若い人に増加する軽症うつ-うつを疑う症状とストレス発散方法

豊かな時代に育ってきた世代はストレスに弱い

誰でもかかりやすい“心のかぜ”、がんばり屋でなくても危ない

「がんばり屋さん」ではない人のうつが増えている

 20~30歳代で、心の健康が不調に陥っている可能性が高い人は、ほぼ6人に1人――。この数字をあなたはどう感じるでしょうか。6人に1人といえば、あなたの職場の同僚や友人の中に1人くらいはいるほどの割合、といってもよいでしょう。体力も気力も元気一杯のはずの若い世代の問題として、とても気になる数字です。

 この数字を公表したのは内閣府。今年の春先に行った意識調査で、「心の健康を“崩されている”可能性が高い」と判定された人の割合が、20~30歳代で16%に上ったのです。このような心の健康問題で、このところ関心が高まっているのは「うつ病」。とくに医学的には「うつ病」とは診断されないものの、心の不調感に悩まされる「軽症うつ」が若い世代に増えていることを指摘する専門医もいます。

 「うつ病」といえばかつては、きちょうめんで責任感が強く、問題を一人で抱えてがんばるような性格の人がかかりやすい、といわれてきました。ところが若い世代で増えているという「軽症うつ」では、必ずしもそのパターンが当てはまりません。とり立ててきちょうめんでもなければ、がんばり屋さんでもない、責任感も人並み、といった人で目立つのです。
 つまり、誰もが陥る可能性のある症状であり、いわば“心のかぜ”のようなものともいえるでしょう。それが今の若い世代に目立つのは、その世代が子どものころから身の回りのことでは何不自由なく育ってきたため、ストレスに耐える耐性が弱いからではないか、という見方があります。

こんな変化は「うつ病」のサインかも

 「うつ病」でも「軽症うつ」でも、早めに気づいて適切な治療をしないと、こじらせてしまいます。最悪の場合は自殺の恐れがありますから、たとえ軽症でも甘く考えてはいけません。次のような自覚症状があったら、早めに精神科か心療内科に受診しましょう。

●「うつ病」が疑われる自覚症状
<精神的な症状>気分が沈んで何もする気がしない/やる気がわかない・興味が出ない・人に会いたくない/決断力や集中力が衰え、仕事が遅れたりする/不安・イライラ・自責感が強まった/酒量が増えた
<身体的な症状>眠れない・早朝に目が覚めてしまう/(とくに午前中)疲れ・だるさを感じる/胃に不快感がある・食欲がない・体重が減った/頭重感・頭痛がある/性欲がなくなった

 また、本人は気づいていなくても周囲の人が気づくことがあります。例えば職場の同僚にこんな変化が見られたら、受診をすすめる必要があります。

●周囲が気づく「うつ病」のサイン
自分の評価をひどく気にする/ミスやトラブルが増えた/遅刻・早退・欠勤が増えた/身だしなみに気をつかわなくなった/「嫌になった」「つらい」などともらすようになった/口数が減り、付き合いが悪くなった/打ち合わせの話が通じない/イライラして怒りっぽくなった/外出を嫌がる

ストレスはその日のうちに解消を

 「うつ病」や「軽症うつ」に陥らないためには、何よりもストレス対策が重要。過度のストレスにさらされ続けて心が疲れ切ってしまう前に、手を打ちましょう。その際、「ストレスは休日にまとめて解消」と考えずに、「その日のストレスはその日のうちに解消」と考えたほうが賢明。ストレスも軽いうちなら解消法も簡単だからです。

 といっても特別なことをする必要はありません。心の「疲れ」には「休養」と、十分な「睡眠」が重要です。それと日々の「食事」をきちんととることや、定期的に「運動」することもストレス解消に役立ちます。ちなみに、先の内閣府調査では多い順に次のようなストレス解消法が挙がっていました。
 (1)人と話をする、(2)テレビや映画を観たり、ラジオを聴いたりする、(3)買い物をする、(4)寝る、(5)食べる など。

(「ジャストヘルス」法研より)

【監修】
山本 晴義先生


横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
東北大学医学部卒業。2001年より現職。医学博士。神奈川産業保健推進センター相談員、文京学院大学講師、神奈川県立保健福祉大学講師ほか。著書:『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)など。CD監修:『うつ予防のためのCD』『働く人のメンタルヘルス・ミュージック』(DELLA)など。ビデオ監修:『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(アスパクリエイト)、『心療の達人』(ケアネット)など。

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