災害時の備えは充分?女性が働く職場や子どもの備えに必要なこと

働く子育て中の女性は、通常の備え以上に多くのことが必要

日頃からパートナーや保育園と子どものお迎えについて話し合っておくとともに、ご近所や友人と協力体制を

女性視点からの備えのすすめ

 最近、災害といっても地震だけでなく、大雨や竜巻といった異常気象による風水害も全国各地で発生しています。特に働きながら育児も主に担っている女性にとっては、通常の備え以外にも多くのことが必要です。

 子育て中の当事者でなくても、こうした女性視点からの備えを率先することで、自分自身や家族、そして周囲の人を守ることにつながります。

 災害への備えは、頭で考えているだけではできません。ぜひとも、一つからでもよいので「試して」みてください。

家庭での備え

 まず家庭における物品の備えとしては、飲料水として1人当たり1日3リットルを3日分、非常食として3日分の食料、その他トイレットペーパー、電池、懐中電灯、ラジオなどがよくあげられます。

 最近は、大規模災害を想定して1週間分以上の備蓄が求められることもありますが、まずは3日分の確保を目指しましょう。その上で、住んでいる地域における地震などのリスクを考えて1週間分を確保するか決めます。

 一言で3日分の水といっても、3人家族なら27リットル。つまり27kgです。買ってくるだけでも大変ですが、水さえあればなんとかなることが多いのも事実です。(「働き盛りの健康8 災害時の水の確保」参照)

 非常食もさまざまな種類があります。かつては乾パンなどが主流でしたが、やはり米文化の我々にとって、乾パンで数日間過ごすことは容易ではなく、最近はアルファ米の備蓄も盛んになっています。
 災害後すぐは電気やガスも使えないことを想定して、その上で食べられないと意味がありません。ですから、たくさん購入する前に一度試して食べてみる、できれば温めないで食べてみるといったことをぜひやってみてください。

 妊娠中の方や子どもが乳幼児の場合には、さらに追加で対策が必要になります。たとえば、妊産婦の方に必要な物には、母子健康手帳やお薬手帳、生理用品、紙おむつ・タオルなどの分娩準備品など、乳幼児のためには粉ミルクとミルク用飲料水、哺乳瓶、レトルトの離乳食、おやつ、紙おむつ、おもちゃ、毛布などがあります。

 また、災害時の安否確認の方法について家族間で確認しておくことも大切です。(「災害時への備え・心構えについて確認を」参照)

【参考】
・首相官邸ホームページ「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~」http://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
・世田谷区「妊産婦・乳幼児のための災害への備え」http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/104/141/557/d00131144.html

職場での準備の確認と提案

 職場でも災害に備えてさまざまな取り組みが行われています。積極的なところでは水はもちろんのこと、非常用の持ち出しバッグやヘルメットなどを支給しているところもあります。また、携帯電話による安否確認や連絡網などの作成が行われています。さらに、都心の企業では年に1回程度会社から自宅まで歩くことを訓練として行っているところもあります。

 女性にとって職場から家まで歩いて帰ることは、特に都市では困難です。距離が20kmを超える場合、夕方に職場を出て翌朝までに自宅に到着することは男性でも困難と想定されています。さらに災害時には人の渋滞も予想されます。それでも帰らなければならないなら、歩きやすい靴を職場に置いておくことです。

 ところで、災害時に職場での意思決定を誰がするかということは決まっているでしょうか。特に、台風などの予想される災害が起こる可能性のある際に、出勤を遅らせたり、帰宅を早めたりするのは、実際には容易ではありません。お客様への対応も必要ですが、帰れる人から早めに帰らせる、または遅い出勤を認めるなど、まずは従業員の安全を大切に考える文化であってほしいものです。

保育園(幼稚園)や学校での対応とご近所・友人との協力

 保育園(幼稚園)や学校でも災害への対応が進んでいます。耐震などの備えはもちろん、保護者への通知や連絡方法の確保といったことまで行っているところもあるようです。

 しかし、基本的には「速やかにお子さんを引取りに来てください」といった対応が多くなっています。共働きで、近くにご両親などがいない場合には困難ですよね。
 公共交通が大きく影響するような際には、電話による連絡も難しいかもしれませんし、保育園や学校にとってこうした電話対応にもそれなりに人手が必要になります。

 日ごろから、パートナーや保育園と子どものお迎えをどうするか話し合っておくとともに、ご近所や友人との協力といったこともやっておかなければなりません。
 ぜひあなたから周りの方に、災害時にどうするかという問いかけをしてみてください。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
和田 耕治先生


独立行政法人国立国際医療研究センター国際医療協力局 医師
2000年産業医科大学医学部卒業。臨床研修医、企業での専属産業医を経て、06年 McGill(マギル)大学産業保健修士、ポストドクトラルフェロー。07年北里大学医学部衛生学公衆衛生学助教、09年講師、12年より准教授。13年8月より現職。専門は公衆衛生、産業保健、健康危機管理、疫学。医学博士、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、産業保健修士、日本産業衛生学会指導医。著書に『保健・医療従事者のための自然災害において被災者や自分を守るためのポイント集』、『医療機関における暴力対策ハンドブック』(ともに中外医学社)など多数。

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