性器の小さな水ぶくれは性器ヘルペスかも? 有効な迅速診断法とは

水ぶくれができて激しく痛む、若い女性に多い性感染症

簡単に短時間で検査できる迅速診断キットが保険適用に。正確な診断や適切な治療につながると期待

初感染では激しい痛みが特徴。何度も再発を繰り返すことも

 「性器ヘルペス」は、単純ヘルペスウイルスが原因で起こる病気です。主に性行為によって感染する性感染症の一つで、女性では性器クラミジア感染症に次いで2番目に多く、とくに20~30代の患者さんが目立ちます。

 単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、1型は主に口唇や顔などの上半身に、2型の多くは性器を中心とした下半身に症状が現れます。性器ヘルペスに感染している相手とセックスをしてから、2~10日の潜伏期間を経て、性器やその周辺に小さな水ぶくれができます。オーラルセックスによって、口唇ヘルペスのウイルスが性器に感染することもあります。
 性器ヘルペスの症状が出ていなくても、ウイルスを排出していることがあるため、本人も病気に気づかないままパートナーにうつしてしまうことがあり、予防が難しい病気です。

 初めて性器ヘルペスに感染したときは水ぶくれがたくさんでき、それがつぶれてただれたり、痛みが激しく歩行や排尿が困難になることもあります。また、発熱や頭痛、倦怠感(けんたいかん)などの全身症状が現れたり、太ももの付け根のリンパ節が腫れることもあります。重症化すると髄膜炎や脳炎、膀胱まひ、尿閉(尿がまったく出ないこと)に至ることもあり、早期に適切な治療を開始することが重要です。

 抗ヘルペスウイルス薬(飲み薬や塗り薬)を使用すれば症状は治まりますが、その後もウイルスは体内の神経節に潜伏し、疲労やストレス、月経などが刺激になって、再び活性化することがあります。再発の場合は比較的症状が軽いのですが、しばしば再発を繰り返します。多い人では毎月2~3回も再発することがあり、患者さんの精神的な負担は決して少なくありません。

問診・視診のみで別の病気と間違って診断されるケースも

 性器ヘルペスは、問診や診察(視診、触診)に加え、単純ヘルペスウイルスの感染の有無を調べる検査も行うことで、正確な診断に結びつきます。しかし、従来の検査法は、ウイルスの検出感度が低かったり、検査結果が出るまでに時間がかかることなどから、問診や視診のみで診断してしまうケースが多いといいます。

 早川クリニックの早川潤副院長は、「患者さんが受診するのは、内科、婦人科、皮膚科、泌尿器科などさまざまです。例えば、患者さんが訴える症状から性器ヘルペスを疑っても、内科医が性器を診察することは少ないでしょうし、問診を鵜呑みにして詳しい診察をしていない場合もあります。医師の経験や知識が乏しかったり、専門医が不足していることから、見逃し症例が問題となっています」と話します。

 早川クリニックを受診した性器ヘルペスの患者さんでは、比較的症状が典型的である初発症例でも106例のうち、およそ2割に当たる22例が、他院でかぜや尿路感染症、外陰炎、尖圭コンジローマといった別の病気と診断されていました。その一方で、他院で性器ヘルペスと診断された患者さんが、実際には帯状疱疹(たいじょうほうしん)や接触性皮膚炎などだったこともあるそうです。

簡単な検査でウイルス感染の有無がわかる

 このような見逃しを防ぐとして期待されているのが、迅速診断法です。2013年12月に発売開始となった国内初の性器ヘルペスの迅速診断キットは、患部を綿棒でぬぐうだけの簡単な検査で、10~15分で単純ヘルペスウイルス感染の有無がわかります。問診と診察にこの迅速診断法を組み合わせることで、専門医以外の医師でも、正確な診断や適正な治療が可能になると期待されています。

 早川副院長は、「この迅速ウイルス抗原診断法には公的医療保険が適用されました。従来行われていた問診・視診のみでの性器ヘルペスの診断は明らかに限界がありましたが、この新しい迅速診断キットを有効に利用することによって、性器ヘルペスを素早く正確に診断することが可能となります。他の病気との鑑別も重要ですので、正確な診断に基づく適正な治療を選択することが可能になりますし、誤診に起因する不適正な薬剤投与の解消、医療費の削減並びに患者さんの身体的、経済的不利益の解消が見込まれます。」と話しています。

(編集・制作 (株)法研)

【取材協力】
早川 潤先生


早川クリニック副院長
1994年近畿大学医学部卒業。大阪大学産科学婦人科学教室在籍後、箕面市立病院、大阪労災病院勤務。2000年から米国カリフォルニア州サンディエゴにあるシドニーキンメル癌センターの遺伝子治療部門に4年間留学。大阪大学医学部・助手・助教を経て、2008年より早川クリニック副院長。日本産科婦人科学会認定医、日本性感染症学会認定医。

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