インフルエンザ予防は早めが肝心-感染させない4つのポイント

ワクチン接種とかぜにも効く予防の原則、「新型」への備えも

新型インフルエンザが流行したら外出しない。2週間分の備蓄と家族での話し合い、情報収集を

ワクチンの接種は11月中にすませたい

 気温が低く空気が乾燥する冬は、インフルエンザが流行します。インフルエンザは、かぜと違い、急な発熱と強い全身症状が特徴です。抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすく、命を落とすこともあります。油断すると、健康な人でも体力が低下して回復に時間がかかるだけに、インフルエンザの予防と、かかっても重症化しないための備えが必要です。

 一番の予防策は、流行前にインフルエンザワクチンを接種して、ウイルスに対する免疫力を備えておくことです。ワクチンを接種しても、接種時期やウイルスの型の適合性、加齢による免疫力の低下などの理由で、絶対にインフルエンザにかからないとはいえません。しかし、ワクチンを接種しておけば、かかってしまっても症状を軽くすませ、合併症を引きおこさないなど、確実に重症化を防ぐことができます。

 ワクチンの効果があらわれ始めるのは、接種してからおよそ2週間後。さらに免疫の効果がピークに達するのは4週間後で、効果は5カ月間持続するといわれています。一方、インフルエンザが流行するのは、毎年12月下旬から3月下旬で、ピークは2月です。こうしたことを考えると、ワクチン接種は11月中にすませておくのが好ましいといえます。

 とくに、かかると重症化しやすい高齢者や乳幼児、集団生活を送る子どもは、ワクチンを接種したほうがよいでしょう。また、年齢に関係なく、慢性の基礎疾患(呼吸器疾患、循環器疾患、腎不全など)のある人は、主治医と相談のうえ、受けたほうがよいでしょう。受験生とその家族も、受けておくほうが賢明です。

 一方、ワクチン接種に注意が必要な人、避けたほうがよい人もいます。発熱している人、重篤(じゅうとく)な急性疾患にかかっている人、ワクチンによってアナフィラキシーショックをおこしたことがある人は、ワクチンを接種してはいけません。また、妊娠初期の女性は接種を避けたほうがよいとされています。
 ワクチン接種を希望する場合は、主治医とよく相談してください。

マスク・うがい・手洗い+生活習慣で感染を防ごう

 ワクチン接種に加え、次のような生活上の注意が予防効果を高めます。これらは通常のかぜの予防法とほぼ同じですので、ふだんから心がけて実行するとよいでしょう。

(1)外出時はマスクを着用
 マスクをつけると、ウイルスからのどを守ることができるだけでなく、吸い込む空気に適度の温度と湿度が与えられるので、気道粘膜を保護することができる。

(2)外出から帰ったら手洗いとうがい
 手についたウイルスを洗い流すため、石けんや液体ハンドソープを使って指と指の間、手首まで念入りに洗い、15秒以上流水で流したあとしっかりふき取る。うがいは、のどの粘膜を清潔に保ち、乾燥を避けることができる。

(3)「せきエチケット」で人にうつさない
 せきやくしゃみをするときは、ハンカチやティッシュペーパーなどで口と鼻を押さえ、ほかの人に飛沫(ひまつ)がかからないように顔をそむけ、1~2m以上離れる。鼻水やたんのついたティッシュペーパーは、すぐにふたつきのゴミ箱に捨てる。せきが出る場合は必ずマスクを。

(4)生活習慣を整えウイルスに負けない抵抗力をつける
 栄養バランスのよい食事を1日3食とり、適度な運動、十分な睡眠、ストレス解消をこころがける。感染のリスクを減らすため、十分な水分摂取と保温、保湿を。

新型インフルエンザへの備えも

 これまで知られているインフルエンザに加え、最近問題になっているのが「新型インフルエンザ」の発生です。鳥インフルエンザの人への感染が報告され、このウイルスが変異して新型インフルエンザが発生し、世界中に大流行する恐れが指摘されているのです。もしそうなれば、わが国でも4人に1人が感染し、最悪で64万人以上が亡くなるのではないかと予測されています。

 どんなウイルスが流行するかは、実際に新型インフルエンザが発生してみないとわかりませんが、わが国では、鳥インフルエンザから新型が生まれると想定して予防ワクチンと治療薬が備蓄されています。しかし、すべての国民にいきわたる量が確保されているわけではありません。

 そのため新型インフルエンザが流行した場合、今現在考えられる最も確実な対策は、流行が収まるまで自宅から出ないこと。外出しなくてもすむように最低2週間分の食料や日用品を備蓄しておきましょう。とくにインフルエンザ対策として、マスク、水枕・氷枕、ゴム手袋、ビニール袋・ラップ、消毒用アルコール、漂白剤などが必要です。
 家族が感染した場合を想定し、学校、職場など必要な連絡先、家事分担や介護の仕方などをあらかじめ話し合っておくことも大切です。

 もし新型インフルエンザの流行が始まったら、冷静に情報を収集して、落ち着いて行動しましょう。人込みや流行地への外出は避け、発熱やせき、全身の痛みなどインフルエンザと思われる症状が出たら、まず保健所に連絡し、自治体などが指定する病院を受診してください。流行の状況によって対応の仕方が異なってくるため、自治体や保健所からの情報を随時チェックするようにしてください。


■ インフルエンザ情報入手先
厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/
国立感染症研究所感染症情報センターホームページ http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
 

(『インフルエンザ 緊急対策~新型インフルエンザへの備え』小林 治監修、法研より)

【監修】
小林 治先生


杏林大学医学部総合医療学講師
平成2年杏林大学医学部卒業。平成10年杏林大学大学院医学研究課程修了。平成11年コペンハーゲン大学附属王立病院臨床微生物学教室留学。杏林大学第一内科助手、杏林大学医学部感染症学講師を経て現職。細菌biofilm感染症、ウイルス感染症に伴う呼吸不全とその制御を専門とする。実地医療では、呼吸器疾患、HIV感染症を中心に診療を行う一方で、院内感染制御業務を行っている。著書に『インフルエンザ 緊急対策~新型インフルエンザへの備え』(法研)など。

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