子どもの足の健康、気にかけてますか?女の子に多いトラブル

増えている子どもの外反拇趾やスポーツ障害を防ぐために

子どもの足部の適切な発達を促すためには、適切なタイミングで評価しケアすることが必要

子どもの足の健康が危ない

 扁平足や外反拇趾、スポーツ障害など、子どもの足の健康が問題となっています。文部科学省では、1980年ごろの小学5年生の1日の歩数は23000歩であったが、20年後には13000歩と半減しており、1日に約1時間分の歩行が失われていると報告しています。

 小学生など骨の成長(骨化)が著しい時期には、適切な刺激が求められるため、運動量の減少が足の発達に大きな影響を及ぼしていることが考えられます。もちろん、靴や靴下などの履物も大きく影響します。

 子どもの足の発達を評価するために、ここでは足圧分布と足の筋力に着目してみましょう。足圧分布では、足の筋肉やアーチ構造に代表される足底部の骨格が評価できます。
 まず、図1は20歳の健康な女性の足圧分布です。これまで、足部には3つのアーチがあることを紹介してきました(「フットケア1 足病、足部の筋力、骨格系」、「フットケア3 外反拇趾、内反小指」参照)。図1では、3つのアーチがすべて形成されていないことがわかります。
 この女性はすでに骨化が終了、あるいは終了段階にあることから、足部の筋骨格の形状に対して、ここから大きな改善は見込めないと考えられます。

骨格が形成される前に、足の評価とケアを

 図1のような状態になるのを予防するためには、骨格の軟らかい子どものうちに足の状態を評価し、適切なケアを行うことが必要です。

 図2は6歳の子どもの足圧分布で、足部のケアの前後の状態を比較しています。左はケアを行う前で、足指が十分に地面に接地せず、中足部の筋肉が硬くなっているため地面にうまく接地できていないことがうかがえます。そのため、踵に強い荷重が見られます。
 ちょうど筋力が向上する一方で、筋肉が硬くなっていることも考えられる時期です。そこで、足指でタオルを引き合う運動や輪っか飛び、足指じゃんけんなどの運動や、足裏のマッサージなどのケアを家庭や学校で行うよう指導しました。

 その結果、3カ月程度で図2右のように足圧分布の変化が確認できました。つまり、中足部が柔軟になったことで接地が見られ、拇趾球や足第5指の付け根など前足部の機能も改善が確認できます。このように小学生までの子どもは日常的なケアや運動で足圧分布が大きく変化することがわかります。

 図4は世界的に活躍するアスリートの足圧分布です。この選手は砂浜などでトレーニングや競技をすることが多く、足部の筋力と同時に足裏の柔軟性も向上したことが足裏アーチの発達などにもよい影響があったと考えられます。このような形につなげていく指導が重要です。

女子では足部や腰回りの筋力が発達する前の外反拇趾が増えている

 図5は、子どもの足部の筋力である足指力を計測する様子です。図6は、図5の装置を使って、小学生(女子)の足指力の平均値と発達評価のための20%タイル(下から20%にあたる値)を表したものです。同様に、図7は子どもの腰回りの力である股関節内転筋力(膝間力)の計測の様子で、図8はその結果を示したものです。

 図6と図8から、子どもの足部および腰回りの力は平均値では12歳ごろ大きく向上することがわかります。一方20%タイルは、平均値に比べて向上率が年齢に対し直線的であることもわかり、子どもの体力の二極化がうかがえます。

 「フットケア6 子どもの外反拇趾」でも述べましたが、先行研究では、中学生の女子の外反拇趾発生率は6割だと報告されています。私たちの調査結果では、小学校4年生以降外反拇趾が急増することもわかってきました。

 外反拇趾に影響する因子は、(1)靴などから加えられる外力、(2)その外力を支える足部の筋肉や骨格の形状、(3)その人の足部の特性により歩行や運動によって加えられる力が挙げられます。
 10歳ごろからだんだんおしゃれになり、ミュールなどの踵の高い靴などを履くことで、前足部や中足部に強い負荷が加わることが(1)に当たりますが、(2)の足部の筋力が大きく発達するのは12歳ごろであることから、筋力が十分発達していない10歳ごろに強い負荷を加えることで、外反拇趾等の変形が起きていることが推察されます。

 図2のように、ケアや運動により足部の筋骨格系は大きく変化します。悪影響を与えれば、あっという間に悪化することは容易に想像できます。

 子どもの外反拇趾などの足部の問題を改善し、適切な発達を促すためには、適切なタイミングでの計測や評価が必要です。これができると、現状が目で見え、運動効果や靴など履物の影響を確認するために有効です。さらに、踵の形状の観察などは、素足の状態であればすぐに確認できます。

 子どもの足の課題を解決するために、足部の筋骨格系へアプローチできる期間は小学校までを第1段階、中学や高校を次のステップと考えると、大変短い期間です。足部の発達は体力向上と並行して、成長過程に大変重要です。多くのみなさんに取り組んでほしいと思います。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
山下 和彦先生


東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科教授
2005年東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科講師、07年准教授を経て、13年から現職。専門分野は医用生体工学、高齢者福祉工学。特に身体機能計測を用いた高齢者の転倒予防指導やメディカルフットケアおよび子どもの身体発達支援、リハビリテーション支援の技術開発など。日本生体医工学会、日本生活支援工学会、日本医療機器学会、ITヘルス学会などに所属。

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