インフルエンザの重症化を防ぐには-重症化のリスクが高い人とは

ぜんそくや糖尿病患者向け対策パンフレットが厚労省のHPに

新型インフルエンザ感染拡大防止に加え、重症化予防策が大きな課題に。持病のある人や妊婦などは特に注意を

症状が重くなりやすい人は、日ごろの治療や健康管理を大切に

 新型インフルエンザ(A/H1N1)の特性は、ウイルスが新しい抗原タイプであるため多くの人が免疫を持っていないことから、感染が拡大しやすいことです。また、感染しても多くの人は軽症で回復していますが、一般の人と比べ、持病のある人や、妊娠している人、乳幼児などでは、感染すると症状が重くなる場合が多い(リスクが高い)ことがわかっています。

 厚生労働省がワクチンの優先接種者としてあげたグループは、医療従事者および症状が重くなるリスクの高い人。リスクが高いとされたのは、下記に該当する人たちです。これらに該当するすべての人が重症化するわけではなく、治療経過や健康管理などの状況によって、医師が重症化のリスクが高いと判断した場合は、特に注意が必要であるとしています。
 逆に、下記のグループに直接該当しないような疾患を持つ人に対しても、医師の判断により、十分な注意が必要とされる場合もあります。

●症状が重くなるリスクが高いとされる人
【持病がある人】
慢性呼吸器疾患(ぜんそくなど)、慢性心疾患、慢性腎疾患(透析患者も)、肝硬変、神経疾患・神経筋疾患(多発性硬化症など)、血液疾患(急性白血病など)、糖尿病、がんなどで免疫が抑制された状態、小児疾患(重症心身障害も含む)

【その他のハイリスク者】
妊婦、乳幼児、小中高生、65歳以上の高齢者

感染予防を徹底し、感染の疑いがあったらすぐに医師に相談・受診を

 症状が重くならないための大前提は「感染しないこと」。感染のしやすさという点では、一般の人と、持病のある人や妊婦などの症状が重くなりやすい方では、大きな差はないといわれています。
 症状が重くなるリスクの高い方向けの感染予防策は一般の人と同様に、「こまめな手洗いとうがいの実践」、「できるだけ人混みを避けること」を徹底することです。そして日ごろから健康管理を心がけ、栄養バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動などに努めましょう。
 風邪のような症状が出て感染の疑いがあったら、持病のかかりつけ医(妊娠している人の場合は、かかりつけの産婦人科医ではなく一般の内科医など)に相談し、すぐに受診することも症状が重くならないための予防策です。
 受診によって感染したことがわかった場合は、比較的軽症ならば抗インフルエンザ薬の処方や療養上の指導を受け、その後は自宅療養となり、医師が入院を必要と判断した人のみ、入院治療となります。

 とはいっても、症状が重くなるリスクの高い方々にとって、どんなときにどのような対応や行動をとればよいか、具体的な情報がほしいものです。
 こういうニーズに応えるため、感染予防から感染してしまったときの重症化予防、自宅療養の注意点、医師とのコミュニケーションを円滑にするための記入表(常用している薬名や日ごろの健康状態などを記入)など、本人はもちろん、家族や介護者も知りたい具体的で身近な情報が、厚生労働省のホームページで紹介されています。

まずは、ぜんそくと糖尿病の人向けの重症化予防の手引き(パンフレット)完成

 その情報とは、
「新型インフルエンザ対策(A/H1N1)ぜんそくなどの呼吸器疾患のある人へ」
「新型インフルエンザ対策(A/H1N1)糖尿病または血糖値が高い人へ」
です。
 平成21年度厚生労働科学研究費補助金(特別研究事業)「2009年度第一四半期の新型インフルエンザ対策実施を踏まえた情報提供のあり方に関する研究」研究班(主任研究者:安井良則、分担研究者:中山健夫、研究協力者:日本患者会情報センター)が、新型インフルエンザ(A/H1N1)疾病別マニュアルの作成を進め、予定されている4テーマのうち、上記の2テーマについて先に完成し、厚生労働省のホームページに9月18日に掲載されたものです。

 この手引きは、対象疾患や感染症を専門とする医師、対象疾患の患者会関係者、そして行政、コーディネーターなどが協力して議論を重ね、当事者の視線を大切に、本人や家族・介護者が知りたい情報や、実際に必要とする情報を盛り込み、イラストやフローチャートなどを用いて、わかりやすく解説することを目指しました。
 完成途中の試作版は、作成に参加した人たち(作成委員)以外の患者さんや医療従事者へもアンケートを依頼し、見やすさ、わかりやすさのほか、文章やイラストなどの表現で誤解を招く部分はないか、知りたい情報があったかなどについて外部評価を受け、その結果も反映しました。
 また、9月11日には厚生労働省において「新型インフルエンザ 患者会ミーティング」を開催し、新型インフルエンザ対策の情報配信のあり方、医療体制のあり方、今回の取り組みの意義などを解説するとともに、手引きの作成にあたった医師委員・患者委員・厚生労働省担当者らと、ミーティングに参加した患者会の方々と意見交換会の機会を設けるなど、いろいろな立場の方々の間で情報共有が進むように努めました。

 手引き(パンフレット)は、A4サイズ・オールカラー・8ページ構成のPDF形式。厚生労働省のホームページ内の「新型インフルエンザ対策関連情報」ページの「妊娠・基礎疾患をお持ちの方々へ」または「新型インフルエンザ対策 パンフレットなど」というコーナーに掲載されています。
 この手引きは、2009年9月17日現在の情報に基づいた内容ですので、今後、改定を進める必要があると考えられています。

 この手引きの作成をきっかけに、医療の専門家、患者、その支援者、そして行政が、それぞれの立場で智恵を持ち寄って、新型インフルエンザという「新しい病気」に向き合う「新しい協力関係」づくりを進めていくことができればよいと、研究班は考えています。

 手引きは引き続き、「妊娠している人向け」および「がんの患者さん向け」の作成を進めており、近く公開する予定です。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
中山 健夫先生


京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康情報学分野教授
東京医科歯科大学医学部卒業。医師・博士(医学)。米国UCLAフェロー、国立がんセンター研究所室長、京都大学大学院助教授を経て2006年から現職。日本疫学会理事、財団法人国際医学情報センター理事、財団法人日本医療機能評価機構 医療情報サービス事業委員、NPO法人健康と病の語り「ディペックス・ジャパン」副理事長、NPO法人日本メディカルライター協会理事、NPO法人日本インターネット医療協議会理事。著書に『健康・医療の情報を読み解く―健康情報学への招待』(丸善出版)、『EBMを用いた診療ガイドライン―作成・活用ガイド』(金原出版)、『ヘルスコミュニケーション実践ガイド』(日本評論社)など。

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