パーキンソン病とは-主な4つの症状と治療法について

治療しながら明るく前向きに活動する取り組みが広がっている

運動系や自律神経系の症状が起こるパーキンソン病。新しい薬や外科治療、発症メカニズムの解明も進んでいる

明るく前向きに活動を続ける患者さんがたくさんいる

 パーキンソン病は、主として働き盛りに発症する病気であるだけに、職場の理解や家族の協力、社会的な支援も大切な支えになります。同時に患者同士の情報交換も励みになり、最近はインターネットの活用も盛んです。その一つ「APPLE 明るく生きるパーキンソン病患者のホームページ」http://www9.ocn.ne.jp/~pdiyasi/ には、患者の立場からの情報発信・共有として、治療法や海外の医療情報の翻訳、特定疾患いわゆる難病の医療費助成のこと、女性患者特有の問題として妊娠・出産や更年期と治療薬の関係なども載っています。

 17歳で発症し43年の患者歴をもつ阿刀田俊子さんは、このホームページでの執筆活動が評価されて、2009年「リリー・ビューティフル・ライフ・アワード」のゲスト審査員賞を受賞しました。
 この賞は、パーキンソン病の治療を受けながら、明るく前向きに活動する患者さんと支援者を表彰するもので、日本イーライリリー株式会社が2002年に創設したもの。今年は患者部門からグランプリ1名とゲスト審査員賞4名、支援者部門からグランプリ1名が受賞しています。

 どんな病気にもいえることですが、明るくイキイキと暮らすことは、患者さんのQOL(生活の質)を高めるとともに、病気の進行を抑えることにもつながります。治らない病気と沈みこむのでなく、明るく前向きに活動する取り組みが広がりつつあります。全国的な団体としては、「全国パーキンソン病友の会」http://www.jpda-net.org/index.php があります。

高齢者に発症頻度が高く、高齢化でさらに患者が増える可能性が

 手足がふるえたり、足がすくんで転びやすくなったりするパーキンソン病は、脳の黒質という部分でつくられるドパミンという神経伝達物質が減るために起こる神経変性疾患です。40~60代で発症することが多く、患者数は約15万人。男女比はほぼ同数で、発症率は1000人に1人、65歳以上では200~300人に1人といわれます。高齢化で患者数はさらに増えるとの予測もあります。

 脳は思考や全身の動きをコントロールする司令塔ですが、その指令を伝えるのがドパミンの役目です。パーキンソン病では、黒質の神経細胞が変性・脱落してドパミンの産生が減るため、脳の線条体という部分にある神経伝達物質・アセチルコリンとのバランスがくずれて、さまざまな症状が出てきます。

 代表的なのが、パーキンソン病の四大症状とよばれる運動系のもので、(1)手足のふるえ(振戦)、(2)筋肉が硬くなる(固縮)、(3)動作が鈍くなる(無動)、(4)体のバランスがとれずに倒れやすくなる(姿勢反射異常)。この他に、便秘や排尿障害・立ちくらみなどの自律神経系の症状、抑うつのような精神系の症状、脱力感などもみられます。ドパミンの量が通常の20パーセント以下に減ると症状が出やすくなります。

 脳の神経細胞は加齢とともに変性・脱落していきますが、パーキンソン病ではその速度が加齢による場合より格段に急速に進行します。その原因はまだわかっていませんが、複数の要因が絡んでいると考えられています。

 最近のニュースでは、パーキンソン病の発症にかかわる新たな遺伝子が発見された(辻省二東大教授・神経内科)と伝えられ、発症メカニズムの解明や新薬開発につながるのではと期待されています。

メインの薬物治療に加え、最近は外科治療が注目されている

 パーキンソン病の治療は薬による治療がメインですが、最近は外科治療の一つ、深部脳刺激術(DBS=Deep Brain Stimulation)も注目されています。

 薬物治療には、大きく分けて次の7つのグループの薬が使用されます。
(1)ドパミン補充薬(L-ドパ単剤、合剤)
(2)ドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)
(3)ドパミン放出促進薬
(4)抗コリン薬:アセチルコリンの働きを抑える
(5)L-ドパ代謝改善薬
(6)ノルアドレナリン補充薬
(7)COMT阻害薬:長期治療に伴い出現するウェアリング・オフ現象(L-ドパの効いている時間が短くなり、薬が切れると急に動きが悪くなる)を改善する

 これらの薬は神経細胞を回復させるものではありませんが、患者さんによって異なるさまざまな症状をコントロールします。しかし、不足する神経伝達物質を補う薬なので、続けて飲むことが必要です。

 薬の種類や量については、主治医が患者さんの話をよく聞きながら、決めていきます。症状が中等度以上になると、作用の異なる薬を組み合わせるなどしながら、合うものをみつけていきます。また、治療薬の副作用としてみられる、嘔吐(おうと)、ふるえ、便秘、不随意運動などを抑える補助治療薬を併用することもあります。

 外科的治療の分野では、従来からの定位脳手術のほか、深部脳刺激術(DBS)が2000年に健康保険に適用されたことで、これを行う医療機関が徐々に増えています。DBSは脳内に電極を埋め込み、胸の皮下に埋め込んだ装置から脳に電気刺激を送って、運動症状を改善する方法です。薬による副作用が強く十分な量を使えない場合など、症例を選んで行われます。

 治療と並んでリハビリテーションもすすめられます。歩行訓練のために散歩を日課にしたり、ラジオ体操を活用するなど、疲れない程度に楽しみながら続けることが大切です。姿勢を正しく保つ、発音訓練などのほか、日常の家事をすることもリハビリになります。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
安井 禮子さん


医療・健康ジャーナリスト
元東京新聞記者(健康面デスク)。医療・女性の健康・高齢者福祉などをカバー。日本医学ジャーナリスト協会会員、更年期と加齢のヘルスケア学会監事、NPO法人メノポーズを考える会副理事長。

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