています。

 いずれも、「自分で歩く」という満足感が得られると同時に、自分の筋力を使い、バランス能力を養うことにもなるため、リハビリ機器ともいえます。すでに、病院のリハビリ室などで、機能訓練ツールの一つとして導入されているものもあります。

ロボット介護機器は、人手不足の解消と新しい市場の創設に

 なでたり、声をかけたりすると反応する動物型のコミュニケーション・ロボットや、カメラを内蔵し、スマートフォンと無線LANでつないで室内の様子を伝えることのできる見守りロボットなども、今後が期待されるロボット介護機器の一つです。

 これからますます進む少子高齢化の中で、ロボット介護機器は、介護の現場における人手不足を緩和しながら、介護の満足度を上げていく役割を期待されています。
 現状では、まだ金額の問題や取り扱いに慣れが必要なことなど、普及に向けていくつかのハードルはあるでしょう。

 経済産業省は、介護・福祉ロボットの市場規模を2015年は167億円、35年には4000億円強に増えると推測しています。15年からの介護保険適用の拡大で、この市場はさらに広がる可能性もあるでしょう。
 さらに、医療機器・医薬品の分野は、長く欧米主導であり、日本は医薬品や医療技術でも輸入超過の状態が続いており、国民医療費がかさむ要因にもなっています。ロボット技術では日本は先進国です。世界的に高齢化が進む中で、ロボット介護機器の開発と普及は、新しい国際的な事業を育てることにもつながりそうです。

(編集・制作 (株)法研)

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