増え続けるエイズ患者・HIV感染者-検査は無料・正しく予防を

12月1日は「世界エイズデー」。身近な問題として関心を

症状があらわれる前の治療開始で健康生活は可能。そのためには正確な検査で早期発見が重要です

HIV感染者数がまた過去最高に

 厚生労働省のエイズ動向委員会は四半期(3カ月)ごとに、新しく報告されたHIV(エイズウイルス)感染者・エイズ患者数をまとめており、このほど、平成19年第3四半期(7月2日~9月30日)の新しいHIV感染者数が274人と過去最高になったことを明らかにしました。また、エイズ患者数の新たな報告は114人で、こちらは過去2番目に多い数となっています。これらの感染者・患者の90%以上が男性で、そのうち同性間性的接触による感染が約70%を占めています。

   このように、HIV感染者・エイズ患者の数が増え続けていることを受け同委員会は、HIV・エイズについての理解を深め、身近な問題として予防に努めるべき、と警告しています。

心当たりがあったら検査を受けよう

 エイズの原因になるHIVは、正確には「ヒト免疫不全ウイルス」といいます。HIVに感染すると、私たちの体に備わっている病気に対する抵抗力(免疫機能)が少しずつ壊されていきます。そうすると、さまざまな感染症にかかりやすくなり、ふだん健康なときには免疫の働きで抑えられていた細菌やカビなどによる日和見(ひよりみ)感染症や悪性の腫瘍(しゅよう)などの症状があらわれるのです。

 HIVは人間の血液や精液、膣(ちつ)分泌液などの中にいます。これが、尿道、膣、直腸、口の中などの粘膜や傷口から体内に入り込んで感染するのですが、感染の機会の8割以上は性的接触です。このほかに、薬物濫用による注射針の使い回しや出産、授乳時に母から子への母子感染などでも感染する可能性があります。

 HIVに感染しても、すぐにエイズの症状があらわれるわけではありません。数週間後に、発熱、頭痛、のどや関節の痛み、リンパ腺の腫(は)れなどインフルエンザに似た症状が出る場合があります。しかしそれが、HIVによるものだとは気づかないことのほうが多いようで、ほとんどの人は症状を自覚しないまま数年から長い場合は10年以上という潜伏期間に入り、この間に免疫機能が少しずつ低下していくのです。

 HIVに感染しても、早めに発症予防の治療を開始すれば、健康に暮らすことは不可能ではありません。治療法や治療薬の研究が進み、症状があらわれる前(無症候期)に治療を始めればかなりの効果がみられるようになっています。このためには、きちんと検査を受けて早期発見に努めることが重要です。

   HIV検査は全国の保健所などで無料・匿名で受けることができます。結果がわかるまでに通常検査では1~2週間かかりますが、その日のうちに結果がわかる即日検査を受けられる保健所も増えてきていますので、検査を受ける場合は、保健所等にご相談下さい。また、“HIV検査・相談マップ”(http://www.hivkensa.com)等のホームページでも最新の検査情報が得られます。

正しい知識で予防しよう

 感染の予防には、(1)必ずコンドームを使う(2)不特定多数の人とセックスをしない――などが大切な原則です。と同時に正しい知識を身につけることも必要です。エイズの怖さが強調されるあまり、性的接触以外のことでも感染しやすいのではないか、と誤った情報が口伝えなどで広がることがあります。次に紹介するようなことで感染する危険は、まずありません。

●こんなことでHIVが感染することはありません
洋式トイレの共用/学校や電車、バスなどで隣に座る/衣類やシーツの共用/蚊(か)や虫に刺される/犬や猫などのペットと共存/せき、くしゃみ/体に触れる、握手をする/食器を一緒に使う/プールやお風呂に一緒に入る/携帯電話や公衆電話を使う/汗、涙、唾液がつく/タオルやブラシの共用/本、DVD、CDなどの共用/軽いキス

(『正しい知識でエイズを予防しよう! 明日の自分のために読む本』今井光信監修、法研より)

【監修】
今井 光信先生


神奈川県衛生研究所所長
東京教育大学(現筑波大学)を卒業後、北里研究所、自治医科大学でB型肝炎ウイルス、神奈川県衛生研究所ではHIVに関する研究に主として携わる。厚生労働省の研究班“HIV検査相談機会の拡大と質的充実に関する研究”の主任研究者として、HIV検査相談のガイドラインや事例集の作成やホームページ“HIV検査相談マップ”による検査情報の提供等に努めている。

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