脱法ハーブ改め、「危険ドラッグ」とは? 強い依存と未知の毒性

麻薬や覚せい剤と同じかそれ以上に危険。手を出してはダメ!

遊び気分で使用して依存症になり、事故や犯罪を引き起こすケースが増加。所持するだけでも処罰の対象に

「合法ドラッグ」、「脱法ハーブ」から「危険ドラッグ」へ改称

 危険ドラッグは、少し前まで「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などという名称で出回っていた薬物です。この名称のため、違法ではないとか、体への悪影響はあまりないのでは? と誤解していた人も多いかもしれません。
 しかし、含まれている成分は、麻薬や覚せい剤とほぼ同じです。むしろ、覚せい剤などより入手しやすいために、若者などの間にひそかに広まって、事故や犯罪につながっているのです。

 そこで、警察庁と厚生労働省は2014年7月にこれらの薬物の名称を改め、現在は違法性と危険性をより正しく伝える「危険ドラッグ」という名称が使われるようになっています。

覚せい剤などの化学構造を少し変えたもの

 危険ドラッグの多くは、麻薬や覚せい剤によく似た合成麻薬を、乾燥した植物の葉に混ぜたり、それを液体や粉末に加工したものです。日本では、麻薬や覚せい剤などとは別に、幻覚などの作用があり使用すると健康被害を起こす恐れがある物質を「指定薬物」*として法律によって規制していますが、危険ドラッグはこれらの薬物の化学構造を一部変えているため、法規制をまぬがれていただけなのです。

 危険性は、麻薬や覚せい剤と同じかそれ以上です。使用すると、幻覚や異常な興奮などが起こり、奇行に走ることがあります。意識障害やけいれん、呼吸困難などが起こることもあります。

*自治体による薬物の濫用防止に関する条例で規定する「知事指定薬物」もあります。

強い依存性。その怖さは未知数

 依存性は、麻薬や覚せい剤よりむしろ強いとも言われます。車の中で危険ドラッグを吸って運転し、歩行者をはねたり、建物に激突するなどの事件が何度もニュースになっています。このことも、危険ドラッグの強い毒性や依存性が影響しているのではないかと言われています。

 また、たった一度の吸引でショック死してしまうケースも出ています。どのような成分が入っているのか、どのような加工が行われているかがわからないために、毒性は未知とも言えます。そのためどのような症状が起こるかわからず、救急搬送された病院でも適切な治療ができないことがあるなど、大変危険な毒物なのです。

お香、アロマなどに偽装して販売も

 このような毒物の被害が、なぜ広まっているのでしょうか。危険ドラッグは、いかにも「危険」「違法」という形態で売られているわけではありません。ハーブやアロマ、ポプリ(芳香剤)、バスソルト、お香など、よくある生活雑貨や食品などに偽装して、店舗やインターネットの通販サイトなどで販売されている場合がほとんどです。

 このように現代社会では、普通に生活しているつもりでも、危険ドラッグの魔の手が忍び寄ることがあります。おしゃれなパッケージやカラフルなデザインのために、違法な毒物とは思えず、つい気を許してしまいたくなりますが、だまされてはいけません。

購入したり、所持するだけで処罰の対象に

 薬物依存に陥り、犯罪を犯す人のほとんどは、最初は「友人に誘われて」「遊び心で」「ストレス解消したかった」と軽い気持ちから入ってしまいます。
 しかし、一度使うとまた使いたくなり、繰り返し使っているうちに使用量がどんどん増えて、依存症になり、心も体もむしばまれていきます。

 2014年の薬事法改正などにより、危険ドラッグに対する規制は強化されています。
 4月には、それまで輸入や製造、販売などが規制されていた「指定薬物」が、個人的に使ったり家の中に置いておくだけでも罰せられることになりました。
 12月には「指定薬物と同等以上に有害な疑いがある」物品についても、規制の対象とすることができるようになりました。

 また、危険ドラッグを吸引するなどして運転事故を起こすと危険運転致死傷罪に問われることがあります。

 友人に誘われても断る勇気を持ちましょう。しつこくすすめられたり、勝手に送られてきたなど不安なときには、警察や都道府県の保健局に相談を。これらの薬物相談の窓口では、危険ドラッグに関する情報提供も求めています。

【関連コラム】薬物乱用――いつでも止められるは大間違い

【関連サイト】
厚生労働省「薬物乱用防止に関する情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou
厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」(http://www.yakubutsu.com/

(編集・制作 (株)法研)

コラムに関連する病名が検索できます。

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

薬物乱用は簡単に辞められない? 身近な人が依存症になっていたら

違法な薬物に手を染めるのは、一部の世界の人だけにとどまりません。記憶に新しいところでは、芸能人が相次いで逮捕された事件がありますが、最近は主婦、大学生や高校生、そして中学生の間にも薬物乱用が広がっています。
こうして一般の人や子どもに... 続きを読む

夏の旅行は蚊による感染症に注意して! 4つの命に関わる感染症

ここ数年、東南アジアなどを旅行中デング熱に感染し、帰国後に発症する人が増えています。昨年(2013年)は249人が発症し、統計をとり始めた1999年以降で最多となりました。また、熱帯地方を旅行してマラリアに感染し、帰国後発症して重症化する... 続きを読む

スマホの使いすぎは眼から全身、さらにメンタルも疲労させる?

スマホやパソコンを使う時間が長く、肩が凝ってしかたがないと感じるときは「ストレートネック」という問題が起こっているかもしれません。
体をまっすぐ起こした姿勢では、首の骨(頸椎)は前側にやや湾曲しているもの。ところが、スマホの操作などで... 続きを読む

働く人の介護を前向きに 両立のためにすべきこと7つのステップ

超高齢社会の日本で、働きながら介護する人は約290万人。そのうち働き盛りの60歳未満が約200万人を占めています(総務省平成24年「就業構造基本調査結果」)。多くの方が働きながら介護をする時代になりました。
仕事は家族の暮らしを支え、... 続きを読む

「お香」で心も体もリラックス-日本のお香が体にいい理由

白檀(びゃくだん)のお線香のにおいや新しい畳のにおいをかいだとき、小さいころ行った田舎のおばあちゃんの家を思い出したり、香水のにおいから大好きだった人のことを思い出したり、香りによって懐かしいできごとや人の記憶がよみがえることはありません... 続きを読む

【医者が教える】高齢者の在宅医療‐ある末期がん患者さんの例

「できれば最期までの日々は、思い出深いわが家で、自分らしく過ごしたい」在宅医療は、そのような患者さんの想い、ご家族の想いから始まります。しかし「自宅で急に容態が変化したときにはどうすればいいのか」など不安も大きいことと思います。患者さんが... 続きを読む

夫婦間のDVの被害者の98%は女性-被害者や子どもへの影響

人間関係の中でも、夫婦の関係に悩む人は少なくないと思います。家庭内の問題は個人的なことであって、自分さえ我慢すれば、あるいは自分が態度や行動を変えれば何とかなるだろう、と誰にも言わずにいる場合が案外多いかもしれません。 しかしそれらのこと... 続きを読む

RSウイルスに赤ちゃんが感染すると重症化の危険-予防法とは

「RSウイルス感染症」の流行が始まっています。国立感染症研究所の調査によると、今年(2014年)は患者数(報告)が8月下旬から急増し、9月中旬には流行期に入ったとみられています。例年晩秋から春にかけて流行し、冬季にピークがみられましたが、... 続きを読む

アサリダイエットレシピ アサリとコーンのカラフル海苔酢

カロリー1人分:30kcal アサリと海苔は、コレステロール値を下げ、血流をよくして増血作用が期待できる食べ合わせです。アサリと海苔は共にビタミンやミネラルが豊富に含まれ、海苔の水溶性食物繊維は、ナトリウムが腸から吸収され... 続きを読む

蒸しショウガを粉末にしておけば料理にすぐ使える


作った蒸しショウガは、密閉容器に入れておけば3カ月くらい保存できます。でも、飲み物やお料理に使うには、そのままの形では不便。見た目も水に戻す前のキクラゲみたいで、知らない人はちょっと不気味に思うかもしれません。... 続きを読む