坐骨神経痛の診断のポイント-検査方法や治療法を紹介

坐骨神経痛で診察を受けるときのポイントをお話しします。

坐骨神経痛の診断は、問診、触診、視診などによって行われます。医師には症状を明確に伝えましょう。

痛みの種類をはっきり伝える

 腰や脚などに痛みが出て、歩くのが苦痛になる坐骨神経痛。その原因疾患の代表は、背骨にある神経の通り道の「脊柱管」が細くなる腰部脊柱管狭窄症ようぶせきちゅうかんきょうさくしょうです。しかし、腰椎の椎間板が変性してしまった「椎間板ヘルニア」や腰椎が“ちょうつがいがはずれた”状態になる「腰椎すべり症(腰椎分離症)」など他の病気が原因であることもあります。
 原因疾患によって治療法や治療の進め方が異なるため、医療機関にかかった際は、まず医師は坐骨神経痛の原因をさぐる作業を行います。
 診察では、まず問診。それから、視診ではウエストラインのゆがみなどをチェックしたり歩き方を見て調べます。その後、動脈に触れたり、関節や筋肉を押さえて痛む場所を探す触診を行います。
 医師の問診では、目立つ症状を中心に、いくつかの項目が質問されます。痛みの種類や症状の現われ方は、患者の言葉を通じてしか、医師は知ることができません。診察を受ける前に、次のポイントを頭の中でまとめておくといいでしょう。

◆症状
:体のどの部分が痛むか。痛みの種類も、しびれるような痛み、鈍痛、刺すような痛みなど、性質をはっきり伝えられるようにしておきましょう。

◆痛む状況
:症状が起こるタイミング。歩いているとき、立ち上がった瞬間など、具体的に答えられるようにしておきましょう。

◆時期
:症状が出てからどれくらいになるか、急に異常が出てきた、あるいは徐々になど。

◆痛みや違和感以外の症状
:動悸、息切れ、排尿異常や下痢などの胃腸症状。その他、糖尿病、高脂血症、更年期障害など。

◆これまでかかったことのある病気
:高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症、更年期障害など、検診などの機会に医師から指摘されたものも伝えましょう。

どんな検査が行われるか?

 問診などによる診察が終わったら、検査室で、画像による検査が実施されます。一般的に行われる画像検査は次の通りです。

◆単純X線検査
:椎骨や椎間板、椎間関節の形態などを調べます。脊椎の変形、変性すべり、分離すべり、脊柱彎曲、じん帯の骨化などの異常を観察します。また、骨折や腫瘍、骨の炎症などの発見もできるので、他の疾患との区別もつけられます。

◆脊髄造影検査(ミエログラフィー)
:単純X線検査ではとらえきれない脊椎周辺、特に神経の異変を調べます。造影剤を腰から注入し、病変部の陰影欠損などを撮影します。患者の姿勢を変化させ、造影剤を移動させて、脊柱管の中を通る神経の状態の変化を追っていくこともできます。

◆CT検査
:ご存知の方も多いでしょうが、体の横断画像(輪切りにしたような画像)を得る検査です。精度のいい機械では、椎間板や神経の状態を調べることも可能です。

◆MRI検査
:腰部脊柱管狭窄症の診断に最近、用いられることが多くなりました。苦痛もなく、椎体、椎間板、硬膜管と神経根、血管などの鮮明な画像が得られます。

◆その他の検査
:神経障害が起こっている部位の機能を調べるために、以下の検査が行われることもあります。
電気生理学検査、サーモグラフィー、指尖脈波検査、神経根造影・ブロック等

さまざまな治療法

 腰部脊柱管狭窄症の主な原因は老化ですから、発症や再発を完全に防ぐことはできません。しかし治療によって症状を改善することはできます。主な治療方法には、薬物療法、神経ブロック療法、理学療法、装具療法、手術療法などがあります。

 薬物療法では、症状を緩和し、神経の血流を増加させる薬剤を処方します。使用する薬剤は、消炎鎮痛剤、筋弛緩薬、循環障害改善薬、ビタミンB 12などです。
 神経ブロックは、神経の痛む場所に局所麻酔薬を注入し、神経をまひさせて痛みをとる方法です。外来で行え、すぐに効果が出ることから、薬物療法や理学療法で効果が得られない場合に行われます。痛みが強いときや持続しているときに効果的です。
 理学療法では、医師の指示を受けた理学療法士により、機能回復用の運動、電気刺激、温熱(または冷却)、光線、牽引やマッサージなど物理的方法によって、運動機能の回復を図ります。
 装具療法は、腰椎などを安定させるために、コルセットを着用する療法です。さらに、手術療法は、前述の療法で効果が上がらず、日常生活に支障をきたしているようなとき、最終手段的に行われます。排尿や排便が困難になった場合や、脚の筋力の衰えから、歩行が難しくなったときなどに実施されます。

 日ごろ、長時間のデスクワークなどから、腰痛を抱えている人も多いようです。仕事の合間には、血行をよくするために、ときどきストレッチを試みるといいですよ!
 そして、腰痛以外に脚の痛みもあるようなら、坐骨神経痛の黄色信号です。

(「坐骨神経痛がわかる本」戸山芳昭著、法研より)

【監修】
戸山芳昭氏


慶應義塾大学医学部整形外科教授
慶應義塾大学病院副院長
昭和50年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学整形外科入局。専任講師を経て平成10年から現職。平成17年から慶應義塾大学病院副院長、医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医。日本整形外科学会副理事長・日本脊椎脊髄病学会・日本脊髄障害医学会理事などの他、厚生労働省厚生科学審議会委員をはじめ各種公職も務める。 著書に『腰椎の臨床』(メジカルビュー社)、『脊椎脊髄の手術』(三輪書店)ほか。

コラムに関連する病名が検索できます。

坐骨神経痛の診断のポイント-検査方法や治療法を紹介 関連コラム

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

腰や脚の痛みは坐骨神経痛かも? 原因となる病気4つの症状

「腰が痛いな」と思っていたら、太ももの後ろ側からふくらはぎ、足に鋭い痛みが生じてきた――中高年以降、このような異変「坐骨神経痛」に見舞われる方が増えています。ところで、坐骨神経痛とは、一体どんなものなのでしょう。
坐骨神経は、下肢の筋... 続きを読む

効果テキメン?ダイエットしている人にオススメの待ち受け画像って!?

今回は、ダイエットで辛い思いをしている人たち必見!待ち受けにするだけで、ダイエットに効果があると言われているものをご紹介します!!効果テキメン?ダイエットしている人にオススメの待ち受け画像って!? 自分の顔写真を撮って待ち受けに 自分の... 続きを読む

何度も確認したくなる、不安がつきまとう…強迫性障害の症状とは

家を出たあとで「鍵をかけ忘れたかもしれない」「ガスコンロの火を消し忘れたかもしれない」などと気になって引き返す。こんな経験は誰にでもあるでしょう。
しかし、一度確認をして再び家を出たあと、今度は「確認したとき無意識にかぎを開けてしまった... 続きを読む

女性に多い大腸がん-初期症状と診断の仕方・治療のいろいろ

大腸がんはがんの中では比較的治しやすい部類に入るがん。初期の頃に発見し、手術を受けると、100%近く完治が可能です。そのため、早期発見が重要。次のような症状があったら、医師の診察を受けましょう。 血便・下血
血便と下血は、大腸がんの代... 続きを読む

【医者が教える】高齢者の在宅医療‐初めての訪問医療と費用のこと

このシリーズでは、在宅医療について詳しく知っていただくために、毎回具体的な事例(ケース)を紹介しながら解説しています。第1回目は、ご家族が患者さん本人の希望を適えようと、不安を抱えながらも「在宅医療」を選択したケースを紹介しました(「Dr... 続きを読む

ふくらはぎマッサージのやり方

まず、イスで行う基本のふくらはぎマッサージを覚えましょう。 一日1~2 分間でも、続ければ体が変わります。 仕事の合間など習慣にしやすいタイミングを見つけて歯磨きのように「当たり前のこと」にしましょう。 ... 続きを読む

岩盤浴にプラス!下半身・ウエストに効くヨガのポーズ

座った姿勢からスタート 寝ているだけではもの足りない人は、座った姿勢から始める簡単なポーズもやってみましょう。こちらも上から順番にやっても、気になる部位に効くポーズだけでもOK。
下半身に効く
... 続きを読む

【ヨガ】生理痛・生理不順・冷えにも!女性におすすめの簡単ヨガポーズ

こんにちは、コラム二ストの愛子です!ヨガのポーズって言うと、なんだかちょっと難しそうと感じられるかもしれませんが、普段の生活にさらっと取り入れられる簡単なポーズもたくさんあります。今回はその代表とも言える合せきのポーズをご紹介します。【... 続きを読む

医者えらびで大事なこと-納得のいく説明と治療をうけるためには

最近、住民を対象にした「主治医の見つけ方」「医師との付き合い方」といった講演会に呼ばれることが多くなりました。そこで感じるのは病気になったら名医に診てもらいたい、名医といわれる人を紹介してほしいと思って講演を聞きに来る方が少なからずいると... 続きを読む

爪の色や形で健康セルフチェック-美しく保つ3つの秘訣

爪のおしゃれというと、以前はマニキュアを塗ることが普通でしたが、今では凝ったペイントを施すことはもちろん、ラインストーンなど立体的なパーツで飾ったり、自分の爪に合わせて合成樹脂で人工爪をつくるなど、多様なネイルアートを楽しめるようになって... 続きを読む