尿路結石は若い女性にもできる!? 予防になる食事と生活習慣

原因は食生活の欧米化にあった!

つくらない、再発させないためには生活習慣の改善が不可欠

結石のできやすい人の多くが生活習慣病予備軍

 尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱(ぼうこう)に運ばれます。そして一定量の尿が膀胱にためられ、膀胱から尿道を通って排出されます。この腎臓、尿管、膀胱、尿道など、尿の通り道を尿路といい、尿路のどこかに石ができる病気が尿路結石です。症状は激痛、血尿、排尿のトラブルなど。

 尿路結石は10人に1人がかかるといわれるほど多い病気で、現在もじわじわと増加中です。なかでも20~40代の多忙な男性に多く、少し前までは男性の病気と考えられていました。しかし、更年期をすぎた女性も尿路結石にかかりやすく、さらに最近は若い女性にも増えています。
 その原因は、肉類や糖質などのとりすぎといった食生活があげられます。つまり、尿路結石は誰もがかかり得る病気、決して他人事ではないのです。

 結石は成分によって数タイプに分かれますが、カルシウム結石が全体の8割以上を占め、尿酸結石が5%程度。どちらも食生活が引き金となって発症する生活習慣病で、結石ができる人の多くが糖尿病、高血圧、高脂血症などの予備軍であるといわれています。

どうして結石ができるのか?

 カルシウム結石のほとんどはシュウ酸カルシウム結石で、尿の中にカルシウムとシュウ酸(ほうれん草などに多く含まれる)が増えすぎて結合し、それが腎臓で結晶化して結石に成長したもの。原因は、肉類や糖質のとりすぎ、カルシウム不足、過度の飲酒などといわれています。

 本来なら、シュウ酸とカルシウムは腸の中で結合し、便として排泄されます。しかし肉類中心の食事を続けていると、肉類に多く含まれる脂肪酸がカルシウムと結合してしまい、結合できず余ったシュウ酸が尿の中へ吸収されます。そこで尿中のカルシウムと結合して結石ができるのです。
 カルシウムが不足した食事が続いた場合も、結合相手であるカルシウムが足りないため腸内にシュウ酸が余り、尿中へ。そこでカルシウムと結合して結石となります。
 また、腎臓にはもともとクエン酸やマグネシウムなど結晶化を阻止する物質が存在しますが、これらが不足することによっても、結石はできやすくなります。

痛まなくても放置は禁物! 腎臓に悪影響が

 尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道など、尿路のどこに位置しているかによって、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。一般に結石は腎臓でできて、大きくなりながら下に向かって移動します。そのため、できたときは腎臓結石でも、尿管に入ると尿管結石というように呼び名が変わります。また、石の移動にともなって痛む場所も移っていきます。

 尿路結石の主な症状は痛みと血尿です。痛みは主に側背部や腰、わき腹に起こります。結石といえば、脂汗が出るほどの激痛と思いがちですが、腎臓結石や膀胱結石では通常痛みはないか、あっても鈍痛程度です。しかし痛まないからといって油断は禁物。結石が長くとどまれば尿の流れが妨げられ、腎臓の機能を悪化させることもあるからです。健診などで結石の疑いを指摘されたら、痛まなくても泌尿器科を受診しましょう。
 また血尿は、肉眼では気づかない、検査しなければわからないものがほとんどですから、定期的に健診を受けることが必要です。また、トイレに行く回数が増えた、残尿感がある、尿が出にくいといった症状がでたときも、早めに受診しましょう。

 治療は、小さいものならできるだけ自然排出を促します。5mm以下で尿の流れが邪魔されていなければ、水をたくさん飲み、石が尿と一緒に自然に排出されるのを待ちます。痛みには鎮痛剤や、けいれんを抑える鎮痙剤(ちんけいざい)などが処方されます。
 痛みがひどい、結石が大きくなる、血尿が続く、腎臓障害が現れたときなどは、外科的治療を行います。といっても開腹手術はほとんど行われなくなっています。最も多いのは体外衝撃波結石破砕術といって、体外から結石に衝撃波を当てて砕き、小さくなった石を尿とともに自然排出させるというもの。一度で砕けないときは数回行います。それでも砕けない場合は、尿道から内視鏡を入れ、鉗子(かんし)で石をはさんで取り出したり、レーザーなどで石を砕いたりします。

日ごろの食事と生活改善で石をつくらない!

 尿路結石は再発しやすい病気ですが、食事など生活習慣の改善で予防と再発防止が可能です。以下のアドバイスを参考に、日ごろの食事や生活を見直しましょう。

1日2リットルの水を飲む
 結石は、1日の尿量が2リットル以上だとできにくく、1リットル以下だとできやすいことがわかっている。2リットル以上の尿量を確保するには、食事以外に毎日2リットルの水を飲むこと。水分の種類は、水や麦茶、ほうじ茶などがおすすめ。シュウ酸を多く含む緑茶や紅茶、糖分の多い清涼飲料水は控え目に。

肉を減らし、魚を増やす
 肉類をとりすぎると、脂肪酸が結石の原因になるだけでなく、たんぱく質も尿酸や尿中のカルシウムを増やし石ができやすくなる。逆に、魚介類に多いEPA(エイコサペンタエン酸)は、カルシウムやシュウ酸が尿中に出るのを減少させ石をつくりにくくする。

主食のドカ食い、夜食の習慣はやめる
 ご飯などの主食や、その他の糖質の食べすぎ、特に短時間の大食いは血中のインスリン濃度を高めて尿中へのカルシウム排出を促進、石をつくりやすくする。夜遅い食事も石をつくりやすいため、できれば寝る4時間前に夕食をすませたい。

カルシウム、クエン酸を含んだ食品をたっぷりとる
 カルシウム、クエン酸、食物繊維は結石を防ぐ働きをするので、これらを豊富に含む食べ物を十分にとる。クエン酸はレモンやミカンなどのかんきつ類に多く、尿中でカルシウムと結合して排泄されやすく、結石を防ぐ。梅干しにも多いが、塩分に注意。

飲みすぎは要注意
 お酒を飲みすぎると尿酸が増え、尿酸結石ができやすくなる。以前はビールをたくさん飲んで石を流すと言われたが、アルコールはシュウ酸も含むうえ、飲みすぎると脱水を招きやすく、尿が濃くなってかえって危険。

(「すこやかファミリー」法研より)

【監修】
堀江重郎氏


帝京大学医学部泌尿器科学講座主任教授
1960年生まれ。東京大学医学部卒業後、国立がんセンター、東京大学講師、杏林大学助教授などを経て現職。医学博士。日本泌尿器科学会指導医。泌尿器悪性腫瘍手術、泌尿器腎疾患、尿路結石の診療に携わっている。帝京大学病院は体外衝撃波(ESWL)の高性能機を備え、また尿管内視鏡による内視鏡下レーザー砕石も行い、症例数および成功率で東京のトップクラスに位置している。また結石外来では再発予防プログラムも実施している。
帝京大学医学部附属病院泌尿器科 http://www.teikyo-urology.jp/

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