過活動膀胱(OAB)ってなに? 「トイレが近い」「我慢できない!」

ご存知ですか? 過活動膀胱(OAB) PART1

頻尿、尿もれ…年のせいだとあきらめていませんか。
40歳以上の8人に1人が過活動膀胱で悩んでいます。

過活動膀胱(OAB)ってなに?

 「最近、トイレが近いなあ……」ふと、そう感じることはないですか? 「トイレが近い(頻尿)」「尿意を感じたとたん、我慢できなくなる(尿意の切迫感)」など、排尿に関するトラブルを抱えている人は、ずいぶん多くみられます。
 しかし、人前で口にすることがはばかられるため、積極的に医師の診察を受ける人も少なく、これまで実態が明らかになっていませんでした。

 ところが、2002年国際禁制学会(ICS)により、これらの排尿障害に過活動膀胱(OAB)という疾患名がつけられました。これによって、ひそかに悩んでいる人にとっても、この病気はぐっと治療しやすいものになったのです。
 過活動膀胱(OAB)の症状には、急に強い尿意が起こり、もれそうな感じになる「尿意切迫感」を中心として、トイレが近くなる「頻尿」や、我慢できずにもらしてしまう「切迫性尿失禁」などがあります。

・頻尿とは?
日中トイレの回数が8回以上にのぼる(昼間頻尿)
夜中、排尿のために1回以上起きる(夜間頻尿)

・切迫性尿失禁とは?
尿意が我慢できずもらしてしまう
*この尿失禁は、腹圧性尿失禁(くしゃみや咳などお腹に力がかかったときに尿がもれる)とは違います。ただし、切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方の症状があることもあります(混合性尿失禁)。

 過活動膀胱の症状があると、外出先ではトイレの場所を確認しないと落ち着かなかったり、夜間の頻尿で睡眠不足になったりと、日常生活にもさまざまな弊害が出てきます。尿意が我慢できないため、旅行など、人と一緒に外出することをためらい、引きこもりがちになったり、職場によっては余儀なく異動や転職したりするようなケースもでてきます。患者さんの生活の質(Quality Of Life:QOL)に影響を及ぼすことは多いのです。

40歳以上の8人に1人が悩んでいる!

 気になるのは、この過活動膀胱の潜在的な患者が、日本ではとても多いこと。40歳以上1万人を対象としたアンケートでは、40歳以上の場合、患者数は全体の12.4%、なんと810万人の人が何らかの排尿トラブルを抱えています。

 その発症率も年齢が上がるにつれ増えています。昼間頻尿は年齢によらず50%前後ですが、夜間頻尿は年齢が上がるにつれて急に増加します。尿意切迫感は、50~70代では男性の方が多く、切迫性尿失禁は40~60代で女性の方が多くみられます。

 こうした過活動膀胱は、いったいどのようなメカニズムで起こるのでしょうか。

原因は、下部尿路のトラブル

 排尿のトラブルは、泌尿器系の臓器に問題が生じて起こります。泌尿器系の臓器とは、尿をつくって排出する器官の総称。腎臓、尿管、膀胱、尿道から構成されています。このうち、腎臓と尿管を上部尿路、膀胱と尿道を下部尿路と呼びます。

 尿は腎臓でつくられ、尿管を通って膀胱にためられます。膀胱は、150~200mlの尿がたまると、尿意を覚えます。200~350mlたまるとトイレに行って排尿したくなり、500mlたまると強い尿意となります。この間は、尿道括約筋(尿道を栓のように閉めている筋肉)が収縮し、尿がもれるのを防ぎます。この尿をためている期間を「蓄尿期」と呼びます。尿をする気になると、尿道括約筋がゆるみ排尿筋が収縮して尿が出ます。この排尿している期間を「排尿期」といいます。

 過活動膀胱は、膀胱と尿道で構成される下部尿路の機能異常によって起こります。とりわけ、膀胱の筋肉(排尿筋)の過活動が原因とされています。排尿筋過活動とは、膀胱を形づくる筋肉(排尿筋)が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する状態です。そのために、尿が近くなったり、我慢できなくなったり、ついには尿を漏らしたりするのです。

 最近ではこのような症状によく効く薬が手にはいるようになりました。適切な治療を受ければ、症状が軽くなる可能性は非常に高いのです。
 また、過活動膀胱の症状は他の病気でもおこってきます。その中には、膀胱癌や前立腺癌などの癌もあります。男性では前立腺肥大症が原因となっていることも多いです。結石が理由のことも少なくありません。

トイレが近い、漏れそうになるということがあっても、「どうせ年だから排尿障害があって当たり前」とあきらめてしまう人も多いようです。でも、それが過活動膀胱のせいなら、薬が効くことが期待されます。そうでなくても、他に重大な病気が見つかるかもしれません。安易に年のせいとしないで、是非とも診察を受けてみましょう。

(「尿の悩みを解決する本」本間之夫著、法研より)

(資料提供)
過活動膀胱(OAB)解決サイト
ファイザー株式会社

【監修】
本間之夫氏


日本赤十字社医療センター泌尿器科部長
東京大学医学部卒業。都立駒込病院、自衛隊中央病院、三井記念病院、東京逓信病院、東大附属病院など経て現職。排尿障害、泌尿器科がんを専門とする。泌尿器科学会指導医

コラムに関連する病名が検索できます。

過活動膀胱(OAB)ってなに? 「トイレが近い」「我慢できない!」 関連コラム

アクセスランキング一覧

100件中 1件~20件を表示

  1. 1 あなたは大丈夫? 使わないと衰える…脚の筋力とバランス力をチェック!
    あなたは大丈夫? 使わないと衰える…脚の筋力とバランス力をチェック!
    (編集・制作 (株)法研) (「ジャストヘルス」法研より) 脚…
  2. 2
    睡眠中の"よだれ"に潜む意外な健康リスク
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 朝、…
  3. 3 放置するとダニ・カビの温床に…寝具のお手入れ方法
    放置するとダニ・カビの温床に…寝具のお手入れ方法
    (編集・制作 (株)法研) 汗を吸い込んだふとんは、カビやダニの温床…
  4. 4
    Wi-Fiのせいで体調不良?「電磁波過敏症」ってなに?
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと イン…
  5. 5
    好きなだけ食べても太らない!? 18時間プチ断食で食べすぎリセット
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 腹8…
  6. 6
    忙しい人に知ってほしい、質の高い睡眠をとるための快眠10か条
    (編集・制作 (株)法研) 午後10時から午前3時は睡眠のゴールデン…
  7. 7
    トイレはどこ!?几帳面で神経質なタイプに多い過敏性腸症候群とは?
    (編集・制作 (株)法研) 外出先で突然、お腹を下す過敏性腸症候…
  8. 8
    そのむくみ、病気のサインかも? むくみの原因と解消法
    (編集・制作 (株)法研) デスクワークばかりの運動不足はご用心…
  9. 9
    ストレスやイライラには『ハーブティー』!あなどれないハーブの効能
    (編集・制作 (株)法研) フレッシュ・ハーブは、心を癒す効き目たっ…
  10. 10
    歩くとツライ、外反母趾。大きめの靴を履くのはOK?正しい靴の選び方
    (編集・制作 (株)法研) 外反母趾の靴選び、自宅でできる運動療法な…
  11. 11
    正しく痩せる早道とは? 間違ったダイエットの落とし穴
    (編集・制作 (株)法研) 過剰なダイエットはやせないどころか、命を…
  12. 12 みぞおちの辺りが痛い 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    みぞおちの辺りの腹痛 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    お腹の上の部分、みぞおちあたりの痛み。胃痛? それとも、ほかの病気? …
  13. 13
    虫刺され跡の茶色いシミをどうにかしたい!早く消す方法は?
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと …
  14. 14
    スマホ老眼!にならないための3つの方法
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 手元…
  15. 15
    ヘルプマーク、ハートプラスマークなど、見えない障害を持つ人のためのマーク
    (編集・制作 gooヘルスケア) 外見からはわからない障害を抱え…
  16. 16
    内臓が悪いと口臭がキツくなる!? こんなニオイがしたら注意して!
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 口臭…
  17. 17
    実はかなり他人にみられてる…背中・うなじニキビの原因と治療法
    シャツの襟からのぞく背中やうなじのニキビ。治らないとあきらめていません…
  18. 18 緊張してなくても手のひらに汗…多量の汗から考えられる病気とは?
    緊張してなくても手のひらに汗…多量の汗から考えられる病気とは?
    (編集・制作 (株)法研) 夏に汗はつきもの。でも、汗をかきすぎる病…
  19. 19 星野源、KEIKOが患った「くも膜下出血」ってどんな病気?【芸能人健康まとめ】
    GENKINGや今井翼が患った「メニエール病」ってどんな病気?【芸能人の健康まとめ】
    (編集・制作 gooヘルスケア) めまいといえばメニエール病とい…
  20. 20
    スマホの操作はトイレでやってはいけない
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 昔は…

一覧