乳がんや子宮頸がんの検診のすすめ-若い女性に増えるがん

30代から増える乳がん、20代の発症が目立つ子宮頸がん

乳がん・子宮頸がんとも早期に治療すれば治る確率の高いがん。若いときから定期的な検診で早期発見を

女性にとって、がんは中高年の病気とはいえない

 1981年以降、日本人の死亡原因の第1位は悪性新生物、つまり「がん」です。30年以上にわたり、がんは日本人の死因トップの座を保ち続けているのです。平成24年のがんによる死亡者数は約36万790人、これは全死亡者の28.7%を占め、およそ3.5人に1人ががんで亡くなったことになります
 全死亡者のうちがん死亡者の割合は、20~24歳以降年齢が高くなるにしたがって高くなり、男性では65~69歳(50%弱)、女性では55~59歳(60%弱)でそれぞれピークとなっています。(厚生労働省 平成24年人口動態から)

 がん罹患率の年齢による変化をみると、がん全体では男女とも高齢になるほど高くなっていますが、増え方には男女差があります。男性は40歳代から増え始めて60歳代、70歳代と急増するのに対し、女性では20歳代後半からゆるやかに上昇を続ける傾向を見せています。そして、30歳代、40歳代ではがん罹患率は女性のほうがやや高く、60歳代以降は男性が著しく高くなっています。(国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計から)
 また人間ドック受診者のデータから、男女ともに多い胃がんや大腸がん、肺がんなどが見つかる人は加齢とともに増えますが、女性に多い乳がんや子宮頸がんは40歳代で見つかる人が最も多いことがわかっています。(日本人間ドック学会 2012年人間ドックの現況から)。

 女性は男性に比べて、がんの死亡率、罹患率ともに若い世代で高くなっている傾向がうかがえます。がんというと中高年の病気と思われがちですが、女性の場合、それはあてはまらないようです。

乳がんも子宮頸がんも検診の有効性が高い。早期発見には検診を受けること

 日本人の女性がかかるがんで最も多いのは乳がんです。近年日本では乳がんにかかる人が急増し、現在年間6万人近い人が新たに乳がんと診断されています。年代別の罹患率は、30歳前後から増え始めて40歳代後半にピークを迎え、その後減少はするものの比較的高い水準で推移します。
 子宮頸がんは、近年若い世代でかかる人が増えており、現在年間約9800人が新たに子宮頸がんと診断されています。罹患率は20歳ごろから急増して、40歳代でピークに達し、その後横ばいと増減をくり返します。(国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計から)

 乳がんも子宮がんも、早期に発見して適切な治療を行えば治る確率の高いがんです。そして、どちらもがん検診の有効性は非常に高いことがわかっています。検診で早期に発見することができれば、命が助かることはもちろん、乳房(子宮)を残すことも可能です。早期がんは自覚症状がほとんどないことが多いので、定期的に検診を受け、がんを早期に発見することが重要です。

誰もが検診を受ける機会を持っているはずだが、受診率は低い

 乳がん検診、子宮頸がん検診は自治体で実施しているほか、職場の健康保険組合などが実施する健康診断や人間ドックなどで受けることができます。
 乳がん検診では、一般的に視触診とマンモグラフィ検査が行われます。マンモグラフィは乳房専門のX線検査で、しこりができる前の病変(視触診ではわからない)まで発見することができ、早期発見に役立ちます。
 子宮頸がん検診では、子宮頸部から細胞を採取して顕微鏡で調べる子宮頸部細胞診が行われます。この検査では早期のがんや、異形成というがんの前段階の状態で発見することも可能です。

 厚生労働省は、乳がん検診は40歳以上、子宮頸がん検診は20歳以上の女性を対象に、それぞれ2年に1回検診を受けることをすすめています。自治体のがん検診は基本的にこれに沿って、検診費用の助成を行っていますが、中には対象年齢を広げているところもあります。職場の健康保険組合などでは、毎年の検診をすすめていたり、乳がん検診は、30歳代からの受診を助成していることもあります。問い合わせてみるとよいでしょう。

 このように、誰にも検診を受ける機会があるはずですが、検診を受ける人は多くありません。過去2年間に検診を受診した人の割合は、乳がん39.1%(40~69歳)、子宮頸がん37.7%(20~69歳)で、欧米に比べて2分の1程度と低く、国の目標である50%にも届いていません。(平成22年国民生活基礎調査から)
 自治体や職場で実施しているがん検診を利用すれば、無料または低額の費用で受けることができます。せっかくの機会を逃さないように情報をチェックして、積極的に受診しましょう。

 さて国が推奨する乳がん検診の対象は40歳以上ですが、前述したように乳がんは30歳前後から増え始めるため、本来はこのころからの受診が望ましいわけです。そこで、自治体や健康保険組合などによる乳がん検診費用の助成対象となっていなくても、自主的に30歳ころから乳腺の専門クリニックなどで検診を始めることは有意義です。また、遺伝性の乳がんなどでは20代でかかる人も見られますので、家族・親族に乳がんにかかった人がいる場合などは、20代の早い時期に検診を受けるとよいでしょう。
 医療機関での検診とは別に、20歳になったら、女性は月に1回乳房を自己チェック(自己検診)することもお忘れなく!

(編集・制作 (株)法研)

コラムに関連する病名が検索できます。

アクセスランキング一覧

100件中 1件~20件を表示

  1. 1
    もっと気楽に!人間関係に疲れないための5つのポイント
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと …
  2. 2
    【シワ・シミ・たるみ】老け顔の原因になる9つの食べ物
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 鏡で…
  3. 3 睡眠不足が続くとうつ病になりやすい|睡眠5時間は危険ライン?
    睡眠不足が続くとうつ病になりやすい|睡眠5時間は危険ライン?
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 仕事…
  4. 4
    『大人のひきこもり』専業主婦のひきこもりが増加中?!
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 若い…
  5. 5
    叱り上手・ほめ上手の6つのコツ|人間関係を円滑にする極意
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと どち…
  6. 6 ひきこもりの心理。何が原因で『ひきこもり』になるの?
    ひきこもりの心理。何が原因で『ひきこもり』になるの?
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 学校…
  7. 7
    ドーナツに栄養はない!? 実は体によくない物質だらけ…
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと …
  8. 8 みぞおちの辺りが痛い 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    みぞおちの辺りの腹痛 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    お腹の上の部分、みぞおちあたりの痛み。胃痛? それとも、ほかの病気? …
  9. 9 眠い・だるい・疲れやすい・集中力がない…原因は鉄分不足かも?
    ストレスや疲労を感じたら、自律神経を整えて心身をリセット!
    【執筆】ピースマインド・イープ 若尾秀美 季節の変わり目に、体調を崩…
  10. 10
    仕事・ワンオペ家事育児で女性は疲労困憊!? 危険な過労のサインとは?
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと まか…
  11. 11
    ヘルプマーク、ハートプラスマークなど、見えない障害を持つ人のためのマーク
    (編集・制作 gooヘルスケア) 外見からはわからない障害を抱え…
  12. 12
    体によさそうだけど、本当は“不健康”な食べ物9つ
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと …
  13. 13
    真面目な人ほどストレスを感じやすい? ストレスと上手く付き合うコツ
    (編集・制作 (株)法研) 油断は禁物。長引くと社会生活に支障をきた…
  14. 14
    頑張り屋さんは“うつ”になりやすい?こんな性格の人はちょっと休もう
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 年々…
  15. 15
    食べ過ぎ注意!食べるだけでからだが臭くなる『臭う食べ物』
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと …
  16. 16
    がん予防・老化防止・疲労回復・美肌…緑茶には健康効果がいっぱい!
    (編集・制作 (株)法研) (「すこやかファミリー」法研より) 「…
  17. 17 産後の体重減少や激しい抜け毛の原因は「産後無痛性甲状腺炎」だった!
    お腹がポッコリしてきた…それは太ったのではなく卵巣の病気かも?
    (編集・制作 (株)法研) 卵巣は腫瘍ができやすい臓器。しこりや張り…
  18. 18
    骨粗しょう症の予防にいい食べ物と、摂りすぎ注意の食べ物
    (編集・制作 (株)法研) 骨粗しょう症の予防にはカルシウムの多い食…
  19. 19 ブラジャーを外すと跡がくっきり! この原因はなに?
    ブラジャーを外すと跡がくっきり! この原因はなに?
    下着売り場でブラジャーのサイズを測ってもらったのはいつ? 実はサイズが…
  20. 20 喉が渇く、疲れやすい…その症状、糖尿病予備軍かも?10のチェックリスト
    20代・30代の女性に増える『プチ更年期』こんな症状が続いたら注意を!
    (編集・制作 (株)法研) 原因はストレスや過剰なダイエット、過労な…

一覧