緊張してなくても手のひらに汗、、、それってもしかして病気かも?

夏に汗はつきもの。でも、汗をかきすぎる病気もあるのです

大量に発汗する病気には交感神経が敏感になる多汗症、甲状腺機能亢進など、さまざまなものがあります。

手のひらから大量の汗が…

 夏は汗をかきやすい季節。外出にはハンカチが手放せなくなりますね。汗には、体内の熱を放出して、体温を一定に保ってくれる働きがあります。 ところが、通常では発汗しないとされている状態で、大量に汗をかいてしまう病気があり、多汗症と呼ばれています。

 多汗症の中でも、汗をかく部位が決まっているものを限局性多汗症と呼び、汗をかきやすい部位は手のひら、腋の下、足の裏などです。

 多汗症の、たとえば、手のひらからの発汗はとても大量です。雑誌を見ていると汗でページが湿ってしまう、車の運転をしているとハンドルが汗で濡れる、電車に乗るとつり革を持つ手から肘まで汗がつたうなど、本人にとって非常に苦痛な状態が続きます。さらにそれが、「握手をしたとき変に思われたらどうしよう」「人に見られては恥ずかしい」…と、精神的に本人を追いつめて、日常生活に支障をきたすケースさえ。どうしてこのような症状が起こるのでしょうか?

甲状腺機能障害で起こることも

多汗症の原因は、以前は、人前で緊張しやすい性格から起こるとされていました。「気の持ちようで汗はかかない」と思われていたのです。ところが、多汗症の人のケースでは、自宅でリラックスしているときも手のひらから汗が出てきたり、朝目覚めたとたん、汗をかき始める、などの症状があることがあきらかになってきました。

現在では、緊張したときに発汗を促す、「交感神経」が敏感であることが原因とされています。自律神経のひとつで新陳代謝を活性化する「交感神経」の機能が、通常の人より亢進しているのです。しかしそれ以外にも、何らかの病気が関係して多汗症が起こることがあります。

ひとつは、甲状腺機能亢進症によるもの。この病気にかかると、甲状腺ホルモンが増加して、全身性の発汗が起こります。そして更年期障害の場合も、卵巣機能の衰えによって、かっと汗をかいてそれがすぐに引く、などの症状が見られます。また副腎腫瘍があるときも、多汗の症状が現われます。汗が多いな、と気になったら、一応、全身の健康状態をチェックしてみるといいでしょう。

治療するには?

では、多汗症はどのように治療すればいいのでしょうか。

 交感神経の亢進で起こる多汗症の場合、カウンセリングや心身療法で効果が見られる場合があります。症状の出た人が、汗に対して持っている、強い恐怖心や不安感をほぐしていくのです。また、自律神経訓練法により、交感神経と副交感神経のバランスを整える療法も行われています。

 さらに、治療手段のひとつとして、手術もあります。胸腔鏡を用いて、交感神経をブロックする「胸部交感神経節切除術」を行うのです。ところが手術の欠点として、手のひら自体の発汗は止まっても、背中や腹などに汗をかく「代償性多汗」の症状が出ることがあります。

 多汗症は近年、クローズアップされ始めた病気です。「言われてみると汗をかきやすい」「いつも手のひらが湿っている」そんな風に感じる人の中には、多汗症に該当する人もあるかもしれません。今後、さらに治療法が進歩していくでしょうが、それぞれの治療法の長所と短所を知り、最も適した方法を選びたいものです。

(「家庭医学大全科」、法研より)

【取材協力】
嵯峨 賢次氏


札幌医科大学皮膚科学講座助教授
昭和57年札幌医科大学大学院卒業、同年日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。 昭和60年から63年アイオワ大学皮膚科研究員を経て現職。研究領域は皮膚悪性腫瘍の診断と治療、汗腺の構造と機能、アトピー性皮膚炎の治療、皮膚病理組織学など。

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