低用量ピルの活用法は避妊以外にもある-副作用と注意点

一番確実な避妊法であり、月経トラブルの治療薬としても有効

月経の不快症状や子宮の病気の改善にも役立つ低用量ピル。副作用のことを正しく知っておきましょう

避妊効果だけではない、低用量ピルのさまざまなメリット

 低用量ピルといえば、「低用量経口避妊薬」のこと。その名のとおり、正しく服用すればほぼ100%の避妊効果が期待できるため、望まない妊娠を防ぐのに非常に有効な薬です。

 しかも、低用量ピルの効果はそれだけではありません。多くの女性が悩まされている、月経に関するさまざまなトラブルを改善したり、子宮の病気を予防・改善したりできることがわかっています。

(1)月経困難症を改善する
 月経時の腹痛や頭痛、吐き気や下痢などの症状を改善する効果があります。

(2)月経血量を減らし貧血を改善する
 過多月経(月経血量が異常に多い状態)や、それに伴う貧血を改善する効果があります。

(3)PMS(月経前緊張症)を改善する
 月経前の痛みやむくみ、不眠、イライラ、ニキビといった症状を改善する効果があります。

(4)子宮内膜症を予防・改善する
 子宮内膜症の発症を予防したり、症状を改善したりする効果があります。

(5)月経周期が正しくなる
 ピル服用中、月経周期は28日周期になります。旅行などで月経をずらしたいときの調整もできます。

 なお、低用量ピルは避妊目的での使用には健康保険が適用されないため、自費での購入となります。月経困難症の治療に使用する場合に、一部の薬が保険適用となっています。

副作用のリスクを正しく知ろう

 低用量ピルのデメリットとして気になるのは、副作用のことでしょう。2013年の終わりに、低用量ピルの副作用の一つである血栓症(静脈血栓塞栓症)による死亡例が大きく報道され、「低用量ピル=血栓症が怖い」と感じている人は多いようです。

 海外の調査によると、低用量ピルを服用している女性の血栓症発症の頻度は、年間10,000人あたり3から9人。これは妊娠中および分娩後12週間の血栓症発症頻度よりはかなり低い数値です。つまり低用量ピルの副作用の血栓症のほうが妊娠による血栓症の頻度より少ないのです。また、低用量ピルを服用していない女性の発症頻度の1から5人に比べても、服用による血栓症の頻度はさほど大きい数字ではありません。

 低用量ピルの服用中に血栓症の頻度を高くするいくつかの要因があることがわかっています。
・喫煙している
・年齢が高め(おおむね40歳以上)
・肥満である
・高血圧である
・糖尿病である

 特に、「35歳以上で、1日に15本以上のタバコを吸う人」は非常に血栓症の発症リスクが高く、低用量ピルを使用してはいけないとされています。

低用量ピルを服用する全ての人が気をつけたいこと

 血栓症の発症時には、特徴的な5つの症状があることが報告され、症状名の頭文字をとって「ACHES(エイクス)」と呼ばれています。低用量ピルの服用中に、もしもこれらの症状が起こったら、すぐに服用を止めて医療機関を受診し、低用量ピルを服用していたことを必ず医師に伝えましょう。

 A:abdominal pain(激しい腹痛)
 C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
 H:headache(激しい頭痛)
 E:eye / speech problems(見えにくいところがある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)
 S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)

(日本産科婦人科学会 ホームページより)


 血栓症以外の低用量ピルの副作用では、主に、服用開始直後にむくみや不正出血、吐き気などの症状を感じることがありますが、ほとんどの場合は徐々に改善します。もしもそれらの症状が長く続く場合は、医療機関に相談し、薬の種類の変更や服用の中止を検討しましょう。

 日本で2010年に月経困難症の治療薬として承認された「ヤーズ」は、むくみの副作用が少ないという特徴がありますが、飲み忘れると避妊効果が薄れるのが早いため、避妊目的の場合は注意が必要です。

 低用量ピルも薬剤の一つであるため、ほかの薬と同様に、多少の副作用は避けられませんが、避妊効果は他の方法(コンドーム)より優れています。また月経トラブルに悩まされている人は、低用量ピル服用におけるメリット・デメリットを比較したうえで、使用を検討してみてはいかがでしょうか。

【関連コラム】確実な避妊法を知っていますか?」「選択肢が増えている子宮内膜症の治療

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
森 裕紀子先生


北里大学東洋医学総合研究所 漢方診療部
1995年佐賀医科大学卒業。専門は漢方全般、産婦人科。医学博士、日本東洋医学会認定漢方専門医、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。

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