歌いすぎは「カラオケポリープ」に注意! 声帯を傷めない歌い方

無理な音域の曲、熱唱は声帯にかなりの負担がかかる

人の歌も聞いて楽しんで。のどを休ませて「カラオケポリープ」を予防しよう。

声帯にポリープができ、しわがれ声に

 カラオケといえば、かつてはサラリーマンが接待で利用することが多かったものですが、気軽に入れるカラオケボックスが増えたこともあり、今や小学生から高齢の方まで、年齢や職業に関係なく、多くの人がカラオケを楽しんでいます。こうしてカラオケが身近なものになる一方で、カラオケが原因のポリープが増え、問題になっています。無理な発声によって声帯を傷め、しわがれ声になってしまうのです。

 声は、声帯というのどの奥にある2本の帯が振動し、触れ合うことによって発声しています。声帯の振動回数は、普通の会話でも男性で毎秒100回以上、女性で200回以上もありますが、歌うときはこれが大幅に増えるため、声帯の粘膜に負担がかかってポリープができやすくなります。こうして、カラオケが原因でできるのが「カラオケポリープ」です。

 ポリープには、大声を出したときなどに声帯粘膜が傷ついて炎症や内出血をおこしているタイプと、声帯粘膜が長期にわたって過剰にこすれ、ペンダコのような硬いものができる声帯結節があります。

 こうしたポリープができると、声がしわがれる、のどがイガイガしてスッキリしない、声を出しにくくなる、高音や裏声が出ないといった症状がおこります。こういう症状に悩むカラオケポリープの患者が増えているのです。原因は曲の選び方や歌い方にもあります。

無理のない音域で歌い、マイクを独占しない

 以前は、カラオケの定番といえば演歌でした。独特の節回しで、お酒を飲まなくても歌詞に酔っている人が少なくなかったものです。
 これに対して、最近流行している曲は、メロディーやリズム優先で、高音域の曲が多いようです。歌手の歌声だけを聞いていると、実際は男性歌手なのに、女性が歌っているものと思い込んでしまうほどキーが高いのです。そういう曲が、カラオケでも人気があるようです。

 しかし、自分の声帯の能力を超えて無理に高い音を出すと、声帯は周囲の筋肉に引っ張られて過度の負担がかかり、ポリープができやすくなります。これは高音だけに限らず、無理して低い声で歌うときも同じです。要するに、無理な音域の声で歌ったり熱唱すると、声帯を傷めてしまうのです。

 好きな曲を歌うのは楽しいものですが、もし、音域に無理があるのなら、自分の音域に合わせてキーを調節するとよいでしょう。また、大声で熱唱するのではなく、ほどほどの声量で歌うと、自分も、周りの人も心地よく感じます。
 「マイクをつかんだら放さない」というのもNG! 1曲歌ったら、最低10分はのどを休め、ほかの人の歌声に耳を傾けましょう。

お酒は適量、タバコを控え、かぜぎみのときはのどを休める

 声帯を傷める原因は、無理な発声や歌いすぎだけではありません。声帯の粘膜が乾燥すると、ポリープができやすくなります。
 歌った後は声帯が乾燥しやすいものですが、タバコを吸っていると、なおさら乾燥させてしまいます。タバコは控えましょう。

 お酒は、適量なら声帯の動きを滑らかにしますが、飲みすぎや、アルコール度の高いお酒は、声帯を刺激して内出血を招きやすくなります。ほどほどにとどめてください。

 また、疲れているときやかぜぎみのときは、のどのコンディションもよくありません。そういうときは、体を休めると同時に、のども安静を保つことが大事です。無理に声を出したり歌ったりしないことです。

 なお、カラオケポリープは、初期であれば、声帯を休めて安静を保つことで自然に治ることもありますが、ひどくなると、ポリープの切除手術が必要になる場合もあります。もし、症状が数日間続くようであれば、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

 また、カラオケポリープと症状がほとんど同じなのが喉頭がんです。早期に発見できれば治る可能性が高いので、とくに喉頭がんになりやすいヘビースモーカーの中高年男性は、このことを忘れず早めに受診してください。

(「すこやかファミリー」法研より)

【監修】
福田 宏之先生


国際医療福祉大学東京ボイスセンター教授
慶応義塾大学医学部客員教授
昭和40年に慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科に入局以来、一貫して喉頭の基礎及び臨床研究に従事してきた。2年間のエール大学留学を経て音声、喉頭関係の学会の中心となる。カラオケポリープの命名者であるようにポリープなどを切除する喉頭微細手術の第一人者である。また日本において初めてボイスセンターを創設し、喉頭・音声障害のメッカとなっている。TVや雑誌等のメディアを通して一般的にも知られている。

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