片頭痛のしくみ-引き金が分かれば予防できる? 危険な頭痛の症状

女性に多い頭痛もち。引き金を見つけて予防しましょう

頭を動かさず、静かな暗い部屋で寝る。つらい場合は我慢せずに専門医に相談を

片頭痛が起こるしくみ

 「ああ、また来た」と思えるくらい、慢性的に片頭痛に悩まされている人は、とくに20~40代の女性に多いそうです。頭痛が起これば、薬を飲んでしばらくは安静にしていなければなりません。

 片頭痛の典型的な症状は、1.頭の片側がズキンズキンと強く痛み、2.痛みが数時間~3日程度続く。また、3.吐き気がして(実際に吐くことも多い)、4.光や音を不快に感じる、というものです。痛む部分が後頭部だったり、頭の両側だったり、痛み方がズキンズキンという脈打つようなものではなく、持続性の痛みの場合もありますが、頭を動かしたときに痛みがひどくなるようなら、片頭痛だと考えられます。
 そして、頭痛が起こる前に、生あくびが出たり、視野の一部がチカチカ光って欠けるなどの前ぶれ症状がある人も多いようです。

 片頭痛の強い痛みは、脳の血管が拡張することで起こります。普段、脳の血管は、セロトニンという神経伝達物質の働きによって、血流が一定の状態で安定しているのですが、そこに、なんらかの原因でセロトニンが大量に放出されると、脳の血管は収縮します。やがて、セロトニンが減少すると、これまでの反動で血管が急に拡張します。

 脳の血管には三叉神経(さんさしんけい)が、からみつくように走っています。三叉神経は、血管の拡張による刺激を受けると、「痛み伝達物質」を血中に放出します。この物質には、痛みを起こすとともに血管を拡張させる作用もあるため、両方の作用によってさらに血管が拡張し、激しい頭痛が起こります。

痛みが起こる引き金を見つけて頭痛を予防

 片頭痛が起こる引き金になりやすい原因は下記のようにさまざまですが、何が引き金になるかは人によって違います。

●ストレスからの解放(週末や寝すぎた後)
●女性ホルモンの変動(月経の前後。とくに月経前に起こりやすい)
●睡眠不足
●雑踏
●強い光や音、におい
●低気圧の接近など、気圧の変化
●チョコレート、ココア、赤ワイン、熟成チーズ、かんきつ類などの摂取
●暑さ、日光、乾燥など

 どれか心当たりはあったでしょうか。自分の頭痛の引き金になるものがわかれば、それをできるだけ避けることで片頭痛をある程度予防することができます。頭痛が起こるたびに、どんなときに頭痛が起こったのかメモしておくと、頭痛の引き金がわかるだけでなく、病院を受診するときにも役立ちます。

自分に合った対処法を見つけよう

 片頭痛が起きたとき、自分でできる対処法には次のようなものがあります。どんなことをすれば痛みがやわらぐか試してみて、自分に合う方法を見つけましょう。

●暗い静かな部屋で横になって数時間眠る(寝すぎるのもよくないので注意)
●痛む部位を冷却剤などで冷やす
●痛む部位にはち巻きなどをして適度に圧迫する
●1~2杯のコーヒー、紅茶、緑茶など、血管を収縮させる働きのあるカフェインをとる(飲みすぎは逆効果)
●吐き気や嘔吐が強いときは、座薬の吐き気止めを使う

 市販の頭痛薬を使う場合は「使用上の注意」を守り、適切に服用しましょう。予防のためと、痛みがなくても日常的に薬を飲んでいると、逆に頭痛薬が頭痛の引き金になってしまうこともあります。

 いまは片頭痛に効果的な薬が開発されています。市販の頭痛薬が手放せないという方は、頭痛外来や神経内科で相談してみるとよいでしょう。
 病院では多くの場合、トリプタン系製剤(スマトリプタンなど)が処方されますが、月に数回以上片頭痛が起こる場合は、継続的に飲むことで頭痛を抑制できる予防薬(カルシウム拮抗薬、β遮断薬、抗うつ剤など)の服用も検討されます。

こんな頭痛は危険!! すぐに受診を

 片頭痛以外にもよく見られる慢性頭痛に緊張型頭痛がありますが、この頭痛と片頭痛では対処法や治療が異なります。緊張型頭痛は、首から頭にかけての筋肉が緊張し、頭全体がギューッと締めつけられるように痛むもので、長時間同じ姿勢を続ける作業や目の酷使、ストレスなどが原因で起こります。

 緊張型頭痛は軽い運動や入浴などで血行を良くすることで痛みがやわらぎますが、片頭痛の人が同じことをするのは逆効果。かえって症状をひどくしてしまいます。自分の頭痛のタイプはきちんと把握しておく必要があります。

 また頭痛のなかには、脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)、髄膜炎、硬膜下血腫など、命にかかわる重大な病気が原因で起こるものもあります。次のような症状が現れたときは、すぐに病院を受診するようにしましょう。

(1)急に痛み出した
(2)経験したことがない激しい痛みである
(3)発熱、手足が動かしにくい、うまく話せないなど、頭痛以外の症状を伴う
(4)症状がどんどんひどくなる
(5)3日以上続く


(「健康のひろば」法研より)

【監修】
鈴木則宏先生


慶應義塾大学医学部神経内科教授
1981年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程(内科学専攻)修了。1989年スウェーデン・ルンド大学大学院医学研究科(神経科学)修了。水戸赤十字病院副院長、北里大学医学部内科学助教授などを経て、2002年より現職。専門は脳血管障害、慢性頭痛、認知症。医学博士。日本神経学会専門医、日本内科学会認定内科専門医、日本脳卒中学会専門医など。著書に『講義録 神経学』(メジカルビュ-社)など。

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