アウトドアは草むらのダニに注意! ダニからウイルスに感染、死亡例も

マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群で死亡例も

マダニの活動が活発になる季節。野山や草むらでは長袖、長ズボンで肌の露出を避けよう

マダニが持つウイルスで新しい感染症。重症化で死亡例も

 夏山登山、ハイキング、キャンプなど、野山に出かける機会が多い季節です。アウトドアの楽しさは格別ですが、けがや虫刺され、熱中症など、注意しなければならないこともたくさんあります。そのなかで、今年の1月に日本で初めて確認されたマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群」について、ぜひ頭に入れておきましょう。

 2013年1月、日本で初めて「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者が確認されました。SFTSとは、マダニがもつSFTSウイルスによって引き起こされる新しい感染症のこと。2009年から中国で患者の発生が報告され、2011年、原因ウイルスとしてSFTSウイルスが特定されました。
 なお、日本でみつかったSFTSウイルスは中国の流行地のそれとは遺伝子レベルで少し異なっており、日本でも以前から存在していたものとみられています。

 SFTSはSFTSウイルスをもつマダニにかまれることで感染し、6日~2週間の潜伏期間を経て発症します。症状は発熱、食欲低下、腹痛、嘔吐(おうと)、下痢などの消化器症状が中心で、重症化すると血液中の血小板や白血球の減少などがみられ、多臓器不全などで死亡することもあります。日本ではこれまで30人を超える発症が報告され、そのうち半数近くの方が亡くなっています(7月下旬)。

予防はマダニにかまれないこと。草むらでは肌の露出を少なく

 現在のところSFTSの治療に有効な抗ウイルス薬などはなく、治療は対症療法が中心となります。また、SFTSウイルスに有効なワクチンもなく、予防はマダニにかまれないようにするしかありません。

 マダニの成虫の大きさは通常3〜4mm、血を吸うと10mm以上になることもあります。室内でよく見られるイエダニやヒョウダニなどとは種類が異なり、全国の野山や草地などに生息しています。春から秋にかけて活動が活発になるので、この時期草むらに入るときには肌を露出させないことが大切です。長袖シャツ、長ズボンに足をすっぽり覆う靴、帽子、手袋を着用、ズボンの裾は靴の中に入れ、首にはタオルなどを巻くとよいでしょう。

 マダニにかまれても痛みやかゆみはほとんどなく、気がつかないことも多いようです。マダニは一度かみつくと、十分吸血するまで数日から長いときは10日以上も体から離れません。このため野山で活動した後は、マダニにかまれていないか、衣服にマダニが付いていないか、よくチェックしてください。入浴したりシャワーを浴びることは、まだ刺していないマダニを洗い流すのに有効です。

 マダニに気づいても、無理に引きはがそうとするのは禁物です。口の部分だけが皮膚内に残って化膿したり、感染の危険が高まることがあるからです。万一かまれていたときは、すぐに皮膚科を受診して必要な処置をしてもらいましょう。
 マダニにかまれてもかみ跡がみつからないこともあるようです。野山に出かけたあと高熱や食欲低下などがみられたときは、念のため医療機関を受診し、マダニにかまれた可能性があることを伝えてください。

SFTS以外にも、ダニが媒介する感染症に注意

 ところでダニが媒介する感染症はSFTS以外にもあります。マダニによるライム病や日本紅斑熱(こうはんねつ)、ダニの一種のツツガムシによるツツガムシ病が代表的なものです。これらの病気では発熱、発疹、筋肉痛などの症状が現れます。どれも抗菌薬が使えますが、重症化して死亡することもあります。

 ただし、マダニやツツガムシにかまれても、必ずしもこれらの病気やSFTSを発症するというわけではなく、感染の恐れがあるのは虫が病原体を持っている場合です。まず虫に刺されないよう肌の露出を少なくして、かまれてしまったときは冷静に対応しましょう。

(編集・制作 (株)法研)

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