4月9日は子宮の日、子宮頸がんを予防しよう-NPOの取り組み

ここ数年で活発になっている、子宮頸がん予防啓発活動

子宮頸がんは検診とHPVワクチンの接種で予防できます。その必要性を呼びかける市民・企業活動がさかんに

4月9日は“しきゅう”の日。「子宮頸がんを予防する日」です

 最近、子宮頸がんの予防啓発を呼びかける市民活動や企業活動などが活発になっています。「NPO法人 子宮頸がんを考える市民の会」(以下、「市民の会」)も、その一つ。「オレンジクローバー」をシンボルマークに2004年に発足し、2005年にNPO法人を取得しました。翌年06年には毎年4月9日を「子宮頸がんを予防する日、子宮の日」と提唱し、啓発活動の強化に努め、その後09年に日本記念協会により「4月9日を、子宮頸がんを予防する日」と認定されました。

 日本では1年間に約16,000人の女性が子宮頸がんにかかり、1年間に3,500人の女性が子宮頸がんで亡くなっていると推測されています(国立がん研究センター・がん対策情報センター「最新がん統計」)。
 子宮頸がんは、定期的な子宮頸がん検診(子宮がん検診)とHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種で確実に予防することが可能ながんです。多くの人がHPV に感染しますが定期的に子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる前の段階で発見することができ、この段階で治療すれば、子宮を失うことなく、完治することができます。

※ 2013年6月14日に、国による積極的接種の推奨は差し控えると発表されました。(詳細)


 子宮頸がんの罹患者は20歳代で増加、30歳代でピークを迎えているという現状を踏まえ、「市民の会」では、若い女性たちをターゲットに、さまざまなイベントや啓発グッズなどを通して、メッセージを発信し続けています。
 事務局長を務める渡部享宏さんは「病気や予防の知識がないために子宮頸がんに罹患し、予防できる病気によって将来子どもを産む機会を奪われることがあっては残念なことです。子宮頸がんは、検診とワクチン接種によって“予防できる”唯一のがんであることを知って、自分のこととして行動してほしい。子宮頸がんのことだけでなく、若い女性たちに、もっと自分の体を大切にしてもらいたい。男性にも関心を持ってもらい、大切な人に子宮頸がん予防をすすめてもらいたい」と、会の趣旨を話します。

 「市民の会」は、09年には「LOVE49 プロジェクト~みんな子宮から生まれてきた~」を立ち上げ、さらなる啓発活動を展開しています。
 若い女性たちに関心を持ってもらうために、ヨガと組み合わせた子宮頸がん予防啓発セミナーを開催したり、野外イベントに出展して直接若い女性たちの声を聞くなど工夫をこらしています。また、4月9日には全国の細胞検査士たちとともに街頭啓発キャンペーンを繰り広げたり、芸能、医療、政治ほか、さまざまな分野で活躍している「呼びかけ賛同人」からのメッセージを配信するなどにより、「子宮頸がん検診」の必要性を伝え、子宮の異常があったり悩んだりしている人には、早急に医療機関を受診することを勧め、「子宮を愛して、子宮を大切にしよう」と呼びかけています。

組織の枠を超えて子宮頸がん予防に取り組める環境づくり

 渡部さんは「日本子宮頸がん予防・啓発連絡会議」の世話人も務めています。4カ月に1回の頻度で開催される会議には、子宮頸がんの予防啓発活動を行っている団体の代表者などが全国から集まり、最新情報を知る勉強会や各団体の活動報告を行い、情報交換などの交流を重ねています。

 先般開催された「第8回日本子宮頸がん予防・啓発連絡会議」では、株式会社キアゲンの松岡徹氏により「子宮頸がん検診:現状と課題」、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議の堀内吉久氏により「子宮頸がん予防ワクチンの現状と課題」の2題の講演がありました。 
 その後、参加団体のうち、株式会社エフエム東京、興栄工業株式会社、特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン、山梨まんまくらぶ、一般社団法人リボンムーブメント、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議、日本細胞診断学推進協会細胞検査士会、同島根県支部、子宮頸がんを考える市民の会から、活動報告がありました。
 このほか、連絡会議には、ティール&ホワイトリボンプロジェクト、子宮頸がん啓発協会、青山ウエディングタウンフォーラム、女性のガン予防推進協会、日本フィットネスヨーガ協会や子宮頸がん予防に関係する企業なども参加しています。

それぞれの立場を生かし、得意な方法で情報配信

 会議参加団体のうち、いくつかの活動内容を簡単にご紹介しましょう。

●ハロースマイルプロジェクト
 株式会社サンリオと株式会社エフエム東京が協力し、子宮頸がん予防啓発を目的とする「ハロースマイルプロジェクト」を展開中。ハローキティを応援キャラクターに、放送スタジオ、駅構内、ライブ会場などで子宮頸がん検診の必要性を呼びかけるなどの啓発活動を行っています。

●一般社団法人 リボンムーブメント
 子宮頸がんを“自分たちの問題”だととらえ、「子宮頸がんで亡くなる人をゼロに!」を合言葉に集まった大学生(女子大生)たちが、同世代や次世代に子宮頸がんをはじめとする女性特有の病気に関する正しい情報の普及・啓発の啓発活動を“自分たちの言葉”を通して行っています。冊子、イベント、Webサイトなどでの情報配信、大学生を対象にしたアンケート調査、自治体と連携しての受診勧奨、中学・高校での出張授業、キャンペーングッズの制作・配布などが主な活動内容です。

●子宮頸がん征圧をめざす専門家会議
 専門の枠を超え、多くの医師、専門家、団体、企業などが力を合わせて、多角的・多面的な視点から子宮頸がんをとらえ、社会や行政に向けた提言を行うことなどを主な活動として、子宮頸がんの予防・征圧を目指している団体です。

●一般社団法人 ティール&ホワイトリボン
 子宮頸がん予防の普及・啓発活動に長年取り組んできた「NPO法人 女性特有のガンのサポートグループ オレンジティ」、乳がん・婦人科がんなど女性のがんをテーマに活動する「NPO法人 ブーゲンビリア」、すべてのがんを対象とし科学的根拠に基づくがん医療を推進する「NPO法人 キャンサーネットジャパン」が連携・協業し、設立した団体です。子宮頸がんの予防啓発活動を展開するとともに、行政に向けた提言なども行っています。

●日本細胞診断学推進協会細胞検査士会
 子宮頸がん検診は、子宮から少量の細胞を採取し、顕微鏡で観察します。この仕事に携わるのが細胞検査士です。若い女性に前がん病変の細胞がよく見つかること、ごく早期の子宮頸がんが増えていることを実感している一方で、若い女性の検診受診率が大変低い現状を課題視し、「LOVE49プロジェクト」に協力して、毎年4月9日に全国の街頭でニュースレターを配布する活動などを行っています。

 子宮頸がん検診の受診率やHPVワクチン接種率の向上に向けて、今後も子宮頸がんの予防啓発活動はますます活発に展開されていくことでしょう。子宮頸がんゼロを達成できるには、こういった草の根活動が展開されていくことが大切であることはもちろんですが、その活動が実を結ぶためには、国民一人ひとりが自分の健康についての意識を高め、行動に移していくことが何より重要です。
 検診の対象者でありながら、今まで検診を受けていなかった人は、ぜひ検診を受けましょう。HPVワクチンについて、正しい情報を知らなかった人は、知ることから始めてみましょう。4月9日を機会に、子宮のこと、健康のことを改めて考えてみましょうよ。

(編集・制作 (株)法研)

【取材協力】
渡部 享宏さん 


NPO法人 子宮頸がんを考える市民の会事務局長
日本子宮頸がん予防・啓発連絡会議世話人、アースデイ東京理事
1997年立正大学宗学科卒業後、福祉機器メーカーに勤める。IT企業などを経験し、2005年より現職。1994年大学在学中に若者によるHIV/AIDS予防・啓発団体「Campus AIDS Interface」を立ち上げる。個人のライフワークはセクシャルヘルス。現在も休日は厚生労働省研究班で、25才以下の若者に自覚症状が出にくいクラミジアがどの程度広がっているか調査研究に協力。若者とともに検査キットの無料配布を行い、野外イベントや大学学園祭などで年間約2,000名の若者に配布している。若者への健康教育が不足していると考える一人。趣味はダイビングとムエタイ。

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