ニキビができるメカニズム-予防する4つのポイント|処方薬の効能

ニキビは皮膚の病気。軽いうちから医療機関による治療を

ニキビに対する親子の意識のズレから、症状の悪化や子どもたちの心理的な負担の増大を招くことがあります。

ニキビは感情面を含む生活の質に大きな障害を与える

 ニキビなんて病気のうちに入らない――と考えていませんか。しかしニキビは、「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という病名の、れっきとした皮膚の病気です。
 自然に治ったり、生活習慣の改善や市販薬、ニキビ用化粧品などで治るケースもありますが、これらの“素人療法”のために、治るまでに時間がかかったり、再発を繰り返したり、あるいは重症化して痕(瘢痕)が残ったりするケースが後を絶ちません。

 日本臨床皮膚科医会学校保健担当常任理事の林伸和先生(虎の門病院皮膚科部長)はさらに、「なにより、ニキビは感情面を含む生活の質(QOL)に、大きな障害を与えていることを知っておいてほしいですね」と強調しています。林先生らによるニキビの患者さんを対象にした調査では、「見た目が気になる」(90%)、「うっとうしい」(85%)、「元通りに治るのか心配」(79%)など、多くの患者さんが「感情面」でのQOLの低下を訴え、しかも軽症の患者さんでもQOLの低下が大きいことが明らかになっています。

 また、医薬品メーカーのガルデルマ株式会社と塩野義製薬株式会社は、「顔にニキビがある中高生」と「顔にニキビがある中高生の第1子をもつ母親」の合計約2000人を対象に意識調査を行いました。その結果、「恥ずかしい」「自信がもてない」といった“ニキビの悩み”をもつ中高生は、母親が想像しているより2倍も多く、意識のズレがあることや、「軽症のニキビでも悩んでいる」「7人に1人はニキビで“嫌な思い”を経験した」ことなどがわかりました。
 ニキビの対処法については、中高生も母親も8割以上が医療機関でニキビ治療ができることを知っていながら、受診するタイミングはどちらも「ひどくなったら」という回答が最多。ニキビに悩みながら、受診を親に言い出せない中高生像も浮かび上がっています。一方で、「症状が改善した」と感じた対処法は、生活改善などのほかの方法と比べ、「医療機関での治療」が最も多かったことも明らかになりました。

 これらの結果について林先生は「今の中高生の親の世代では、“ニキビは青春のシンボル”などと軽くみてしまう傾向がありますが、顔のニキビは周囲が考える以上に患者さん本人が受ける精神的影響が大きいため、母親など保護者の正しい理解と子どもへの皮膚科受診の後押しが必要です。また、ニキビ痕を残さないためにも、ニキビ1個からでも早めに治療することが大切です」と助言しています。

皮脂の過剰な分泌、毛穴のつまりでアクネ菌が増殖してニキビへ

 ニキビができる過程には男性ホルモンが深くかかわっています。思春期になると男性ホルモンの分泌が活発化して、毛穴の奥で皮脂が過剰に分泌されるようになります。大人のニキビでは、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの乱れやストレスも、皮脂の過剰分泌の引き金になります。
 皮脂の過剰な分泌に加え、角質がはがれ落ちずに毛穴をふさいだりすると、毛穴の奥に皮脂がたまっていきます。するとアクネ菌という、誰もがもっている肌の常在菌の一つが増殖し、肌に炎症を起こしてニキビへと進んでしまうのです。

 毛穴がふさがり始めて狭くなり、皮脂が毛穴にたまり始めても、最初のうちは肉眼ではわかりません(微小面ぽう)。しかし、次第にたまっている皮脂の量が増えてくると、肉眼でも皮膚の表面に白い点が見えてきます。これが白ニキビで、毛穴の奥ではアクネ菌が増え始めています。白ニキビの毛穴が開いて汚れや皮脂がたまると黒く見え、これが黒ニキビです。これらはいわば炎症のないニキビ(面ぽう)です。

 この白ニキビや黒ニキビが悪化すると、毛穴の奥ではアクネ菌が活発に活動して炎症を引き起します。炎症が起こると赤ニキビとなり、見た目にもはっきりしてきます。赤ニキビがさらに悪化して炎症が激しくなると、化膿したニキビになります。この段階では毛穴の構造が破壊され、炎症が周辺に広がります。これ以上に重症化してしまうと、ニキビ痕ができるおそれもあります。ニキビ痕には、よい治療がないのが現状です。
 林先生は「ニキビ痕を残さないためには、ニキビの炎症が進んで、重症化する前に、できるだけ早い時期から皮膚科のお医者さんに診てもらい、適切な治療を受けることが大切です」とアドバイスしています。

悩む前に受診、洗顔やスキンケアなどの生活習慣の見直しも

 現在、医療機関で保険適用となる主なニキビ治療には、次のものがあります。
外用レチノイド 毛穴の詰まりを取り除く塗り薬
抗菌薬 炎症を起こしたニキビに対する飲み薬と塗り薬
面ぽう圧出 専用器具による毛穴に詰まった皮脂や角質の除去
その他 漢方の飲み薬、イオウの塗り薬、ビタミンの飲み薬など

 従来の治療では、炎症を起こしたニキビに抗菌薬を用いる治療が主流で、白ニキビ、黒ニキビの段階にまで戻すことはできても、毛穴など肌の組織を完全には元に戻すことはできませんでした。このため、再発しやすい問題点がありました。
 しかし、2008年に日本でも使えるようになったアダパレンを有効成分とする外用レチノイドは、炎症を起こす前の早い段階からの治療が可能で、肌を正常な状態にまで戻す作用が認められています。医療機関の治療でニキビの根治が期待できるようになったわけです。

 林先生は、「ニキビは、悩む前にまず皮膚科を受診。少しよくなっても勝手に治療をやめてしまわず、医師の指示に従って続けることが重要です」と述べ、下記のような生活習慣の見直しなどもすすめています。

●ニキビを防ぐ生活習慣
(1)肌を清潔に
・洗顔は、洗顔料を使って1日2回しっかりと行う
・お化粧は,クレンジングでしっかりと落とす(汚れを残したりすると、毛穴が詰まってニキビができやすくなる)
・ニキビを触ると刺激で悪化するため、触らないようにする

(2)保湿をしっかり
・スキンケアでは、油分の多いクリーム類は避け、乾燥が気になればノンコメドジェニック(*)な保湿剤を使用してしっかり保湿する
(*)毛穴が詰まりにくいことを確認してある化粧品のこと

(3)メイクアップはニキビを悪くさせない工夫を
・薄づきのパウダーファンデーションを使用する
・(ニキビを隠すための)ファンデーションの厚塗りは避ける
・アイメイクやリップメイクを強調し、ニキビが目立たないように工夫する(唇や目の周りにはニキビはできない)
・毛先が肌に当たらないような髪型にする

(4)生活習慣
・チョコレートやナッツでニキビが発症・悪化しやすいと言われるが、医学的な根拠はない
・自分自身の経験で「○○を食べるとニキビが悪化する」ことがわかっていれば、避けるほうがよいが、食べてはいけないものは特にない
・偏食は避け、栄養バランスのとれた食事を心がける
・睡眠は十分にとり、規則正しい生活を心がける
・ストレス解消もお忘れなく

(編集・制作 (株)法研)

【取材協力】
林 伸和先生  


虎の門病院皮膚科部長
1989年東京大学医学部卒業後、東京大学皮膚科に入局。日本赤十字社医療センター皮膚科、東京大学医学部皮膚科助手を経て、93年より米国マイアミ大学細胞生物学教室に留学。帰国後関東逓信病院皮膚科を経て、2000年東京女子医科大学皮膚科講師に。06年同助教授、07年同准教授、11年現職。主な所属学会:日本皮膚科学会専門医・代議員、日本臨床皮膚科医会常任理事(学校保健、在宅医療担当)、日本レーザー医学会評議員、日本美容皮膚科学会評議員、日本香粧品学会評議員など。

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