性感染症の症状-クラミジア・淋病・性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・エイズ

主な感染症を知って、確実な予防と対策を

女性のクラミジア感染症がたいへん増えています。また、耐性菌による治りにくい淋病も増加中です

感染に気づかない人によって広がる性感染症

 性感染症は90年代以降急速に広まり、とくに若い世代では、誰もが感染する可能性のある身近な病気になっています。しかし、多くの人は性感染症についてあまりよく知りません。どんな症状が現れる病気なのかを知っていれば、感染したときに気づくことができますが、知らなければ、よほどひどい症状が出ないかぎり病院にも行かず、感染を広げてしまうことになります。
 とくに女性の場合、感染に気づかず病状を悪化させてしまうと、不妊につながる後遺症を残したり、出産時に赤ちゃんに感染させてしまうなど深刻な影響があるため、性感染症について正しい知識を身につけることが重要です。

 ここでは、近年患者数が増加し、法律によって発生動向調査が義務づけられている性器クラミジア感染症(以下、クラミジア感染症)、淋菌感染症(以下、淋病)、性器ヘルペス、尖圭コンジローマの4疾患と、エイズについて紹介します。

エイズへの感染の危険が高まるクラミジア感染症

 クラミジア・トラコマチスという病原体による性感染症で、若い女性に感染者が多く、最近は15~19歳の若年層にも増えています。病原体は精液、膣分泌液のほか、血液や唾液、直腸、尿にも生息しているため、オーラルセックスやアナルセックス、ディープキスでも感染します。オーラルセックスでは性器からのどへ、のどから性器に感染し、病原体がついた手で目をこすれば、結膜炎を起こします。また、出産時に赤ちゃんが感染すると、結膜炎や肺炎になる可能性があります。予防にはコンドームが有効です。

<症状と留意点>
 自覚症状はほとんどない。女性ではおりものの増加や軽い下腹部痛などがあるが、気づかない人も多い。進行すると、子宮、卵管、骨盤内と体の奥へと感染が広がり、不妊の原因になったり、激痛を伴う腹膜炎などを起こす。
 男性では排尿困難や排尿時の痛みといった尿道炎が起こるが、数日で消えてしまう。進行すると精子を作れなくなることも。男女ともにエイズウイルスに感染する確率が3~4倍高まると言われる。
 軽いうちなら薬を1回飲むだけで治る。完治して病原体が消えるまでセックスは厳禁。

感染力が強く治りにくい淋病

 淋菌の感染によって起こります。淋菌はのど、直腸、尿にも生息するため、口や肛門を用いる性行為も危険です。また、淋菌がついた手で目をこすると、結膜炎や角膜炎になることもあります。出産時に赤ちゃんが感染すると、失明することもあります。女性にはあまり自覚症状が出ないため、気がつかないまま感染が広がる傾向にあります。

<症状と留意点>
 女性はおりものの増加や性器のかゆみなどが起こるが、症状が軽くて気づかない場合が多い。子宮、卵管に感染が進むと、骨盤内感染や流産、不妊の原因にも。
 男性は初め尿道のかゆみや熱っぽさが起こり、やがて膿が出て、排尿時に激しい痛みを感じる。放置すると前立腺炎や副睾丸炎を起こし、排尿しづらくなったり、不妊の原因にもなる。
 抗生物質が効きにくい耐性菌が増えている。症状がなくなっても医師の許可が出るまで治療を続け、治療終了後必ず確認の検査を。それまでセックスは厳禁。

再発しやすい性器ヘルペス

 単純ヘルペスウイルスによる感染症。1型、2型のウイルスがあり、これまで1型は口唇ヘルペス、2型は性器ヘルペスとして発症するとされていましたが、最近では1型、2型に関係なく性器ヘルペスが起こることがわかっています。通常のセックスのほか、オーラルセックス、ウイルスがついた手で粘膜にふれることでも感染します。また、出産時赤ちゃんに感染すると、ヘルペス脳炎になることもあるため、帝王切開などで感染させない方法をとります。
 一度感染すると、治ったあともウイルスが神経節に潜伏し、過労やストレスなどで免疫力が低下したときに再発をくり返します。

<症状と留意点>
 性器に小さな水泡ができて初めかゆみを感じ、水疱が破れると潰瘍になり、歩行が困難なほど激しく痛む。再発の場合、多くは症状が軽い。
 水疱や潰瘍があるときは、感染の危険があるため、セックスやキスは避ける。

子宮頸がんに進展しやすい尖圭コンジローマ

 ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)が原因の性感染症で、性器に先のとがったイボができるのが特徴です。イボが皮膚や粘膜にふれたり、精液から粘膜感染したりします。出産の際の母子感染もあります。感染から発症まで約3カ月と長いため、セックスとの関連に気づかないことも多いようです。

<症状と留意点>
 肛門や性器のまわり、女性では膣内までイボができることがある。白色やピンク色の先のとがったイボができ、増えるとカリフラワーのようなかたまりになることもあり、かゆみや不快感がある。
 イボをとった後もウイルスが残っていて再発することがあるので、根気よく治療する必要がある。完治するまでセックスは避ける。子宮頸がんや陰茎がんに進展しやすいのが最大の問題。1度かかった人は定期的にがん検診を。

異性間での感染も多いと思われるエイズ

 エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によって起こります。感染経路はセックス、血液、母子感染の主に3つで、感染から発症まで10年程度の潜伏期間があるため、その間に感染を広げる危険があります。
 厚生労働省の統計によると、同性間のセックスによる感染が約65%と高率ですが、これは同性愛者の検査率が高いために数字が表面化しているだけで、実際には異性間のセックスによる感染のほうが多いと推測されています。
 最近では新しい薬の開発により、発症を遅らせることができるようになりましたが、エイズを完治させる治療法はまだ確立されていません。

<症状と留意点>
 感染して数週間後にインフルエンザに似た症状がでることもあるが、その後10年以上の自覚症状のない潜伏期間ののち、免疫機能が徐々に破壊されていく。治療しないで放置していると、健康時には起こらないカポジ肉腫のような皮膚がんやカリニ肺炎など、エイズ特有の病気を続発し、死に至る。
 コンドームの使用が最も有効な予防策。血液がつく可能性のあるカミソリや歯ブラシ、タオルの共用も避ける。

 以上、あまり症状が出ない性感染症もありますが、いつもと違うおりもの、出血、かゆみなどが現れた場合は、早めに診察を受けましょう。早期に治療をすれば、感染の広がりを防ぐことができ、将来の妊娠出産のさまたげになるような後遺症を残すことも少なくなります。

(「へるすあっぷ21」法研より)

【監修】
丸本百合子先生


百合レディスクリニック院長
産婦人科医師。医学博士。東京大学医学部附属病院分院、同愛記念病院勤務を経て、百合レディスクリニック院長。講演や著作活動も行う。女性が自分の性とからだのことを自分自身で選択するためのテーマで、講演や著作活動を行っている。著書に、『からだを感じよう』(クレヨンハウス)、『更年期を美しく、らくに過ごす』(女子栄養大学出版部)、『女の子のこころとからだ』(ゆうエージェンシー)など多数。

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