関節リウマチの初期症状に注意! 早めの治療が大切な理由

気づきのきっかけは朝の手指のこわばりや長く続く倦怠感

30~60歳代の女性に多い原因不明の関節炎は、早期診断・早期治療が決め手

関節が破壊されていく

 人間の骨格は関節でつながっています。その数は全部で68個。脊椎(せきつい)のようにあまり動かない関節もありますが、膝(ひざ)関節や手足のように大きく動かせる関節が、私たちの体の自由な動きを支えています。この関節に原因不明の炎症がおこり、痛みや腫(は)れがあらわれ、炎症が進行するとやがては骨が破壊される病気が関節リウマチです。

 関節のしくみをもう少し詳しく説明しましょう。関節は骨と骨のつなぎ目です。つなぎ目といっても骨同士が直接くっついているわけではありません。骨の先端は弾力性のある軟骨で、向かい合う軟骨との間にわずかなすき間があいています。このすき間を、自動車のエンジンでいえば潤滑油のような役割をする関節液が満たし、関節をなめらかに動かしたり衝撃を和らげる働きをしています。関節全体は関節包という「袋」で覆われており、その内側にある滑膜(かつまく)という部分が関節液を分泌しています。この滑膜に炎症がおこると、滑膜が増殖して軟骨や骨を侵食し破壊していくのです。

 初めに炎症がおこる原因は不明とは述べましたが、自己免疫疾患の一つであることはわかってきています。通常であれば、体の外から侵入してくるウイルスなどの外敵を攻撃して体を守る仕組みが免疫なのですが、自己免疫疾患では自分の組織(関節リウマチの場合は、自分自身の滑膜)を外敵とみなして攻撃するために炎症がおこるのです。どうして自分の組織を攻撃してしまうのか、そのきっかけが何であるのかというところがまだ解明されていません。

女性に多く、好発年齢は30~60歳代

 関節リウマチの患者は全国で約70万人と推計され、なぜか男性より女性に4~5倍も多く発症しています。しかも好発年齢は30~60歳代という家庭でも職場でも働き盛りの年齢層であるところが、患者にも家族にも関節の痛みとともにつらい病気となっています。

 関節リウマチの初期にみられる特徴的な症状は、「朝の手指のこわばり」です。目覚めたときに、両手指の関節がこわばって動かしにくく、それが1時間以上続きます。やがて痛みや腫れもみられるようになり、徐々にほかの関節にも及んでいきます。疲労感、微熱、食欲不振、体重減少などの全身症状を伴うこともあります。少しでも気になるなら早めに医師に相談すべきです。

 炎症がおこりやすい関節を上からみていくと、首、肩、ひじ、手首、手指、股関節、膝、足首、足指などです。しかも多くの場合、左右両方に炎症がおこるのが特徴的で、腫れてうずくような痛み(疼痛)があります。炎症が続くと滑膜が増殖し、軟骨や骨の組織を破壊していきます。骨の破壊が進むと関節の変形や機能障害がおこります。

 このような経過をたどる関節リウマチなので、治療では痛みを取り除き、骨の破壊を抑え、関節の変形や機能障害がおこらないようにすることが目的となります。先に、関節リウマチが少しでも疑われるのであれば早めに医師に相談すべきと述べたのは、研究の進歩によって治療法が以前と大きく変わり、発症の早いうちに炎症を抑えることが重要であるとされるようになったからです。

この10年で劇的に変わった治療法

 以前は関節破壊はゆっくり進むと考えられ、安静を保って様子を見ながら、症状が進むようであれば作用の弱い抗リウマチ薬から使い始め、少しずつ強い抗リウマチ薬へと段階を上げていきました。しかしその後の研究で、関節破壊は発症してから2年くらいのうちに進むことがわかってきたため、この10年くらいの間に治療法は劇的といってもいいほどの変化を遂げました。つまり、以前の段階を上げていく治療法とは反対に、初期のうちからしっかり抗リウマチ薬を使って関節の破壊を抑えていく治療法に変わったのです。

 さらに最近、バイオテクノロジーの技術を使った新しい薬(生物学的製剤)が開発されました。この薬は、従来の薬では効かなかったタイプの関節リウマチにも非常によく効き、保険適用にもなっているので、効果的な治療法がなくて苦しんでいた多くの患者を救っています。

 滑膜の炎症が進んで関節が破壊され、機能障害のある場合は、人工関節に置き換えたり、炎症によって切断されてしまった腱(けん)を修復するなどの手術が行われます。しかし、このようなことになる前に早く治療に着手すれば、その進行をかなり抑えることができるようになりました。このため、今や関節リウマチは、早く診断し治療を始める重要性が強調されるようになっているのです。

【監修】
原 まさ子先生


東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター教授

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