トイレはどこ!? 不安が悪循環を招く過敏性腸症候群とは?

外出先で突然、お腹を下す過敏性腸症候群が増えています。

検査では異常がないのに、下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群。
あなたも気をつけましょう。

外出がおっくうになる人も……

 ある日突然、外出先で下痢におそわれた。以来、「また、外出先で下痢になるかも」と心配で、電車も各駅停車にしか乗れない。デパートなどでは、トイレの位置をいつも確認していないと不安……。
こんな出来事に身に覚えがあるあなたは、「過敏性腸症候群」かもしれません。

 過敏性腸症候群は、検査では異常が見られないものの、腸の運動や分泌機能が過敏になったために下痢や便秘、あるいはそれを交互に繰り返すなどの便通異常、腹痛、お腹がはっていやな感じがする・・・といった症状が起こった状態をいいます。

 症状がひどくなると、外出するのをためらう人もいます。たしかに、お腹の調子が不安だと、外出しても落ち着いた気持ちでいることができませんよね。
でも、健診では異常がないのに下痢や便秘などの症状に悩まされてしまうのは、どうしてでしょう。

下痢の不安がさらに悪循環に

 口から入った食べ物は胃、小腸、大腸を通過していくなかで消化・吸収され、徐々に便らしい形状になっていきます。そして、大腸から直腸まで便が下りてくると便意がおこり、肛門から排泄されるのです。このように消化・吸収されたものが肛門に向かって移動できるのは、腸が運動しているからです。朝、食事をすると大腸が動きだし、直腸まで便が運ばれて便意を感じます(胃・結腸反射という反応)。通常の排便は1回済ませると、「今日はすんだから明日にしよう」と無意識のうちにコントロールされ、多くは1日1回におさめられます。ところが、腸の運動は自律神経によってコントロールされているため、自律神経のバランスが乱れるとお通じにトラブルが発生、過敏性腸症候群になってしまうのです。

 自律神経を乱す主な原因はストレス。極度のストレスにさらされると、自律神経に緊張が伝わり、腸管運動をうながす副交感神経が過度に緊張して、大腸にけいれんがおき、下痢がおこります。また、けいれんが肛門により近い直腸で起こったときは、逆に便秘がおこります。

 一度、症状がおきると、「また下痢をするかもしれない」と不安な気持ちになり、それがさらに下痢を引きおこします。心理的なストレスによって、腸のけいれんが続けておこるという、悪循環になってしまうのです。

几帳面で神経質なタイプに多い

 過敏性腸症候群をおこすのは、几帳面、完璧主義、神経質な人に多いといわれています。ストレスに対する耐性が弱い人がかかるケースも多いのです。
では、この苦痛な症状を、どのように治療すればいいのでしょうか。

 薬によって症状を一時的に緩和させることはできますが、根本的に治したとはいえません。まず、心理的ストレスの原因となっている、悩みや心配ごとを解消するのがポイント。うまく解消できないときは、カウンセリングを受けたり、心療内科の助けを借りるのもいいでしょう。

 そして、生活を規則正しいものにととのえます。夜ふかしをせず、朝は決まった時間に起き、便意のあるなしに関係なくトイレに行く習慣をつけます。

 食事時間はなるべく一定にし、メニューでは、食物繊維の多いものを積極的にとるといいでしょう。さらに、「この病気になったのは、デリケートな証拠。ニブイ人にはおこらないはず!」など、前向きに考えて、あまりお腹のことを意識しないで暮らしてみましょう。すると、いつの間にか症状が緩和されているかもしれません。

 私たちの生活は、なにかとストレスを蓄積しがち。過敏性腸症候群は、それによって引きおこされる病気の代表的なものです。ストレスとの上手なつき合い方をマスターするのも、大切なことですね。

(「よくわかる 女性のからだ事典」天野恵子監修、法研より)

【取材協力】
天野恵子


千葉県衛生研究所所長/千葉県立東金病院副院長
1942年生まれ。東京大学医学部卒業(医学博士・循環器内科専攻)。東京大学講師、東京水産大学教授を経て、現在千葉県衛生研究所所長兼千葉県立東金病院副院長。全国に展開されている女性外来の立役者。

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