夏の旅行は蚊による感染症に注意して! 4つの命に関わる感染症

「海外からの持ち込み」により、国内で感染する可能性も

熱帯・亜熱帯以外に、温帯地域でも流行中。国内は心配ないとも言い切れない。予防は蚊に刺されないこと

温帯地域でも油断できない、蚊による感染症

 ここ数年、東南アジアなどを旅行中デング熱に感染し、帰国後に発症する人が増えています。昨年(2013年)は249人が発症し、統計をとり始めた1999年以降で最多となりました。また、熱帯地方を旅行してマラリアに感染し、帰国後発症して重症化する人も毎年報告されています。

 デング熱もマラリアも、蚊に刺されることで発症する感染症です。これらは主に熱帯と亜熱帯で流行がみられますが、蚊が媒介する感染症には、米国やカナダで流行しているウエストナイル熱のように温帯地域で流行しているものもあります。これらの地域では7月頃から蚊の活動が活発になりますから、夏の海外旅行は行き先が熱帯や亜熱帯でなくとも、蚊には注意しなくてはいけません。

 ただ、海外に行かなければ大丈夫というわけでもありません。昨年夏に日本を旅行したドイツ人が帰国後デング熱を発症したことが報告され、日本国内に生息する蚊によって感染した可能性が否定できません。つまり、日本でデング熱に感染する可能性がないとは言い切れないのです。

 また、かつて日本でも流行した日本脳炎は、予防接種の普及によって国内での発生は激減しましたが、それでも毎年数人の発症が報告されおり、西日本を中心にウイルスに感染した豚は多く存在しています。
 さらに、2005年から2009年の5年間は、国から日本脳炎ワクチンの積極的な接種勧奨が行われなかったため、未接種の子どもが多数いるとみられます。母子手帳などで確認し、ワクチン未接種の人、また接種回数が不足している人は、接種するようにしましょう。

重症化して命にかかわることもある蚊による感染症

 蚊が媒介する病気に感染すると、重症化して命にかかわることもあります。流行地を訪れるときは、病気の特徴を知って対策を立てましょう。

●デング熱
・アジアやアフリカ、中南米などの熱帯・亜熱帯地域で発生。
・感染源はデングウイルスを持つ蚊。昼間、都市部にも生息。
・潜伏期間は2~15日。症状は突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹など。多くは1週間程度で回復するが、一部は重症化して出血やショック症状をきたすことがある。
・特効薬はなく、対症療法が中心。有効なワクチンもない。

●マラリア
・アジア、アフリカ、中南米などの熱帯・亜熱帯地域で発生。
・感染源はマラリア原虫を持つ蚊。夕方から夜間に出没する傾向あり。
・マラリア原虫の種類によって異なるが、潜伏期間は7日~数カ月、症状は高熱、悪寒、震え、息苦しさ、結膜の充血、おう吐、頭痛、筋肉痛など。
・抗マラリア薬が有効だが、治療が遅れると重症化し命にかかわる。滞在日数などによって予防薬の内服がすすめられる。

●ウエストナイル熱
・アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央アジア、西アジアなどで発生していたが、近年は北米、中南米、ロシアにも広がっている。
・感染源はウエストナイルウイルスを持つ蚊。
・感染者の約2割が発症。潜伏期間は2~14日、症状は高熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹など。ごく一部は重症の脳炎を発症する。
・特効薬はなく、対症療法が中心。有効なワクチンもない。

●日本脳炎
・日本を含むアジアで多く発生。
・感染源は日本脳炎ウイルスに感染した豚の血を吸った蚊。
・感染しても発病するのは100~1000人に1人程度。潜伏期間は6~16日。症状は高熱、頭痛、おう吐などが数日間続き、その後意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の硬直などが現れる。
・発病者の死亡率は高く、生存者も多くは後遺症が残る。
・有効な治療法はなく、ワクチンが有効。
・平成7~18年度に生まれた人は、予防接種が不十分になっている可能性がある。

予防は、とにかく蚊に刺されないこと!

 蚊が媒介する感染症には、ほかにも黄熱、チクングニア熱などがあり、流行地では蚊に刺されないよう十分な注意が必要です。特にデング熱やウエストナイル熱など有効なワクチンなどがない病気では、蚊に刺されないことが唯一の防御策になります。

■蚊にさされないために
●しっかりした網戸、エアコンが備わっている宿泊施設を選ぶ。蚊帳(かや)、蚊取り線香も有効。
●長袖・長ズボンを着用、素足にサンダルばきは避け、できるだけ肌の露出を少なくする。
●外出時や網戸のない建物では、肌の露出部分に虫よけ剤をつける。使用上の注意に従って塗り直し、日焼け止めと併用する場合は日焼け止めの上からつける。

 国内外を問わず、蚊に刺されたあとに急な発熱や発疹などがあれば、早急に医療機関を受診し、海外に渡航した人はその旨伝えましょう。

【参考】
・厚生労働省「夏休み期間中における海外での感染症予防について」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/travel/2014summer.html
・厚生労働省 感染症情報「日本脳炎」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou20/japanese_encephalitis.html

(編集・制作 (株)法研)

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