女性に多い大腸がん-初期症状と診断の仕方・治療のいろいろ

早期発見が大事な大腸がん。こんな自覚症状はありませんか?

早期発見なら100%近く治る大腸がん。自覚症状があったら、すぐ医師の診察を受けましょう。

便通異常やお腹のしこりをチェック!

 大腸がんはがんの中では比較的治しやすい部類に入るがん。初期の頃に発見し、手術を受けると、100%近く完治が可能です。そのため、早期発見が重要。次のような症状があったら、医師の診察を受けましょう。

血便・下血
 血便と下血は、大腸がんの代表的な症状です。血便とは、便に血がついていたり、排便時に出血すること。下血は、それに対して、血だけが出る状態です。どちらも真っ赤な血が出たり、どす黒い血などが出ます。
 血便や下血は痔の場合にも起こりますが、痔では真っ赤な血が排便時にポタポタ落ちたり紙に付着するのに対して、がんでは、血が便の表面に付着していたり、便と混じっているのが特徴です。

便通異常(便秘・下痢)
 便通異常とは、毎日1回は排便の習慣があった人が、突然便秘症になったり、下痢をしたり、便秘と下痢をくり返すようになる症状です。食生活やストレスなどから、便秘や下痢が起こることもありますから、あまり神経質になる必要はありませんが、このような症状が続くようなら、一度検査を受けてみましょう。

腹部膨満感・腹痛・しこり
 腹部膨満感とは、お腹が張った感じのこと。また、やせている人の場合は、お腹のしこりに触れて初めて気がつくことがあります。ひどい場合は、便が出なくなり、お腹がぱんぱんに張った腸閉塞の状態になります。

その他の症状
 肛門から離れた盲腸や結腸のがんでは、他に症状がなく貧血だけ現われることがあります。また、便が細くなったり、直腸がんでは、排便した後に残便感があることがあります。

内視鏡で診断

  大腸がんが気になる人に対しては、内視鏡検査が行われます。内視鏡検査によって、異変のある部分の組織を採取し(生検と呼ばれます)、それを顕微鏡で観察して、診断が下されます。最近では、軽い麻酔による無痛内視鏡検査も行われていますので、怖がらずに検査に足を運びたいものです。

 大腸がんと診断されたときは、なんらかの方法で治療の手だてがとられます。というのも、大腸がんはそのままにしておくと徐々に大きくなり、浸潤や転移を起こして治療が困難になるからです。ちなみに浸潤というのは、がんが周囲の組織を破壊しながら増殖すること。そして転移とは、がん細胞がリンパ球や血流にのって他の臓器に飛び火し、そこで増殖することです。大腸がんの場合、最も多いのがリンパ節転移、次が肝転移で、ついで肺に転移することが多いようです。

進行度で異なる治療

 大腸がんの治療の基本は、がんを切除し、がん細胞を取り除くことです。しかし、病気の進行度によって、切除できない場合もあります。そこで医師は詳細な検査を行って、まず病期(ステージ)を判定します。
 病期(ステージ)とは、がんの進行度のこと。その判断の対象となるのは、浸潤、リンパ節への転移、遠隔臓器への転移の3つです。この3つの度合いによって、治療法が決められます。
 病期の判定基準には、国際的に使われている、TNM分類とデュークス分類の主に2つがあります。そのうちの1つ、デュークス分類を紹介してみましょう。

デュークス分類
デュークスA … がんが大腸壁内にとどまるもの
デュークスB … がんが大腸壁を貫くが、リンパ節転移のないもの
デュークスC … リンパ節転移のあるもの
デュークスD … 肝臓、肺、腹膜播種などへの遠隔転移のあるもの

 「大腸がんは恐ろしい病気」と、誰でも感じていると思います。でも、早期発見・早期治療をすれば、生存率も高く、治る見込みも大きい疾患です。いたずらに恐れていないで、定期的に検診を受け、生活習慣に気を配るなど、セルフケアを心がけたいものです。

(「大腸がんがわかる本」赤須孝之著、法研より)

【監修】
赤須孝之氏


国立がんセンター中央病院大腸外科医長
1982年東京大学医学部卒業。同大学第一外科研修医・助手を経て、1990年国立がんセンターがん専門修練医となる。2004年4月がんセンター中央病院外科医長(大腸外科)、東京大学腫瘍外科非常勤講師となり現在にいたる。「大腸・肛門外科の要点と盲点」(文光堂)、「癌の外科-手術手技シリーズ4大腸癌」(メジカルビュー社)など著書多数。

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