サービス付き高齢者向け住宅とは? 費用やサービス内容など

安否確認と生活相談がついたバリアフリーの賃貸住宅

「サービス付き高齢者向け住宅」のサービス内容は住宅によりさまざま。選択にあたっては十分な比較・検討を

「サービス付き高齢者向け住宅」とは?

 人生80年が普通のこととなり、高齢期の住まいに新しい視点が求められる時代となりました。本シリーズ2回目の【高齢期に自分らしく暮らせる生活の場を選ぶ】では、高齢者向けの住まいは、ライフスタイルや心身の状態の変化に合わせて多様化していること、特別養護老人ホーム、ケアハウス、有料老人ホームほか、さまざまな種類があることをお伝えしました。今回は、その中でも急速に増えている高齢者のための新しい賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅」について紹介しましょう。

 2011年10月、「高齢者住まい法」の改正により、「サービス付き高齢者向け住宅」(以下「サ高住」)が誕生しました。これまでの高齢者向け賃貸住宅には「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」や「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」などの制度がありましたが、複雑でわかりにくいなどの声も多かったことから、一本化したものです。
 その背景には、(1)高齢の単身者や夫婦だけの世帯の急増、(2)介護を受けるための特別養護老人ホームなどの施設に、要介護度の低い方を含め待機者があふれている、(3)諸外国に比べ高齢者住宅が不足している、などが挙げられます。そこで、介護施設ではなく、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる住宅を増やすことを目的に、10年間で60万戸の整備を目指し制度がスタート。2013年6月末時点で11万4千戸を超えて登録されています。

 「サ高住」は、日常生活や介護に不安を抱く一人暮らしの高齢者や夫婦世帯が安心して居住することができる賃貸などの住まい。高齢者にふさわしい住環境(バリアフリー構造と一定の面積、設備)と、安心できる見守りサービス(ケアの専門家による安否確認と生活相談サービス)が備わっています。施設とは異なり、「介護度の高くない、中間所得層が入れる住居」と位置づけられています。

サービス付き高齢者住宅の特徴

 「サ高住」は介護施設や有料老人ホームとは異なり、一般的な賃貸住宅に近い自由度の高い生活を送ることができ、外出や訪問も自由。施設に比較して居室面積も広く、居室には原則として浴室、台所、トイレがあります。日中は必ずケアの専門家が常駐しているため安心感があります。
 また、入居時に高額な一時金をとるタイプの有料老人ホームと異なり、賃貸借契約が基本。家賃は立地条件やサービス内容などによって異なりますが、有料老人ホームに比べて費用負担は少なく、単身高齢者や特別養護老人ホームの待機者、早めの住み替えを考える方など、幅広い層にとっての選択肢の一つになりつつあります。基本データを表にまとめました。

チェックポイント:介護が必要となったときの対応はさまざま

 少し基本的なイメージができましたか? 一定の登録基準はあるものの、「サ高住」は自立高齢者を対象とする自立型から、介護や医療依存度の高い人でも積極的に受け入れる介護型、混合型など、サービス内容には幅があり、設備や費用もさまざまです。
 介護が必要となった場合は、基本的には自宅で介護を受けるときと同様に、介護サービス事業者と個別に契約を結ぶ必要があります。「サービス付き」といっても、必ずしも住宅のスタッフから家事援助や介護が受けられるわけではないので注意が必要です。実際の住環境、食事・介護・生活支援などのオプションサービスの有無については、「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」で確認することができます。

 住宅を選ぶ際には複数の住宅を実際に見学して事業者の説明をよく聞き、ご自身のニーズに合った住宅を選ぶことが大切です。住み替えにより現在抱えている問題や将来の不安が解消できるのか、将来体が弱って支援や介護が必要となっても暮らし続けられるのか、しっかりチェックしましょう。認知症など重度の介護が必要になった場合、さらなる住み替えを想定しておくことも必要です。

<「サービス付き高齢者向け住宅」を選択する際のチェックポイント>
●立地条件が合っているか
●体の状態に合っているか
●居住性・設備(居室と共有部)は整っているか
●周囲の環境は整っているか
●費用(入居時・月額)は適切か
●支払い方式(月払い・前払い)はどうなっているか
●サービス内容・提供方法はどうなっているか(誰がいつどんな方法で提供してくれるのか)
 ・必須サービス:安否確認と生活相談
 ・オプションサービス:食事、介護、生活支援、医療サービスなどの有無と利用方法
●併設している事業者にはどんな種類があるか:訪問介護、看護、デイサービス、居宅介護支援、診療所、配食など
●スタッフのレベルはどうか:資格、配置状況、対応、雰囲気など

 平成25年3月に発表された高齢者住宅財団の実態調査(厚生労働省委託事業)によれば、「サ高住」の入居者の平均年齢は82.6歳で、単身者の割合が大変多くなっています。また、入居者の66.7%は要介護者で、認知症高齢者も中~重度の人が一定程度いました。介護を必要として「サ高住」に住み替えるケースが多い傾向がうかがえます。

 自由度と安心感を得られ、入居しやすい「サ高住」ですが、有料老人ホームに比較して費用が安いなどの理由だけで選ぶと、「満足を得られる介護が受けられない」「自分にはまだ早かった」「さらなる住み替えは予想外」といった事態を招くこともあり、十分な検討が必要です。
 次回は、有料老人ホームと「サ高住」の違いについて説明し、両者を比較検討して「サ高住」での暮らしを選択した方のケースをご紹介します。

【参考情報】
■高齢者向け住まいを選ぶ前に 消費者向けガイドブック
 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/other/dl/other-03.pdf

■サービス付き高齢者向け住宅等の実態に関する調査研究
 高齢者住宅財団 http://www.koujuuzai.or.jp/pdf/project_20130415_03.pdf

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
川上 由里子先生


ケアコンサルタント
ケアマネジャー、看護師、産業カウンセラー、福祉住環境コーディネーター2級。1984年より13年、大学病院、高齢者住宅などで看護師として勤め、三井不動産(株)ケアデザインプラザの立ち上げに参画。現在はUR都市機構や各企業の高齢者、介護関連のアドバイザーとしても活躍し、シニアライフに関するコンサルティングの他、講演、執筆多数。高齢者支援のみならず、支える人を支えるメッセージを各方面に発信。希望は心と心を結ぶケアを広げていくこと。著書に『介護生活これで安心』(小学館)。現在、ニッポン放送「徳光和夫とくモリ!歌謡サタデー」出演中。2008年より自身も父親の遠距離介護を体験している。

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