平均寿命よりも大事なのは『健康寿命』-食事と運動の秘訣

食事は十分な栄養がとれる一汁三菜、早いうちから運動習慣を

日本は長寿国だが、日常生活に制限のある不健康な期間も長い。健康寿命を伸ばすには食事と運動が大事

日本人の「健康寿命」は男女とも、「平均寿命」より10年も短い

 日本人の「平均寿命」は、女性が86.41歳で世界第1位、男性が79.94歳で世界第5位と、世界でもトップクラスの長さを誇ります(厚生労働省「平成24年簡易生命表」)。
 この平均寿命に対して、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を「健康寿命」といいます。国が進める「健康日本21(第2次)」(平成25年~)によると、日本人の健康寿命は、平均寿命より男性で9.13年、女性では12.68年も短くなっています(平成22年データ)。健康寿命と平均寿命との差は、「日常生活に制限のある不健康な期間」を意味し、それが男女とも約10年もあるということになります。

 健康寿命を伸ばし、平均寿命との差を小さくすることは、本人の生活の質(QOL)の低下を防ぐだけでなく、医療費や介護費用などを減らすことにもつながります。
 健康寿命を短くしている代表的な病気・状態に、脳卒中や心疾患などの生活習慣病とともに、低栄養、ロコモティブシンドローム(骨、関節、筋肉など運動器の障害のために要介護になっていたり、要介護になる危険の高い状態、以下ロコモ)などがあげられます。つまりこれらを防ぐことが、健康寿命を伸ばすことになるのです。
 年の初めに、いつまでも健康で長生きするためにはどうすればよいのか考えてみましょう。

「一汁三菜」を基本に、特にシニアは体力を低下させない十分な栄養を

 健康寿命を延ばす基本は、何と言っても毎日の食事です。
 昨年12月、ユネスコの無形文化遺産に「和食」が登録されました。登録されたのは単に料理ではなく、お正月には新鮮な食材で作ったおせち料理を囲んで家族で食事をとるなど、世代を超えて受け継がれている「和食の食文化」全体です。

 農林水産省が作成した「和食」を紹介するリーフレットには、「和食」の特徴の一つとして『栄養バランスに優れた健康的な食生活』があげられ、次のように解説しています。「一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われ(中略)動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満防止に役立っています。」
 また、同省は昭和50年代ごろの食生活を「ごはんを主食に、主菜・副菜に加え、適度に牛乳・乳製品や果物が加わった、バランスのとれた食事」とし、米を中心に魚、肉、野菜、海藻、豆類など多様なおかずで構成される「日本型食生活」として推進しています。実際に、主食、主菜、副菜を合わせた食事が1日2食以上だと、栄養素の摂取量が適切になることが報告されています。

 しかし、「和食」の登録申請にあたっては、若者の和食離れなど和食に対する危機感があったとか。「朝食を抜く」、「お菓子を食事代わりにする」、「ラーメンやスパゲティ、ハンバーガーなど単品の食事が多い」など、「一汁三菜」を基本とする日本の食事スタイルが崩れてきていることが指摘されています。
 また、現代の食事は肉類、油脂類の摂取が増え、脂質が多くなっていますが、「生活習慣病予防のために」とこれらを制限しすぎたり、食事量を減らしすぎるのもまた問題で、栄養状態が悪化する「低栄養」に陥る恐れがあります。特に高齢者の低栄養は老化の進行を早め、体力や免疫力の低下、筋肉や骨の減少を招いて、感染症や骨折などのリスクを高めます。

 ただでさえ高齢者は筋肉や骨が減りやすくなっているため、これらを維持するたんぱく質や脂質を不足させないことが大変重要になります。特に女性は閉経後急激に筋肉や骨が減り始めます。栄養バランスのよい「一汁三菜」を基本に、女性は50歳頃から、男性も60歳になる前から、動物性たんぱく質を十分にとり、油脂類も不足しないように気をつけましょう。ただし、病気などで制限のある人は、医師の指示に従ってください。

運動習慣で体力をつけ、要介護状態を招くロコモを防ぐ

 運動で体力がつくと、寿命も長くなることが報告されています。また運動習慣は筋肉や骨を強くし、バランス感覚を高めて、ロコモのリスクを減らします。反対に、運動不足は肥満や生活習慣病のリスクを高め、運動機能や認知機能の低下とも関係することがわかっています。

 さて誰でも気軽にできる運動といえばウオーキングでしょう。「健康日本21(第1次)」(平成12年~)では1日の平均歩数を10年間で約1000歩増加させることを目標としていましたが、平成9年と21年を比較すると、15歳以上の平均歩数は男性で約8200歩から7200歩へ、女性で約7300歩から6400歩へと、男女とも約1000歩も減少していました。
 そこで「健康日本21(第2次)」では、平成34年度までに達成すべき目標として次の歩数を掲げています。
・20~64歳:男性9000歩、女性8500歩
・65歳以上:男性7000歩、女性6000歩

 1日にこれだけの歩数をわざわざ歩くのは大変かもしれませんが、たとえば、車や自転車で行っていた買い物に徒歩で行く、エレベーターやエスカレーターでなく階段を使うことでも歩数は増やせます。また、歩くときは歩幅を大きくとると、より大きな運動効果が得られます。

 ウオーキングのほかには、家で手軽にできる筋トレをおすすめします。筋力の衰えは上半身より下半身に集中的に起こるため、まずは下半身をしっかり鍛えましょう。下半身の強化は転倒予防にもつながります。種目はスクワットやヒップリフトなど、道具を使わずできるものが始めやすいでしょう。
 また、バランス能力をアップするのによいのが片脚立ちです。中高年なら、テーブルなどにつかまって軽く片脚を後ろに上げるだけでも効果があります。また、ヨガや太極拳などゆっくりした無理のない動きで筋力アップできる運動も中高年に適しています。

 若い人はまだ関係ないと思われるかもしれませんが、40歳以上の4人に3人がロコモ予備群といわれています。ロコモ予防には若いときからの生活習慣が大事です。筋肉量・骨量のピークは20~30歳代。この時期に骨や筋肉を強く維持しておき、それ以降もできるだけ減少させないよう、早いうちから運動習慣を身につけることが大切です。

(編集・制作 (株)法研)

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