ウイルス性肝炎検査のすすめ-もっともがんリスクが高いのはC型

日本ではほとんどがウイルス性、心配なのはC型

わかりにくいC型肝炎の自覚症状。国の緊急措置で検査無料化へ、この機会に調べておこう

原因で最も多いのはウイルス。主なものには3種類

 大事な物事を「肝心かなめ」などと言うくらい、肝臓は私たちにとってなじみの深い臓器ですね。では、その肝臓の働きを狂わす原因について、本当のところを一体どれくらいの人たちが知っているでしょう。誰もがまず思いつくのは「お酒」とか「あぶらっこい食事」といったところではないでしょか。そう、どちらも確かに肝臓病の原因にはなります。けれども、日本で最も多い肝臓病は実は、ウイルスの感染で肝細胞が炎症をおこすウイルス性肝炎なのです。日本人の肝臓病の約80%を占めるといわれます。

   肝炎を引きおこすウイルスは現在のところ、A・B・C・D・E型が主な種類として知られています。このうち日本では、A、B、Cの3つの型でウイルス性肝炎の90%を占めています。D型肝炎ウイルスは、現在のところ日本ではほとんどみられない型です。E型肝炎ウイルスも日本ではほとんどいないといわれていましたが、最近、生の鹿肉や豚レバーを食べて感染したという例が国内で発生し、少しずつ増えているとみられています。

生の水や魚介類から感染するA型、最近は性交渉で広がるB型

 日本で多い3つの肝炎ウイルスのうち、A型肝炎ウイルスによる肝炎は慢性化しません。多くの場合、生水や生の魚介類を口にすることで感染し、2~6週間の潜伏期間の後に急性肝炎をおこします。衛生環境がよくなかった時代には日本でも流行することがありましたが、最近はアジアやアフリカなど海外旅行での感染が目立ちます。

   B型肝炎ウイルスは、ウイルス保持者(キャリア)の血液中にいて、血液や体液を経由して感染します。母親から赤ちゃんに感染する母子感染、輸血、性交渉などが感染ルートとして考えられています。このうち、出産時にキャリアの母親の産道を通るときに赤ちゃんが感染する母子感染は、妊娠健診のときに必ず血液検査をするようになってからはほとんどなくなりました。同様に輸血に使われる血液も厳しく検査されるので、輸血による感染も心配なくなっています。

   現在、新たな感染で問題になっているのは性交渉によるものです。主に欧米から持ち込まれて性交渉で広がった新しいタイプのB型肝炎です。成人後にB型肝炎ウイルスに感染しても、以前は慢性化することはほとんどなかったのですが、新しいタイプでは慢性化することがあります。

主に輸血から感染し、がんのリスクが最も高いC型

 C型肝炎もB型肝炎と同様に血液から感染します。C型肝炎ウイルスはB型ほど感染力が強くないため、母子感染や性交渉による感染は少なく、主な感染ルートは輸血です。また、感染したとしてもなかなか自覚症状があらわれないため、感染に気づかないことがほとんどで、知らないうちに慢性化し、肝硬変から肝臓がんへと進展しやすいことが問題視されています。日本人の肝臓がんの70%以上はC型肝炎が原因とされています。

 C型肝炎ウイルスが発見されたのは1986年で、ウイルスが特定できてからもそれほど年月がたっているわけではありません。そのため、自分がC型肝炎にかかっていることに気づかない人が日本には100万人もいるといわれます。心配な場合は保健所などの検査で確かめることができます。保健所では検査費用は無料ですが、医療機関では無料は一部の自治体に限られています。厚生労働省では、C型肝炎の薬害裁判に和解の動きがあることを受け、検査費用を来年初めから1年程度の期間、年齢を問わずすべて無料にする方針を決め、実施に向けて調整を進めています。

(『健診そのあとに 肝機能を自分で改善』栗原 毅著、法研より)  

【監修】
栗原 毅先生


東京女子医科大学内科教授
戸塚ロイヤルクリニック所長
医学博士。専門は肝臓病学。1992年からC型慢性肝炎に対してインターフェロン治療を先駆けて行い、治療実績は国内有数。主な著書に『インターフェロンで治すC型肝炎の「新」常識』、『血液サラサラ生活のすすめ』、『C型肝炎 わかって治す 最新インターフェロン療法』(以上、小学館)などがある。

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