口唇ヘルペス-紫外線の浴びすぎで再発?赤ちゃんや病人との接触に注意

一度感染するとウイルスが体内に潜伏、免疫力の低下で再発も

感染力が強く、キスや頬ずり、タオルやグラスの共有でもうつる。抵抗力の弱い人にうつさないよう注意を

子どものころ感染し、大人になって初めて症状が出て再発をくり返す人も

 くちびるによく水ぶくれができるという方はいませんか? それはもしかしたら、口唇ヘルペスかもしれません。こういう人は、海や山へ出かけたりして紫外線にさらされやすい夏は、特に気をつける必要があります。
 口唇ヘルペスはくちびるや口の周りに小さな水ぶくれができる病気で、単純ヘルペスウイルスが原因で起こります。単純ヘルペスウイルスが起こす病気を単純ヘルペスといい、口唇ヘルペスのほか、角膜ヘルペス、性器ヘルペスなどがあります。

 単純ヘルペスのなかで最も多いのが口唇ヘルペスで、日本人の10人に1人がかかっていると推計されています。症状は出ていなくてもウイルスに感染している人はさらに多く、20~30代で約半数、60代以上ではほとんどの人が感染しているというデータもあります。
 以前は、多くの人が子どものうちに感染して免疫を持っていましたが、最近の若い人には、感染したことがなく免疫を持たない人が増えています。免疫があれば発症しても軽症ですみますが、大人になって初めて感染すると症状が重くなることがあります。
 子どもの場合は感染しても症状が出ないことが多く、大人になったころ初めて症状が出て、年に数回再発をくり返す人もいます。

 単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると免疫ができたあともずっと体内に潜んでしまい、何らかのきっかけで再発するのが特徴です。ウイルスがじっと潜伏している間はヘルペスの症状は出ませんが、体の免疫力が低下したときなどに再び活性化して症状を起こすのです。しかも、何度も再発をくり返すのでやっかいです。

 たとえば、かぜで熱が出た、睡眠不足が続いた、疲れやストレスがたまった、けがをしたといったように、体力や免疫力が低下したときに症状が出やすくなります。冒頭にあげた「夏に海や山に出かけたとき」もそうで、強い紫外線を浴びることで皮膚の免疫力が低下してウイルスが活発になります。冬のスキーも同様です。
 紫外線が口唇ヘルペス再発のきっかけになることは意外に知られていないので、記憶に留めておいてください。

治療は抗ウイルス薬の服用が中心。体力を保ち免疫力を高める生活を

 口唇ヘルペスの症状は、初め口の周りの一部分がむずむずしたり、ぴりぴりとした痛みやほてりを感じ、そこが赤く腫れてきます。そしてその上に水ぶくれができて破れ、やがてかさぶたとなって1~2週間ほどで治っていきます。大人の初感染では発熱、倦怠(けんたい)感などの全身症状が出る場合もあります。

 治療は抗ウイルス薬の服用を中心に、状況に応じて痛み止めや抗生剤が用いられます。抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑える薬で、飲み薬と塗り薬があります。早く治療を始めるほど症状は軽くすみ、治りも早いので、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
 塗り薬の抗ウイルス薬には薬局で買えるものもあります。再発をくり返す人は、医師や薬剤師の指導の下、上手に利用するとよいでしょう。

 口唇ヘルペスの再発を防ぐためには、日頃から次のようなことを心がけ、体力を保ち免疫力を高めることが大切です。

●規則正しい生活を送る
●過労にならない
●バランスのよい食事をとる
●十分な睡眠・休養をとる
●適度の運動を習慣にする
●ストレスをためない
●強い紫外線を浴びすぎない

症状が出ているとき、赤ちゃんや病気の人との接触には十分注意する

 単純ヘルペスウイルスは感染力が強く、水ぶくれに触れると簡単に感染します。キスや頬ずり、タオルやグラスの共有などでも感染するので、症状が出ている時期はこれらのことを避け、手をよく洗いましょう。
 相手が免疫を持っている場合は、発症しなかったり発症しても軽症ですみますが、免疫のない人に感染すると重い症状が出ることもあります。特に抵抗力が弱い赤ちゃんなどは重症化しやすいので、うつさないよう注意が必要です。

●重症化しやすいケース
 新生児:抵抗力が弱く全身に強い症状が出やすい。「ヘルペス性歯肉口内炎」を起こし、口の中に水ぶくれができて強い痛みと高熱を伴うことがある。

 アトピー性皮膚炎の人:もともと皮膚のバリアが低下しているため、症状が重くなりやすく治りにくい。アトピーの炎症が起きているときに再発したり人から感染すると、水ぶくれが体の広い範囲に広がることもあり、重症の場合は入院治療が必要になる。

 病気などで免疫力が低下している人:抗がん薬やステロイド薬、免疫抑制薬などを服用している患者さんなどは免疫力が低下しているため、感染しやすく症状も重症化しやすい。症状が出ているときのお見舞いは避けたい。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
漆畑 修先生


東邦大学医学部客員教授、宇野皮膚科医院院長
1973年東邦大学医学部卒業後、東邦大学医学部皮膚科教室入局。1978年より東邦大学医学部大橋病院皮膚科講師、准教授、皮膚科部長、院長補佐を経て、2007年4月より現職。医学博士、皮膚科専門医、温泉療法医。専門はヘルペスウイルス感染症、アレルギー性皮膚疾患、美容皮膚科学など。著書に『痛みを残さない帯状疱疹、再発させない単純ヘルペス』(メディカルトリビューン)などがある。

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