HIV検査と予防法を知ってる? 匿名・無料で受けられる検査とは

12月1日は世界エイズデー。正しい知識をもって予防を

先進国ではHIV感染者が減少傾向にある中、日本では増え続けている。予防と早期治療のためには検査が必要

日本ではHIV感染者、エイズ患者ともに増加している

 厚生労働省は、2007年に国内で新しく確認されたHIV(ヒト免疫不全ウイルスの略語で、エイズの原因となるウイルス)の感染者が1082人、エイズを発症した人は418人、合わせて1500人にのぼったと発表しました。HIV感染者・エイズ患者ともに増え続けており、合計で前年より142件の増加となっています。

 また、国内のHIV感染者の89.6%が日本人で、そのうちの92.3%が国内感染、つまり、日本人が国内で感染する例が増えていることが明らかになりました。感染経路でみると、男性では同性間の性的接触が急増し、女性では異性間の性的接触が多くなっています。日本人の異性間性的接触による感染者は、低年齢層で女性の比率が高い傾向にあり、20代前半で45.6%、10代後半では69.2%と女性のほうが多くなっています。

 主な先進国では新規のHIV感染者は横ばい、または減少傾向がみられる中、なぜ日本では増え続けているのでしょうか。米国やヨーロッパでは、若者たちへのエイズの予防教育が徹底しているのに対し、日本では学生たちへの予防教育はまことに不十分です。また、欧米では気軽に検査を受けられるようになっていて、10代でも性交渉の体験者は必ず検査を受けるという習慣ができています。

 日本では、クラミジア感染症や淋病、性器ヘルペスなど、ほかの性感染症の知識も少ないため罹患率も上昇中です。これらにかかっているとHIV感染のリスクは高まるため、これら性感染症と合わせて、若年層にHIV感染の危険性が高まっているのです。

HIV感染を防ぎ、早期発見のためにも検査を受けよう

 HIVの感染源はHIV感染者の血液、精液、腟分泌液などで、性的接触では、これらが皮膚の傷口や粘膜から体内に入ることで感染します。日本では性的接触による感染がほとんどを占めますが、HIVが存在する血液の輸血、覚せい剤などを打つ注射器の共用による感染や、出産時に母親から赤ちゃんに感染する母子感染もあります。

 もし感染しても平均で約10年間は無症状の状態が続きます。やがてさまざまな病気から身を守る免疫システムの働きが低下していき、健康な人なら何でもない細菌やカビなどから感染症を引きおこしたり、発病しやすくなるがんもあります。このように抵抗力が低下したことで発症する疾患のうち、カポジ肉腫や悪性リンパ腫など特徴的な疾患を発症した時点で、エイズが発症したと診断されます。

 無症状の時期でも血液や精液などにはHIVが含まれるため、感染に気づかないまま、大切なパートナーにうつしてしまう可能性もあります。逆に、早期に感染を発見できれば、早期治療と健康管理で発病を遅らせ、パートナーにうつさないように注意することもできるのです。早期発見には、まず検査を受けることが必要です。

 現在、エイズの根治療法はまだ見つかっていませんが、感染から発病までの期間を伸ばすことのできる薬が開発され、大きな成果をあげています。これは、多種類の薬剤を併用してHIVの増殖を抑える治療法で、早期にHIV感染を発見し、早めに治療を開始するほど発病が防げますので、やはり検査を受けることが、最良の予防法なのです。

検査は匿名、無料で受けられる

 感染の有無を調べる「HIV抗体検査」は、腕から血液を5~6ml程度採るだけの簡単な検査で、保健所や病院、診療所で受けることができます。保健所では匿名で受けられ、しかも無料です。他の医療機関では有料になりますが、検査結果や相談内容など、受診者のプライバシーは堅く守られます。最近は休日検査や夜間検査、その日のうちに結果がわかる「迅速検査」ができる保健所も増えつつあり、検査が受けやすくなっています。

 血液中にHIVの抗体ができるには、感染してから6~8週間かかります。感染が懸念される方は、セックスなど感染の機会があってから「2~3カ月後ぐらい」に検査を受けてください。

 HIVは比較的感染力の弱いウイルスなので、予防さえしっかり行えば、感染が防げます。感染経路のほとんどが性的接触といっても、通常のセックスで感染する確率は0.1%にすぎません。しかし、傷をつくったり出血を伴うようなセックスを行うと、感染のリスクが高まるため、肛門性交のときはお互いがしっかりコンドームをつけ、性器具の共用などは行わないようにすべきでしょう。

 また、普通のセックスでも感染の可能性が0(ゼロ)ではありませんから、不特定多数との性的接触は避ける、最初から最後まで、正しくコンドームを使用する、などを守ることが重要になります。

 ちなみに、東京都では11月16日~12月15日を「東京都エイズ予防月間」として、各保健所で即日検査や休日・夜間検査などの検査体制を拡充したり、街頭キャンペーンを実施したりしています。ぜひ、この機会にエイズについて考えてみてください。


HIV・エイズに関する相談機関・インターネット情報

●電話相談・情報提供  (財)エイズ予防財団
フリーダイヤル 0120-177-812(携帯電話からは 03-5259-1815 )
月~金曜日 10:00~13:00、14:00~17:00(年末年始、祝祭日を除く)

●インターネットによる情報提供  エイズ予防情報ネット
http://api-net.jfap.or.jp/
http://api-net.jfap.or.jp/i(携帯電話から)
 

【監修】
清古 愛弓(せいこあゆみ)先生


千代田区千代田保健所(東京都)健康推進課長
1984年に東京都衛生局に入り、都立病院で臨床研修後、86年から葛飾区の保健所に勤務。その後、足立区の保健相談所や、東京都健康局等を経て、2007年から千代田保健所に勤務となる。

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